← toy-example-set-operations

main.tex

\documentclass[dvipdfmx,a4paper,papersize]{jsarticle}
%\pagestyle{empty}
\usepackage{amsthm}
\usepackage{amsmath,amssymb}
\usepackage{mathrsfs}
\usepackage{graphics}
\usepackage{array,booktabs,float}
\usepackage{tikz}
\usepackage{tikz-cd}
\usepackage{url}
\usepackage{mathtools}
\usepackage{color}
%\usepackage{luatexja-fontspec}
%\setmainjfont{MS Mincho}    
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage{newunicodechar}


%\usepackage[dvipdfmx]{hyperref}
\renewcommand{\abstractname}{}
\theoremstyle{definition}
\newtheorem{unsolved}{未解決問題}
\newtheorem*{unsolved*}{未解決問題}
\newtheorem{definition}{Definition}[subsection]
\newtheorem*{definition*}{Definition}
\newtheorem{theorem}[definition]{Theorem}
\newtheorem*{theorem*}{Theorem}
\newtheorem{lemma}[definition]{Lemma}
\newtheorem*{lemma*}{Lemma}
\newtheorem{example}[definition]{Example}
\newtheorem{example*}{Example}
\newtheorem{proposition}[definition]{Proposition}
\newtheorem{proposition*}{Proposition}
\newtheorem{remark}[definition]{Remark}
\newtheorem{remark*}{Remark}
\newtheorem{claim}[definition]{Claim}
\newtheorem{claim*}{Claim}
\newtheorem{question}[definition]{Question}
\newtheorem{question*}{Question}
\newtheorem{corollary}[definition]{Corollary}
\newtheorem{corollary*}{Corollary}
\newcommand{\transpose}[1]{{#1}^\top}
\newcommand{\A}{\mathbb{A}}
\newcommand{\alg}[1]{#1 \text{-alg}}
\DeclareMathOperator{\Vect}{Vect}
\DeclareMathOperator{\pMod}{Mod}
%\newcommand{\Mod}[1]{#1\hspace{-3pt}-\hspace{-3pt}\pMod}
\newcommand{\Mod}[1]{#1\text{-}\pMod}
\newcommand{\Dis}[1]{\mathrm{Dis} (#1)}
\newcommand{\abs}[1]{\left\lvert#1\right\rvert}
\DeclareMathOperator{\true}{true}
\DeclareMathOperator{\false}{false}
\newcommand{\red}[1]{\textcolor{red}{#1}}
\DeclareMathOperator{\Poset}{Poset}
\DeclareMathOperator{\op}{op}
\DeclareMathOperator{\Cat}{Cat}
\DeclareMathOperator{\AG}{AG}
\DeclareMathOperator{\Mor}{Mor}
\DeclareMathOperator{\Ab}{Ab}
\DeclareMathOperator{\Group}{Group}
\DeclareMathOperator{\Monoid}{Monoid}
\DeclareMathOperator{\cHaus}{cHaus}
\DeclareMathOperator{\Ring}{Ring}
\DeclareMathOperator{\Top}{Top}
\DeclareMathOperator{\Sh}{Sh}
\DeclareMathOperator{\Set}{Set}
\newcommand{\id}[1]{\mathrm{id}_{#1}}
\newcommand{\1}{\textbf{1}}
\newcommand{\2}{\textbf{2}}
\newcommand{\equi}{\iff}
\newcommand{\sq}{\rightsquigarrow}
\newcommand{\Closed}{\mathrm{Closed}}
\newcommand{\Fin}{\mathrm{Fin}}
\newcommand{\Ran}{\mathrm{Ran}}
\newcommand{\Lan}{\mathrm{Lan}}
\newcommand{\Kleisli}{\mathrm{Kleisli}}
\newcommand{\XR}{{}^{X}R}
\newcommand{\yo}[1]{\mathrm{y}_{\hspace{-1pt} #1}}
\newcommand{\RY}{R^{Y}}
\newcommand{\Pow}[1]{\mathrm{P}(#1)}
\newcommand{\Spec}[1]{\mathrm{Spec}(#1)}
\newcommand{\cl}{\mathrm{cl}}
\newcommand{\Mnd}{\mathrm{Monad}}
\newcommand{\PtEnd}{\mathrm{PtEnd}}
\newcommand{\End}{\mathrm{End}}
\newcommand{\con}[1]{詳しくは,例えばcontext \cite{context}の{#1}を見ればよい.}
\newcommand{\ob}[1]{\mathrm{ob} (#1)}
\newcommand{\ca}[1]{\mathcal{#1}}
\newcommand{\ro}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\defeq}{\vcentcolon=}
\newcommand{\eqdef}{=\vcentcolon}
\newcommand{\adj}{\rotatebox[]{90}{$\vdash$}}


% \newunicodechar{ろ}{\text{\usefont{U}{min}{m}{n}\symbol{'215}}}

%\DeclareFontFamily{U}{min}{}
%\DeclareFontShape{U}{min}{m}{n}{<-> udmj30}{}
\tikzset{%
    symbol/.style={%
        draw=none,
        every to/.append style={%
            edge node={node [sloped, allow upside down, auto=false]{$#1$}}}
    }
}

\begin{document}

\title{圏論のToy Exampleとしての集合演算}
\author{hora-algebra}
\date{\today}
\maketitle


\begin{abstract}
圏論の構造は非常に初等的な集合演算にも数多く現れている.圏論を勉強する際には初等的でなじみ深い例があるに越したことはない.この文章では集合と真偽値を圏とみなすところから始め,圏, 関手, 自然変換, 極限, 余極限, 随伴, モナド, Cartesian Closed Category, Kan拡張などの圏論的概念およびその性質のToy Exampleを集合演算の範囲から提供する.
% Toy Exampleとして集合演算の性質と圏の性質を
\end{abstract}

\tableofcontents

\section{はじめに}
\subsection{この文章が提供できるかもしれないこととできないこと}
この文章は圏論のToy Exampleとして集合演算を記述する文章である.
この文章が提供できるかもしれないことは以下である.
\begin{itemize}
    \item 圏論の初学者のための圏の概念の初等的かつ簡単な例を提供する
    \item 圏論にいくらか慣れている人のために集合演算の多様なテーマを圏の概念にそって整理する
\end{itemize}

逆に次のことはあまり期待しないで欲しい.

\begin{itemize}
    \item 非自明な数学(圏論も集合演算も含む)定理を証明する
    \item 有用な数学的道具を提供する
\end{itemize}

例えば,この文章では圏論の定理を使って集合演算のアタリマエな性質を証明したりする.集合演算の性質を知る目的でこの文章を読むと単に圏論へ遠回りをしているだけに見えるだろう.圏論の定理を使った証明で伝えたいのは集合演算の命題が正しいことそのものではない

初学者のための例の提供とは例えば次のようなものを想定している.この文章では“生成"する操作を共通部分で記述できること(Theorem \ref{生成可能反映的共通部分で閉じている})を随伴関手定理で示す.ここではその定理の主張自体が伝えたいことではない\footnote{もし知らない人がいたらぜひ知って欲しいのは確かだが!}.一般随伴関手定理において左随伴を構成するときに極限を使ったがこの手法に親しみを感じられない初学者がTheorem \ref{生成可能反映的共通部分で閉じている}の証明を読んでこんなに初等的かつ基本的なところで見たことがあったのか,と思って欲しい.圏論の概念や圏論の定理に出てきたアイデアに対して,見慣れなくて親しみづらいと感じていたが実はすでに知っているありふれた簡単なものが例だった!と思って欲しい.

圏論にいくらか慣れている人のための整理というのは例えば次のようなものを想定している.この文章では量化子$\forall$をKan拡張で記述する.Kan拡張という一般論では関手に普遍的な二つの拡張が存在し得ることを教えてくれた.量化子は命題の変数を減らす普遍的な二つの方法だという直感を圏の枠組みで数学的事実として整理させてくれる.

他に期待できないことは私の能力による限界である.実際,私の圏論の能力が上がればこの文章のほとんどの部分が改善されるだろうし,内容も増えていくだろうと思う.

ただ,人によっては随伴とモナドの節の一部を集合演算の話として面白いと思ってくれるかもしれない.このあたりは圏論との関わりを考えることで初めて気づいた集合演算の事実についていくつか言及している.

\subsection{順序集合との関係に関する注意}
この文章で扱う圏はほとんど集合と真偽値に操作を施して作られる圏であり,特にほとんどすべて前順序集合(さらに特に順序集合)である.
そしてこの文章で証明される主張のかなりの割合が順序集合のレベルで成立するものである.
親しみやすさを優先するために特に集合演算に関わることを取り出したが,本来順序集合に関する主張として述べるべきものも多くあることをここで注意しておきたい.

また,圏$\2$上の豊穣圏として捉えるべき主張もいくつかあると思われるが,能力不足で明示的に書けずにいる.

% \subsection{Toy Examples 一覧表}
% 2章:冪集合は関手圏である
% 3章:

\subsection{その他の注意}
remarkでは圏論のToy Exampleとしての集合演算でないものを扱う.例えば普段の数学における対応物であったり,informalな言及であったり,より一般に順序集合で成立することだったりする.

圏論の用語に関して,日本語と英語の表記が混ざってしまった.基本的には\cite{CWM}と同じ訳を使っているつもりでいる.

各章は章の要約で始まる.先に全ての章の要約を読むことができる.

訂正や改善の提案を常に募集している.文章の中で明示的に助けを求めているものでも,そうでないものでもありがたい.twitter \text{@hora\_algebra}に連絡をお願いします.



\section{圏,関手,自然変換}
この章ではこの文章であつかう集合演算の概念を圏の枠組みで捉え直す.ある意味で自明なことしかしない章\footnote{後の章で非自明なことがなされるとは言わないでおく.}である.

\ref{圏と集合,真偽値}節で集合と真偽値を圏とみなし,\ref{関手と写像,命題写像}節でその間の関手を考える.

\ref{自然変換と冪集合}節ではこの文章のメインの圏である冪集合を関手圏として眺める.冪集合が関手圏であること自体は非常に簡単に分かるが,この文章全体を通して重要な事実でもある.例えば\ref{関手圏の極限,余極限}節では関手圏の極限が各点で計算されることをみるし,\ref{free cocompletionとしての米田とfree cocompletionとしての冪集合}節ではこれを前層圏と見て米田埋め込みと見る.

\ref{関手圏間のpre-composite関手と逆像写像}節では逆像をとる操作がpre-compositeであることをみる.このこと\footnote{と真偽値$\2$がbicompleteなこと}はKan拡張により左右の随伴が与えられることを意味しており,\ref{逆像の随伴と部分集合}節や\ref{逆像の随伴と量化子}節や\ref{真偽値値Kan拡張と逆像随伴,量化子}に繋がる.

\ref{関手圏間のpre-composite関手と逆像写像}節では否定演算がpost-compositeとしてかけることをみる.pre-compositeとpost-compositeは可換なのでここまでのアタリマエな言い換えから否定演算と逆像の可換性を得る.この可換性は\ref{否定演算の随伴と否定と量化子の交換規則}に繋がる.

\subsection{圏と集合,真偽値}\label{圏と集合,真偽値}
この文章で扱う圏は以下の二種類の非常に単純な\footnote{今後,数学用語と自然言語の衝突が見られると思う.
基本的には数学であることが明らかでない限り,適切に自然言語だと解釈してほしい.}圏から作られる.
%\begin{definition}
%集合$X$について,
%
%
%\begin{itemize}
%\item $X$を対象の集合にもち,射は各対象のidentityのみであるような圏を$\Dis{X}$または単に$X$とかく.
%\item 集合
%\end{itemize}
%\end{definition}
\begin{definition}[圏としての集合]
集合$X$について,$X$を対象の集合にもち射は各対象のidentityのみであるような圏を単に$X$とかく.
\end{definition}

\begin{definition}[圏としての真偽値]
$\true,\false$の二つの対象(のみを)もち,射は$\id{\true},\id{\false}$の他にただ一つの射$\false \to \true$を持つような圏を$\2$とかく.
\end{definition}

今後,この方法で集合や真偽値を圏だと考える.例えば,「集合から真偽値への関手」などという言葉遣いをする.

順序集合は,自然に圏とみなせるのであった.上の二つの圏はどちらも順序集合を圏とみなしたものになっている.集合には自明な順序を入れ,真偽値には$\Rightarrow$で順序を入れている.また,順序数は順序集合なので圏でもある.真偽値の圏は順序数$2$に対応する圏であるので$\2$という表記を採用している.今後この文章で出てくる圏のほとんどは順序集合である\footnote{私の狭い知見では確定的なことは言えないが,前順序集合の真偽値豊穣圏の視点(\url{https://ncatlab.org/nlab/show/preorder#definition} )から見ると,圏論の基本的な操作で閉じていることは自然なことなのではないかと思う.}.

\subsection{関手と写像,命題写像}\label{関手と写像,命題写像}

集合からの関手は非常に簡単な形をしている.対象の行先を好きに決めれば,射はidentityしかないのだから射の行先も決まる.さらに,射がidentityしかないので関手性も自動的に従う.関手のcodomainとしては集合や真偽値を想定しているが,一般に成立することなのでまずは一般的な形で記述しておこう.

\begin{proposition}[集合からの関手]
集合$X$と(小)圏$\mathcal{C}$について,$X$から$\mathcal{C}$への関手は$X$から$\ob{\mathcal{C}}$への写像と一対一に対応する.
\end{proposition}

この一対一対応が自然なことに言及しておく.

\begin{remark}[対応の自然性]
上の命題の対応は随伴の意味で自然な対応である.つまり,集合を離散圏だと思う関手$\Dis{-}:\Set\to \Cat$は$\ob{-}:\Cat\to \Set$の左随伴を与えている.
\end{remark}

%上の命題で,我々が興味を持っているのはcodomain $\mathcal{C}$として集合や真偽値を取ったときである.この場合,それぞれ関手は写像,部分集合と解釈できる.集合から真偽値への関手が部分集合と対応することについては一言言及するべきかもしれない.$X$から真偽値$\2$への関手は$\true$の引き戻しとして$X$の部分集合を定めている.これは単に集合$X$において二元集合$\{\true,\false\}$への写像と$X$の部分集合が対応することと同じ状況である.
%
%\begin{corollary}[関手としての写像,部分集合]
%集合$X,Y$について,$X$から$Y$への写像と$X$から$Y$への関手は一対一に自然に対応する.
%また,集合$X$について$X$から$\2$への関手と$X$の部分集合は一対一に対応する.
%\end{corollary}

上の命題で,我々が興味を持っているのはcodomain $\mathcal{C}$として集合や真偽値を取ったときである.この場合,それぞれ関手は写像,命題写像と解釈できる.集合$X$上の命題写像とは$X$から二元集合$\{\true,\false\}$への写像のことをいう.例えば,集合$\mathbb{Z}$上の命題写像$\phi$を$n\in \mathbb{Z}$について$n$が偶数なら$\phi(n)=\true$,$n$が奇数なら$\phi(n)=\false$と定めるとする.このとき命題写像$\phi$は「$n$は偶数である」という主張を表していると考える.部分集合の特性関数といえばいいじゃないかと言われればそれはもっともである\footnote{ただ,命題写像と部分集合の対応は論理的な主張と集合の部分という一見違うものの対応であることが良いところだと思っているので,あえてこの取り扱いをしている.後に量化子をつけるなどの技術的な都合もある}.次の節で扱う.

\begin{corollary}[関手としての写像,命題写像]
集合$X,Y$について,$X$から$Y$への写像と$X$から$Y$への関手は一対一に自然に対応する.
また,集合$X$について$X$から$\2$への関手と$X$上の命題写像は一対一に対応する.
\end{corollary}

\subsection{自然変換と冪集合}\label{自然変換と冪集合}
関手があれば自然変換を考えるべきである.
% ここまでの議論は$\2$が離散圏でも同様に成立する.
写像の間の自然変換は自明なものしか存在しない.集合から真偽値への関手の自然変換を議論する.

集合$X$から真偽値$\2$への関手$F,G$を考える.$F$から$G$への自然変換は集合$X$の元$x\in X$ごとに$\2$での射$F(x)\to G(x)$を対応させるものである.このような射は存在すれば一意的である.また,全ての$x \in X$について射$F(x)\to G(x)$が存在すれば
%($\2$は順序集合なのでdomとcodさえ一致していれば図式は可換になる!)
自然性は自動的に成立し,自然変換をなす.命題写像の視点からは自然変換は論理的包含関係に対応する.
%informalに$F\Rightarrow G$と書きたくなる.
\begin{proposition}[自然変換としての論理的包含関係]
集合$X$と命題写像(関手)$F,G:X\to \2$について,$F$から$G$への自然変換が存在するための必要十分条件は$F\Rightarrow G$なること,つまり任意の$x\in X$について$\2$における射$F(x)\to G(x)$が存在することである.さらに$F$から$G$への自然変換は存在すれば一意である.
\end{proposition}
ここで,$X$上の命題写像と$X$の部分集合は一対一に対応することを復習する.命題写像$\phi:X\to \{\true,\false\}$には,$\true$の$\phi$による逆像,つまり$\phi$が``成立''するような元の集合$\{x\in X\mid \phi(x)\}$\footnote{$\phi(x)$は形式的な元$\true$か$\false$なのでこの表記はinformalなものと解釈してください}を対応させる.また,部分集合$A\subset X$には$A$の特性関数$\chi_{A}:X\to \{\true,\false\}$ ($x\in A$なら$\chi_{A}(x)=\true$, $x\notin A$なら$\chi_{A}(x)=\false$)を対応させる.

\begin{remark}[部分対象分類子]
話題が逸れるが,$X$の部分対象(の同型類)と$X$から$\Omega$への射が自然に対応するような$\Omega$を部分対象分類子(subobject classifier)という.(詳細は\cite{nlab} \url{https://ncatlab.org/nlab/show/subobject+classifier}) これは$\Set$を含むToposという圏のクラスで見られる(というか定義で要求される)対象である\footnote{2021/05時点でTopos勉強中}.今回,関手としての命題写像が部分集合と対応したのは,(圏$\Cat$のおかげではなく)$\Set$らしい部分しか見ていないことに起因するものだと\footnote{少なくとも視界の狭い2021/01の私は}理解している.
\end{remark}


この対応により,$X$の部分集合と$X$から真偽値への関手も一対一に対応する. この対応が冪集合と関手圏の圏同型を与えることをみる.冪集合は次のように圏とみなす.
\begin{definition}[圏としての冪集合]
集合$X$について,$X$の冪集合$P(X)$は包含による順序構造で圏となる.この圏のことも$P(X)$と書く.
\end{definition}

$P(X)$はこの文章の主役の圏である.この節の考察は次の定理のように,圏としての冪集合は真偽値への関手圏である,とまとめられる.

\begin{theorem}[冪集合は関手圏]\label{冪集合は関手圏}
集合$X$について,$X$の冪集合は$X$から真偽値への関手圏と圏同型$P(X)\cong \2^{X}$である.
\end{theorem}
これで集合の議論における部分集合と命題関数の一対一対応を,順序構造まで含めて記述した事になる.関手圏に関する各種の議論,定理のToy Exampleとして冪集合を取り上げる準備ができた.

\subsection{関手圏間のpre-composite関手と逆像写像}\label{関手圏間のpre-composite関手と逆像写像}
圏$\ca{C},\ca{D},\ca{E}$と関手$F:\ca{D}\to \ca{E}$があれば(size matterはあるものの),$F$をpre-compositeすることで関手圏の間の関手$F^{\ast}:\ca{C}^{\ca{E}}\to \ca{C}^{\ca{D}}$が得られる.pre-composite関手はいくつもの理由で重要である.例えば左右の随伴を考えることはKan拡張を考えることに対応する(従って極限,余極限などを考えることも含む!)\footnote{これは多少言い過ぎで,同じ形のKan拡張全ての存在を考えることに対応する.詳しくは例えば\cite{context}Proposition6.1.5.を見るとよい.}.

このことは集合演算ではどう現れるだろうか.集合$X$から集合$Y$への写像$f:X\to Y$を考えると,次が成立する.

\begin{proposition}[pre-composite関手としての逆像写像]\label{逆像はpre-composite}
集合$X$から集合$Y$への写像$f:X\to Y$のpre-compositeで定まる関手$f^{\ast}:\2^{Y}\to \2^{X}$は(Theorem \ref{冪集合は関手圏}の同型を介して)逆像写像\footnote{関手なのだが,順序集合間の関手は対象の対応だけで決定されるので対象の集合間の写像と思ってしまうこともある}$f^{-1}:P(Y)\to P(X)$と一致する.
\end{proposition}

一致の意味を正確に述べるなら,次の図式
\[
\begin{tikzcd}
\2^{Y} \arrow[d] \arrow[r, "f^{\ast}"] & \2^{X} \arrow[d] \\
P(Y) \arrow[r, "f^{-1}"] & P(X)
\end{tikzcd}
\]
が可換になると言っている.縦の射はTheorem \ref{冪集合は関手圏}の同型である.

後の話のためにこの段階で普段の数学における同様の関手を二つ挙げておく.
\begin{remark}[表現の制限]
群$G$とその部分群\footnote{部分群である必要はないのだが}$H$と体$\mathbb{K}$を考える.群$G$の体$\mathbb{K}$上表現の部分群$H$への制限が定める関手$\mathrm{res}_{H}^{G}:\Vect_{\mathbb{K}}^{G}\to\Vect_{\mathbb{K}}^{H}$は$G,H$を一点圏とみなしたときの埋め込み関手$\iota:H\to G$のpre-compositeで定まる関手である.
\end{remark}
\begin{remark}[可逆な離散力学系の埋め込み]
圏$\ca{C}$の対象$X$とその自己射$f:X\to X$の組$(X,f)$を$X$上の離散力学系という.$X$上の離散力学系$(X,f)$のうち,$f$が同型写像なものを可逆離散力学系と呼ぶことにする.圏$\ca{C}$はなんでもよい.例えば集合の圏$\Set$や位相空間の圏$\Top$や多様体の圏$\mathrm{Man}$を考えることができる.圏$\ca{C}$の対象上の離散力学系(と自己射と可換な$\ca{C}$の射)の圏$\mathrm{Dyn}_{\ca{C}}$を考える.同様に可逆離散力学系の圏$\mathrm{Dyn}_{\ca{C}}^{\mathrm{inv}}$を考える.加法モノイド$\mathbb{N},\mathbb{Z}$を一点圏とみなすと,$\mathrm{Dyn}_{\ca{C}}$は$\ca{C}^{\mathbb{N}}$と圏同値で$\mathrm{Dyn}_{\ca{C}}^{\mathrm{inv}}$は$\ca{C}^{\mathbb{Z}}$と圏同値である.この圏同値を介して,埋め込み関手$\mathrm{Dyn}_{\ca{C}}^{\mathrm{inv}}\to \mathrm{Dyn}_{\ca{C}}$はモノイドの埋め込み$\iota:\mathbb{N}\to \mathbb{Z}$のpre-composite関手$\ca{C}^{\mathbb{Z}}\to \ca{C}^{\mathbb{N}}$と一致\footnote{自然に圏同値を取れば少なくとも自然同型を除いて,という意味}する.
\end{remark}

\subsection{関手圏間のpost-composite関手と補集合}\label{関手圏間のpost-composite関手と補集合}
前の節では関手圏の間のpre-compositeの例を出したが,双対的にpost-compositeから定まる関手もある.
ここでは補集合を取る操作(命題写像の観点からは否定演算)をpost-compositeとして記述する.

ベースとなる考察は$\2$が自身と反変圏同型であることである.
つまり,
\begin{definition}[否定関手]
圏$\2$から自身$\2$への反変関手$\lnot:\2^{\op}\to \2$を$\lnot \true =\false, \  \lnot \false = \true$で定める.
\end{definition}
射は一意的に定まる.

\begin{lemma}[否定は反変圏同型]
$\lnot \circ \lnot=\id{\2}$である.特に,$\lnot$は$\2$の自己反変圏同型を与える.
\end{lemma}

この関手をpost-compositeすることを考える.

\begin{proposition}[補集合はpost-composite]
集合$X$について,補集合を取る反変関手$(-)^{c}:P(X)^{\op}\to P(X)$はTheorem\ref{冪集合は関手圏}の同型を介して,は$\lnot$のpost-compositeと一致する.特に補集合を取る操作は$P(X)$の反変自己圏同型を与える.
\end{proposition}
\begin{proof}
Theorem\ref{冪集合は関手圏}の同型を介して,補集合を散る操作は$\lnot$のpost-compositeと一致する.従って反変関手を与える.ここで,${(\2^{\op})}^{X}\cong {(\2^{X^{\op}})}^{\op}\cong {(\2^{X})}^{\op}$を利用している.
$\lnot \circ \lnot=\id{\2}$よりこの反変関手も二回合成するとidentityになるので自己反変圏同型を与える.
\end{proof}

post-composite関手として記述する嬉しさとして,例えばpre-composite関手との可換性が直ちに従うことが挙げられる.一般に圏$\ca{C}$の射$f:A\to B,\ g:C\to D$があったときにHom-setの可換図式

\[
\begin{tikzcd}
\ca{C}(B,C) \arrow[d, "f^{\ast}"] \arrow[r, "g_{\ast}"] & \ca{C}(B,D) \arrow[d, "f^{\ast}"] \\
\ca{C}(A,C) \arrow[r, "g_{\ast}"] & \ca{C}(A,D)
\end{tikzcd}
\]

が得られる.このことは単に圏の定義における結合法則の言い換えであり,最も基本的な可換図式の一つと言ってよいだろう.圏$\Cat$で$F:\ca{A}\to \ca{B},\ G:\ca{C}\to \ca{D}$で考えると,
\[
\begin{tikzcd}
\ca{C}^{\ca{B}} \arrow[d, "F^{\ast}"] \arrow[r, "G_{\ast}"] & \ca{D}^{\ca{B}} \arrow[d, "F^{\ast}"] \\
\ca{C}^{\ca{A}} \arrow[r, "G_{\ast}"] & \ca{D}^{\ca{A}}
\end{tikzcd}
\]

なる可換図式が対象のレベルで得られる.射(自然変換)のうつり方も含めて可換なことも簡単に示される.

\begin{remark}[自然変換の移り方]
自然変換の移り方を一般的に記述するには,例えばCartesian Closed Categoryとしての構造を見てもよい\footnote{私は勉強不足なので2021/01段階では断言できないが,Homの言葉のまま自然に一般化するには$\Cat$豊穣圏,strict 2-categoryを見るべきなのだろう.}.
\end{remark}

ここで,写像$f:X\to Y$と否定関手$\lnot:\2^{\op}\to \2$についてこの一般的な議論を適用すると次が得られる.

\[
\begin{tikzcd}
P(Y)^{\op} \arrow[d, "{(f^{-1})}^{\op}"] \arrow[r, "(-)^{c}"] & P(Y) \arrow[d, "f^{-1}"] \\
P(X)^{\op} \arrow[r, "(-)^{c}"] & P(X)
\end{tikzcd}
\]

\begin{proposition}[逆像と補集合の交換]\label{逆像と補集合の交換}
pre-composite関手とpost-composite関手は可換である.特に写像$f:X\to Y$と$U\subset Y$について$f^{-1}(U^{c})=f^{-1}(U)^{c}$
\end{proposition}
\begin{proof}
逆像写像は$f$のpre-compositeであり,補集合は$\lnot$のpost-compositeである.
\end{proof}

この可換性は随伴を見ることでまた別の形(否定演算と量化子の交換規則)をとる.普段の数学における例は随伴の節で書く.

\section{極限,余極限}\label{極限,余極限}
この章では
% 集合演算に関する,特に
冪集合の極限と余極限について記述する.

\ref{極限,余極限と共通部分,和集合}節では単に冪集合の極限と余極限が共通部分と和集合で与えられること,そして真偽値の極限と余極限が論理積と論理和で与えられることをみる.

\ref{関手圏の極限,余極限}節では\ref{極限,余極限と共通部分,和集合}節の事実を関手圏の(余)極限が対象ごとに計算できることの簡単なToy Exampleとしてみる.

\subsection{極限,余極限と共通部分,和集合}\label{極限,余極限と共通部分,和集合}
この文章ではcomplete かつ cocompleteな圏をbicomplete categoryと呼ぶ.

順序集合における極限,余極限はそれぞれ$\inf,\sup$に対応しているんだった.したがって,$\2$や$X$や$P(X)$における極限,余極限は完全に分かる.つまり,$\2$における極限は論理積であり,$\2$における余極限は論理和である.$X$における極限,余極限は自明なものしかない.$P(X)$における極限は共通部分であり,$P(X)$における余極限は和集合である.このことを書いておく.

\begin{proposition}[$P(X)$における極限,余極限は共通部分,和集合]\label{極限は共通部分}
集合$X$について$P(X)$における極限は共通部分であり余極限は和集合である.
\end{proposition}

このように,今興味ある圏における極限,余極限は分かり切っている.ではこの章で何をするのか.我々は,この現象を一般の圏論の文脈で見たい.(そもそも圏論のToy Exampleとして集合演算を見つめることがこの文章の目的である!)

この章(と以降のいくつかの章)では普段の数学における$\Set$のような役割を$\2$が果たすこと\footnote{ここで本来ならば豊穣圏に言及するべきなのかもしれないがhoraの勉強不足.}に注目してほしい.
\begin{proposition}[$\2$はbicomplete]\label{bicomplete1}
真偽値$\2$はbicomplete categoryである.
\end{proposition}
もちろん,先ほども言及したように極限や余極限は非常に単純な形をしている.後のために(対応する)$\Set$の性質も書いておく.

\begin{remark}[$\Set$はbicomplete]
$\Set$はbicomplete categoryである.さらに,その極限や余極限は(co)productの(co)equalizerによる明示的な式などで具体的に計算できる(informalな主張).
\end{remark}

\subsection{関手圏の極限,余極限}\label{関手圏の極限,余極限}

関手圏$\mathcal{C}^{\mathcal{D}}$の極限,余極限は$\mathcal{C}$の極限,余極限から分かるのであった.明示的に書けば,射の作用を忘却する($\ob{\mathcal{D}}\to \mathcal{D}$のpre-composite)関手$\mathcal{C}^{\mathcal{D}}\to \mathcal{C}^{\ob{\mathcal{D}}}$は$\mathcal{C}^{\ob{\mathcal{D}}}$の持つ全ての(余)極限をstrictにcreateするのであった\footnote{sizeには注意}.特に$\mathcal{C}$がbicompleteなら,$\mathcal{C}^{\mathcal{D}}$もbicompleteである.さらに,createするということはinformalな言い方であるが,$\mathcal{C}$の極限や余極限が計算できるなら$\mathcal{C}^{\mathcal{D}}$の極限や余極限も``対象ごとに''計算できる.詳細は例えば \cite{context} Proposition 3.3.9を見るとよい.

このような一般論とTheorem\ref{冪集合は関手圏}から分かることはすでに知っていた次の事実である.
\begin{proposition}[$P(X)$はbicomplete]\label{bicomplete2}
集合$X$について$P(X)$はbicompleteである.さらにその極限は各点における論理積(共通部分)でありその余極限は各点における論理和(和集合)である.
\end{proposition}
$P(X)$はbicompleteであることもProposition \ref{極限は共通部分}で分かっていたことである.
簡単な事実のオーバーキルをしただけじゃないかと思うかもしれないが(そしてそれは事実なのだが!),ここで注目したいのは共通部分は各点の論理積であり和集合は各点の論理和であるという視点である.このことは集合の共通部分の定義$x\in A\cap B\ \equi \ x\in A \land x \in B$から分かる極めて単純な事実であるが,関手圏の極限,余極限は対象ごとに計算できるという重要な定理のToy Exampleになっている.普段の数学での類似の現象を見てみる.

\begin{remark}[普段の数学における関手圏の極限,余極限]
$\Set$はbicompleteなので,$\Set$への関手圏もbicompleteである.さらに,$\Set$への関手圏の極限,余極限は対象ごとに計算できる.例えば次のような例がある.
\begin{itemize}
\item 群$G$が左作用する集合の圏$G\text{-}\Set$は$G$を一点圏とみなしたときの関手圏$\Set^{G}$と圏同値である.したがって,$G\text{-}\Set$はbicompleteで,その極限,余極限は台集合の極限,余極限で計算できる.
\item 位相空間$X$上の前層の圏$\mathrm{PSh}_{X}$は$\mathcal{O}(X)$を$X$の開集合と包含関係による順序で圏とみなしたときの関手圏$\Set^{\mathcal{O}(X)^{\op}}$と圏同値である.したがって,$\mathrm{PSh}_{X}$はbicompleteで,その極限,余極限は開集合ごとの極限,余極限で計算できる.
\item 有向グラフの圏$\mathrm{DirGraph}$は対象の集合として$\{\text{Edge},\text{Vertex}\}$を持ち,identity以外に二つの(並行な)射$\text{source},\text{target}:E\to V$を持つ小圏$\mathrm{Parallel}$からの関手圏$\Set^{\mathrm{Parallel}}$と圏同値である.したがって,$\mathrm{DirGraph}$はbicompleteで,その極限,余極限は頂点,辺ごとの極限,余極限で計算できる.
\end{itemize}
他にも,simplicial setの圏や集合上離散力学系(集合と自己写像の組)など,面白い例はいくつもある.

$\Set$から外れるが群$G$の表現の圏$\Vect_{\mathbb{K}}^{G}$も典型的な関手圏の例である.この場合は表現の極限,余極限が線形空間のレベルで計算できることが分かり,ベクトル空間のいくつもの普遍的な構成がそのまま表現に持ち上がる現象を説明している.
\end{remark}

関手圏の極限,余極限が分かることはこの文章内でもまた使う有用な事実である.

\section{随伴}\label{随伴}
この章では集合演算における随伴の一部をみる.\ref{Cartesian Closed Category}章でも簡単な随伴に言及するので,一部と書いた.

4章はざっくりと前半と後半に分けることができる.
前半は\ref{逆像の随伴と部分集合}節から\ref{否定演算の随伴と否定と量化子の交換規則}節までであり,後半は\ref{両側右随伴と二項関係から誘導されるガロア接続I}節から\ref{idempotent adjunctionの分解}節までである.

前半では特に逆像写像の左右の随伴を扱う.随伴があるごとに,
\begin{itemize}
    \item 右随伴による極限の保存
    \item 左随伴による余極限の保存
    \item unitの存在(今は不等式!)
    \item counitの存在
\end{itemize}
が直ちに得られる.
複数の集合演算の規則を一つの随伴構造から見出すという点においては「圏論のToy Exampleとしての集合演算」らしい内容ではある.

\ref{逆像の随伴と部分集合}節ではまず有名な逆像写像の随伴を紹介する.この随伴は\ref{関手圏間のpre-composite関手と逆像写像}節の段階で(Kan拡張を知っていれば)存在は分かっている.このことは\ref{真偽値値Kan拡張と逆像随伴,量化子}節でも言及する.

\ref{逆像の随伴と量化子}節では逆像の随伴を量化子$\forall,\exists$として眺める.(\ref{自然変換と冪集合}節でも言及した)部分集合と命題写像の対応により集合演算を命題写像の演算の話に移している.逆像の右随伴は一見馴染みがないように見えるかもしれないが実は単に全称量化子$\forall$であることが分かる.同種の量化子が可換である事実が実はアタリマエな可換図式の随伴として得られることをみる.

\ref{否定演算の随伴と否定と量化子の交換規則}節では\ref{逆像の随伴と量化子}節でみた随伴としての量化子に追加で言及する.\ref{逆像の随伴と量化子}節の続きとして,(\ref{関手圏間のpost-composite関手と補集合}節で得られた)アタリマエな可換図式の随伴として量化子と否定演算を交換したときに量化子の種類が変わる事実を得る.「左随伴は余極限を保存する」という圏論の定理も(考えている形の余極限が全て存在するという仮定のもとで)形式的には全く同様にして証明されることを紹介する.

後半では特定の随伴を扱うというよりは特定のクラスの随伴を扱う.明示的に言えば
\begin{itemize}
    \item 二つの冪集合間の両側右(mutually right)随伴(反変随伴)
    \item 冪集合の反映的部分圏
\end{itemize}
の二つのクラスを扱う.この二つのクラスは関連している.\ref{idempotent adjunctionの分解}節ではその関連を見る.

\ref{両側右随伴と二項関係から誘導されるガロア接続I}節では集合$X,Y$について,冪集合$P(X),P(Y)$間の両側右随伴(mutually right adjoint)は$X,Y$の間の二項関係と一対一に対応することを元を見て示す.二項関係の数だけ例があるが,そのうちいくつかを紹介する.ここでの例は直ちに次の\ref{随伴から誘導される圏同値とガロア対応}, \ref{関手圏の反映的部分圏,随伴関手定理と生成の一般論I}, \ref{idempotent adjunctionの分解}節の例になる.
この現象の圏論的な説明や圏論における他の現象とのつながりはKan拡張の章,特に\ref{普遍随伴と二項関係から誘導されるガロア接続II}節(例えばRemark \ref{二項関係と両側右随伴の対応と圏における対応物}でまとめられている)でなされる.

\ref{随伴から誘導される圏同値とガロア対応}節では随伴の不動点が圏同値を与えるという事実を\ref{両側右随伴と二項関係から誘導されるガロア接続I}節で作られた両側右随伴に適用する.ヒルベルトの零点定理やガロア理論におけるガロア対応がこの対応の典型例である.ここで注意だが,当然ここで書かれる集合演算だけでヒルベルトの零点定理やガロアの基本定理が証明されるわけではない.なにが分かってなにが分からなくてなにが嬉しいのかについては本文で言及したつもりである.

\ref{関手圏の反映的部分圏,随伴関手定理と生成の一般論I}では関手圏の反映的部分圏が部分集合の“生成"という概念とちょうど一致していることを観察する\footnote{自分がかつて書いた\cite{genref}の内容の一部である.モナドの章と合わせればこの(今あなたが読んでいる)文章は(例の多少の豊富さなど細かい点を除いて)ほとんど\cite{genref}の上位互換である}.反映的部分圏は(特に順序集合を扱う今回のようなケースでは)モナドと関係が深く,5章の特に\ref{モナド,Eilenberg-Moore圏と生成の一般論II}, \ref{自由モナドと生成の一般論III}, \ref{随伴に誘導されるモナドと二項関係に誘導される閉包作用素}節に繋がる.

\ref{idempotent adjunctionの分解}ではidempotent adjunctionは反映的部分圏と圏同値に分解するという一般論を\ref{両側右随伴と二項関係から誘導されるガロア接続I}節で作られた両側右随伴に適用する.これにより4章後半で考察された二つの随伴のクラスの関係が分かる.この内容は\ref{随伴に誘導されるモナドと二項関係に誘導される閉包作用素}節に繋がる.



\subsection{逆像の随伴と部分集合}\label{逆像の随伴と部分集合}
Proposition \ref{逆像はpre-composite}より,集合$X$から集合$Y$への関手(写像)$f:X\to Y$のpre-compositeで定まる関手$f^{\ast}:\2^{Y}\to \2^{X}$は逆像写像なのであった.逆像写像の左右の随伴を考える\footnote{後の各点Kan拡張で存在もその具体的な中身もabstractな議論から得られるのであるが!}.

$U\subset X, V\subset Y$について,
\[U\subset f^{-1}(V) \equi f(U)\subset V\]
である.随伴の定義を思い出せば$f^{-1}$の左随伴は順像写像$f_{\ast}$であることが分かる.

\begin{remark}[Galois connection]
順序集合の間の随伴はGalois connectionと言われている.随伴をhom-setの自然な同型で定義するとして,順序集合ではhom-setは高々一元集合なので自然性は自動的に成立する.順序集合間の随伴(Galois connection)かを調べるには不等号成立の同値性さえ見ればよい.
\end{remark}

$f^{-1}$の右随伴は順像写像と比べれば見かけないものである.この文章では余順像写像と呼ぶことにする.

\begin{definition}[余順像写像]
写像$f:X\to Y$について,$f_{!}:P(X)\to P(Y)$を$U\subset X$について$f_{!}(U)=\{y\in Y\mid f^{-1}(y)\subset U\}$で定める.この$f_{!}$を$f$の余順像写像\footnote{nLab \url{https://ncatlab.org/nlab/show/internal+logic}ではdual imageと呼ばれている.}と呼ぶ.
\end{definition}

$P(X)$は補集合をとるという反変自己圏同型を持っている.さらに逆像写像と可換であるから,結果として余順像写像は補集合の順像の補集合になっている.後に,$f^{-1}$が``良い関手圏''の間のpre-composite関手であるという事情により左右の随伴の存在とその正体まで分かるのだが,ここでは集合の初等的な演算で証明する.

\begin{proposition}[逆像写像の随伴]\label{逆像写像の随伴}
写像$f:X\to Y$について,順像写像$f_{\ast}$と余順像写像$f_{!}$はそれぞれ$f^{-1}:P(Y)\to P(X)$の左随伴と右随伴である.
\end{proposition}
\begin{proof}
余順像写像のみ示す.$U\subset X, V\subset Y$について
\[f^{-1}(V)\subset U \equi [\forall x \in X,\forall y \in V \ (f(x)=y \Rightarrow x\in U) ]\equi V \subset f_{!}(U) \]
%\begin{align*}
%f^{-1}(V)\subset U &\equi \forall x \in X,\ (x\in f^{-1}(V) \Rightarrow x\in U)\\
%&\equi \forall x \in X,\ (f(x)\in V \Rightarrow x\in U)\\
%&\equi \forall x \in X,\forall y \in V \ (f(x)=y \Rightarrow x\in U)\\
%&\equi \forall y \in V, \forall x \in X\ (f(x)=y \Rightarrow x\in U)\\
%&\equi \forall y \in V, \forall x \in X\ (x\in f^{-1}(y) \Rightarrow x\in U)\\
%&\equi \forall y \in V,\  f^{-1}(y) \subset U\\
%\end{align*}
である.
\end{proof}
図式で書くと
\[
\begin{tikzcd}
P(Y) \ar[rr, ,""{name=Q, above},"f^{-1}" near start, ""{name=S, below}] & & P(X) \ar[ll,bend right=40,"","f_{\ast}"{name=B,above}] \ar[ll,bend left=40 ,"f_{!}",""{name=C,below}] \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] \ar[from=Q, to=C, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]

となる\footnote{\TeX で随伴をうまく書く方法を教えてくれる方募集中です.twitter \text{@hora\_algebra}まで連絡ください}.

左随伴は余極限を保ち(LAPC),右随伴は極限を保つ(RAPL)という有名な定理がある.あまりにも有名なので今さら普段の数学の例を挙げるのも躊躇われる.気が向けば何十ページに及ぶLAPCの例の紹介を書くかもしれない\footnote{多分書かない}.
逆像写像は右随伴かつ左随伴であったし,順像写像は左随伴であったのでProposition \ref{極限は共通部分}から次が従う.

\begin{corollary}[順像,逆像写像のLAPC,RAPL]
写像$f:X\to Y$について,順像写像は和集合を保ち,逆像写像は和集合と共通部分を保つ.
\[f \left(\bigcup_{\lambda\in \Lambda}V_{\lambda}\right)=\bigcup_{\lambda\in \Lambda}f(V_{\lambda})\]
\[f^{-1}\left(\bigcup_{\lambda\in \Lambda}U_{\lambda}\right)=\bigcup_{\lambda\in \Lambda}f^{-1}(U_{\lambda})\]
\[f^{-1}\left(\bigcap_{\lambda\in \Lambda}U_{\lambda}\right)=\bigcap_{\lambda\in \Lambda}f^{-1}(U_{\lambda})\]
\end{corollary}

順像写像は必ずしも共通部分を保たない.逆像写像が右随伴も左随伴も持つことは,「なぜ逆像写像は順像写像より良く振る舞うのか」に対する一つの解答としてよく紹介される.

また,随伴にはunit,counitを使った定義も知られている.随伴があればunit,counitという自然変換も存在するわけだが,順序集合においては射は不等号であるから,次が従う.

\begin{corollary}[順像,逆像写像のunit,counit]\label{順像,逆像写像のunit,counit}
写像$f:X\to Y$と任意の$U\subset X, V\subset Y$について,
\[U\subset f^{-1}(f(U))\]
\[f(f^{-1}(V))\subset V\]
が成立する.
\end{corollary}
\begin{proof}
上の不等号がunitのcomponentであり,下の不等号がcounitのcomponentである.
\end{proof}
unit,counitは随伴の別の定義を与えるわけだから,上の不等式を使ってGalois connectionを定義することもできる.

$f$がsurjになることとcounitが等号になることは同値であるが,このことより多少強い結果をCartesian Closed Categoryの章で述べることにする\footnote{また,unit,counitがisoになる必要十分条件として左右の随伴関手のfully faithful性を挙げることができる.Corollary \ref{順像,逆像写像のunit,counit}の包含関係が等号になる条件として単射性と全射性を挙げることができるが,これを一般的な枠組みの中でいい感じにかけたら本文に追記する予定でいる.}.
%また,unit,counitがisoになる必要十分条件として随伴関手のfully faithful

%unit,counitがisoになる条件
%逆ぞう写像がfully faithfulになる条件と全射性

\subsection{逆像の随伴と量化子}\label{逆像の随伴と量化子}
ここまでは部分集合についての記述をしてきた.命題写像と部分集合$\2^{X}\cong P(X)$を思い出して,命題写像としての解釈では何が起こっているかを調べよう.一見分かりにくかった余順像写像が全称量化子に対応し,順像写像は存在量化子に対応する.

集合$X,Y$について,第二成分の射影$p:X\times Y\to Y$から誘導される随伴
\[
\begin{tikzcd}
2^{Y} \ar[rr, ,""{name=Q, above},"p^{\ast}" near start,""{name=S, below}] & & 2^{X\times Y} \ar[ll,bend right=40,"","p_{\ast}"{name=B,above}] \ar[ll,bend left=40 ,"p_{!}",""{name=C,below}] \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] \ar[from=Q, to=C, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
を調べる\footnote{\TeX で随伴をうまく書く方法を教えてくれる方を急遽募集中です.}. ここで$p^{\ast}$だけ(気持ちの問題で)$p^{-1}$から記法を変えたので注意.$p^{\ast}$はダミー変数の導入として振る舞っている.

順像の定義より,部分集合$U\subset X\times Y$と$y\in Y$について
\begin{align*}
y\in p(U) & \equi \exists z\in U, \ y=p(z)\\
& \equi \exists x\in X, \ (x,y) \in U
\end{align*}
となる.対応する命題写像の議論は
命題写像$\phi :X\times Y\to \2$と$y\in Y$について,
\[p_{\ast}(\phi)(y) =\true \equi \exists x\in X , \ \phi(x,y)=\true\]
である.双対的に,命題写像$\phi :X\times Y\to \2$と$y\in Y$について,
\[p_{!}(\phi)(y) =\true \equi \forall x\in X , \ \phi(x,y)=\true\]
である.これらの観察から,命題写像に関しては$p_{\ast}$は存在量化子,$p_{!}$は全称量化子として振る舞うことが分かった.そこで次の記法を導入する.

\begin{definition}[命題写像の量化子]
集合$X,Y$について,第二成分の射影$p:X\times Y\to Y$の順像写像を$\exists_{X}$と書き余順像写像を$\forall_{X}$と書く\footnote{本来は$Y$も明記すべきだが略す}.
\end{definition}

このような随伴としての量化子の視点はnLabでは\url{https://ncatlab.org/nlab/show/quantification#lawvere_quantifiers_quantification_as_adjunction}で紹介されている.\cite{SGL}ではI.9.節のQuantifiers as Adjointで導入される.

では,(この意味での)量化子について随伴の性質から分かることは何か見ていく.

まず,LAPCとRAPLの対応物は次である.
\begin{proposition}[量化子と論理和(積)の交換]
集合$X,Y$と命題写像$\phi,\psi:X\times Y\to \2$について,$\exists_{X}(\phi \lor \psi) = (\exists_{X}\phi )\lor (\exists_{X} \psi)$ が成立し,さらに(双対的に) $\forall_{X}(\phi \land \psi) = (\forall_{X}\phi )\land (\forall_{X} \psi)$
\end{proposition}
また,unit,counitは次の含意関係である

\begin{proposition}[量化子のunit,counit]
集合$X,Y$と命題写像$\phi:X\times Y\to \2$について,
\[\phi\Rightarrow \exists_{X}\phi\]
\[\forall_{X}\phi\Rightarrow \phi\]
がそれぞれ成立する.ここで,量化子がついているとき$X$はダミー変数である.
\end{proposition}
\begin{proof}
ダミー変数を添える操作は$p^{\ast}$に対応していることに注意.上は存在量化子の随伴のunit,下は全称量化子の随伴のcounitである.
\end{proof}
$X$が空集合のときは主張が自明になっていることに注意.存在量化子のcounit,全称量化子のunitはダミー変数をつけて量化子で消したものになっている.

随伴は自然同型を除いて一意なので,右随伴関手らの可換図式があればそれらの左随伴は自然同型を除いて可換になる.今回は順序集合を考えているので本当に可換になる.このことから次のように量化子の交換規則が得られる.この議論についてのRemarkは次の節で行う.

\begin{proposition}[量化子の交換規則]
集合$X,Y,Z$と$X\times Y\times Z$上の命題写像$\phi : X\times Y\times Z\to \2$について
\[\exists_{X} \exists_{Y}\phi = \exists_{Y}\exists_{X}\phi\]
\[\forall_{X} \forall_{Y}\phi = \forall_{Y}\forall_{X}\phi\]
が成立する.
\end{proposition}
\begin{proof}
二通りの射影
\[
\begin{tikzcd}
X\times Y\times Z \arrow[r] \arrow[d]& X\times Z\arrow[d]\\
Y\times Z \arrow[r]& Z
\end{tikzcd}
\]
は可換である.従ってそれらのpre-compositeで定まる
\[
\begin{tikzcd}
\2^{X\times Y\times Z}  & \2^{X\times Z}\arrow[l]\\
\2^{Y\times Z} \arrow[u]& \2^{Z}\arrow[l]\arrow[u]
\end{tikzcd}
\]
も可換である.従ってそれらの左随伴
\[
\begin{tikzcd}
\2^{X\times Y\times Z} \arrow[r,"\exists_{Y}"] \arrow[d,"\exists_{X}"]& \2^{X\times Y}\arrow[d,"\exists_{X}"]\\
\2^{Y\times Z} \arrow[r,"\exists_{Y}"]& \2^{Z}
\end{tikzcd}
\]
も右随伴
\[
\begin{tikzcd}
\2^{X\times Y\times Z} \arrow[r,"\forall_{Y}"] \arrow[d,"\forall_{X}"]& \2^{X\times Y}\arrow[d,"\forall_{X}"]\\
\2^{Y\times Z} \arrow[r,"\forall_{Y}"]& \2^{Z}
\end{tikzcd}
\]
も自然同型を除いて可換である.ここでは順序集合を考えているので(本当に)可換である.

\end{proof}

\subsection{否定演算の随伴と否定と量化子の交換規則}\label{否定演算の随伴と否定と量化子の交換規則}
命題の演算と量化子の交換といえば,否定演算との交換がある.まずは否定演算の随伴に関して記述しておこう.否定演算は反変自己圏同型を与えるのであったから,自身を随伴にもつ.LAPCから得られる結果はド・モルガン則である.

\begin{proposition}[否定演算の随伴とドモルガン則]
否定演算および補集合を取る操作$(-)^{c}:P(X)^{\op}\to P(X)$は反変自己圏同型であるから特に自身を左随伴かつ右随伴にもつ.従って$U,V\subset X$について$(U\cap V)^{c}=U^{c}\cup V^{c}$であり,$(U\cup V)^{c}=U^{c}\cap V^{c}$である.同じことだが,命題写像$\phi,\psi:X\to \2$について$\lnot(\phi \land \psi)=\lnot\psi \lor \lnot\phi$であり,$\lnot(\phi \lor \psi)=\lnot\psi \land \lnot\phi$である.
\end{proposition}
ここで,補集合と共通部分,和集合の交換規則だけを得るなら反変圏同値からすぐに分かる.随伴を強調したのは否定演算と量化子の関係を記述するためである.


一般に,関手による可換図式があり,出てくる関手が全て左随伴を持つなら,左随伴たちも自然同型を除いて可換になる.順序集合を考えている今の文脈では本当に可換になる.

\begin{proposition}[量化子と否定演算の交換規則]
集合$X,Y$について,$X\times Y$上の命題写像$\phi$について,$\lnot \exists_{X}\phi=\forall_{X} \lnot \phi$となり,$\lnot \forall_{X}\phi=\exists_{X} \lnot \phi$となる.
\end{proposition}
\begin{proof}
第二成分の射影$p:X\times Y\to Y$に関するProposition \ref{逆像と補集合の交換}の可換図式
\[
\begin{tikzcd}
(\2^{X})^{\op} \arrow[d, "(p^{\ast})^{\op}"] \arrow[r, "\lnot_{\ast}"] & \2^{X} \arrow[d, "p^{\ast}"] \\
{(\2^{X\times Y})}^{\op} \arrow[r, "\lnot_{\ast}"] & (\2^{X\times Y})
\end{tikzcd}
\]
の左随伴を見ると
\[
\begin{tikzcd}
(\2^{X})^{\op}   & \2^{X}  \arrow[l,"\lnot_{\ast}"{name=S, above}]\\
{(\2^{X\times Y})}^{\op}  \arrow[u,"", "({\forall_{X}})^{\op}"{name=S, right}]& (\2^{X\times Y}) \arrow[u, "\exists_{X}"{name=S, right}] \arrow[l, "\lnot_{\ast}"{name=S, above}]
\end{tikzcd}
\]
を得て,右随伴を見ると
\[
\begin{tikzcd}
(\2^{X})^{\op}   & \2^{X}  \arrow[l,"\lnot_{\ast}"{name=S, above}]\\
{(\2^{X\times Y})}^{\op}  \arrow[u,"", "({\exists_{X}})^{\op}"{name=S, right}]& (\2^{X\times Y}) \arrow[u, "\forall_{X}"{name=S, right}] \arrow[l, "\lnot_{\ast}"{name=S, above}]
\end{tikzcd}
\]
を得る.
\end{proof}

\begin{remark}[自由な構成の可換性]
このような現象は圏論で一般的に見られるものである.つまり,ある関手の図式の自然同型を除いた可換性を示したいときにその随伴を考えると問題が簡単になる例である. 典型例は各種の代数の間の自由な構成である.自由な構成,例えば自由群や多項式環や自由モノイドやそれらのアーベル化やスカラー拡大やテンソル代数など,の可換性は,右随伴を見れば忘却の可換性という明らかな現象から導かれる.
\end{remark}

\begin{remark}[LAPCとの類似]
さらに直接的に関係するのはLAPCである.過激な言い方をすれば,LAPCは量化子と否定演算の交換規則と同じ仕組みで成立している. つまり,(同じ形の余極限が全て存在することを仮定すれば)LAPCと量化子と否定演算の交換規則はpre-compositeとpost-compositeの可換性を随伴で移すという同一の方法で証明される.

まず,(同じ形の(余)極限を全て持つとき)(余)極限はdiagonal functorの随伴としてかけることを思い出そう.小圏$J$と局所小圏$\ca{C}$について,terminal category $\1$への一意的な関手$!:J\to \1$のpre-composite関手$!^{\ast}:\ca{C}^{\1}\cong \ca{C}\to \ca{C}^{J}$を考える.このように,diagonal functorはpre-composite関手である.$\ca{C}$が$J$で添字づけられた余極限を全て持つとき(そしてそのときに限り)$!^{\ast}:\ca{C}\to \ca{C}^{J}$は左随伴$\mathrm{colim}_{J}:\ca{C}^{J}\to \ca{C}$を持つ. 

関手$F:\ca{C}\to \ca{D}$が関手$G:\ca{D}\to \ca{C}$の左随伴であるとする.このとき,小圏$J$で添字づけられた余極限を$\ca{C},\ca{D}$共に持つとき,$G:\ca{D}\to \ca{C}$と$!:J\to \1$に関する結合法則による可換図式
\[
\begin{tikzcd}
\ca{D}^{\1} \arrow[d, "!^{\ast}"] \arrow[r, "G_{\ast}"] & \ca{C}^{\1} \arrow[d, "!^{\ast}"] \\
\ca{D}^{J} \arrow[r, "G_{\ast}"] & \ca{C}^{J}
\end{tikzcd}
\]
の左随伴を見ると自然同型を除いて次の図式
\[
\begin{tikzcd}
\ca{D}^{\1}   & \ca{C}^{\1}  \arrow[l,"F_{\ast}"{name=S, above}]\\
\ca{D}^{J} \arrow[u,"", "\mathrm{colim}_{J}"{name=S, right}]&  \ca{C}^{J} \arrow[u, "\mathrm{colim}_{J}"{name=S, right}] \arrow[l, "F_{\ast}"{name=S, above}]
\end{tikzcd}
\]
が可換になる.このことは左随伴が余極限を保つ事実を示している.随伴は関手圏の間にも随伴を誘導することを使った.RAPLも(双対的に)同様である.
\end{remark}


\begin{remark}[否定の随伴のunit,counit]\label{否定の随伴のunit,counit}
否定の随伴のunit,counitから得られる不等号は,部分集合の言葉では$U\subset U^{cc}$であり命題写像の言葉では$\phi \to \lnot\lnot\phi$である.もちろん今回はこれが同型になるのだが,この一方向性にはいくつかの解釈ができる.詳しくはCartesian Closed Categoryの章で記述するが,先にHeyting algebraの例を見ておく.Heyting algebra $H$について,$H$の否定演算$\lnot$は$H$と$H$同士の両側右随伴(mutually right adjoint)を与える.この両側右随伴のunitは各$\phi\in H$についての$\phi \to \lnot\lnot \phi$である. 一般にHeyting algebraでは二重否定除去則は成立しないのでこの射は一般には同型(今回は等号)ではない.同型になる条件についてはガロア対応の節で述べる.
\end{remark}

%まずは否定演算を$\2^{X}$の言葉で記述しよう.
%
%\begin{lemma}
%$\2$は自身の反変圏$\2^{\op}$と圏同型である.
%\end{lemma}


%\subsubsection{随伴としての量化子}
%\subsubsection{LAPC}

\subsection{両側右随伴と二項関係から誘導されるガロア接続I}\label{両側右随伴と二項関係から誘導されるガロア接続I}
圏$\ca{C},\ca{D}$の両側右随伴(mutually right adjoint)とは,反変関手$F:\ca{C}^{\op}\to \ca{D}, G:\ca{D}^{\op}\to \ca{C}$とhom-setの自然な同型$\ca{C}(c,Gd)\cong \ca{D}(d,Fc)$のことをいう.ここでいう自然性は$\ca{C}^{\op}$と $\ca{D}$の間の随伴となる自然性のことである.詳しくは例えば\cite{context}のDefinition 4.3.1.を見るとよい.

ただ,今回は順序集合のみを考えるので自然性は自明なケースを考えることになる.
\begin{remark}[antitone Galois connection]
順序集合の間の両側右随伴はantitone Galois connectionという名前がついていて,かなり単純な記述がある.順序集合$P,Q$の間のantitone Galois connectionは反変順序準同型(order-reversing function)$f:P\to Q,\ g:Q\to P$であって,任意の$p\in P,q\in Q$について$p \leq g(q) \equi q \leq f(p)$なることをいう.
\end{remark}

この節では集合$X,Y$のそれぞれの冪集合$P(X),P(Y)$の間の両側右随伴を調べる.一般的な議論と並行して典型例を一つだけ挙げる.他の例は後に書く.

\begin{example}[Galois理論におけるantitone Galois connection]
体の有限次ガロア拡大$K\subset L$とそのガロア群$\mathrm{Gal}(L/K)$に対して,$P(L)$と$P(\mathrm{Gal}(L/K)$の間の反変順序準同型(order-reversing function)
\[R^{L}:P(L)^{\op}\to P(\mathrm{Gal}(L/K)): L\supset U\mapsto \{\sigma \in \mathrm{Gal}(L/K)\mid \forall x\in U, \  \sigma(x)=x\}\subset \ro{Gal}(L/K)\]
\[{}^{\ro{Gal}(L/K)}R:P(\mathrm{Gal}(L/K))^{\op}\to P(L): \ro{Gal}(L/K) \supset V \mapsto \{x \in L\mid \forall \sigma \in V, \  \sigma(x)=x\}\subset L\]
は両側右随伴を与えている.
\end{example}

この構成は一般的に記述できる.Kan拡張の章(特にTheorem \ref{二項関係と対応する両側右随伴は普遍随伴})でこの随伴を普遍随伴という枠組みの中で捉える.今は元を見て具体的に書き下したものを紹介する.

\begin{proposition}[二項関係からくる両側右随伴]\label{二項関係からくる両側右随伴}
集合$X,Y$と二項関係$R:X\times Y\to \2$について\footnote{この段階では違いは見えないが,Kan拡張の章で普遍随伴としての記述をする際には$R:X\times Y\to \2^{\op}$とみるべきだったと分かる},
\[R^{Y}:P(Y)^{\op}\to P(X):Y\supset U\mapsto \{x \in X\mid \forall y\in U, \  R(x,y)=\true\}\subset X\]
\[{}^{X}R:P(X)^{\op}\to P(Y):X\supset V\mapsto \{y \in Y\mid \forall x\in V, \  R(x,y)=\true\}\subset Y\]
は両側右随伴を与える.
\end{proposition}
\begin{proof}
$V\subset X, U\subset Y$について,
\begin{align*}
V\subset R^{Y}(U) &\equi \forall (x,y)\in V\times U R(x,y)=\true\\
& \equi U\subset {}^{X}R(V)
\end{align*}
である.
\end{proof}

ガロア理論においては二項関係$R(\sigma,x)$を$\sigma(x)=x$ととればよい.
他の例を挙げる.

\begin{example}[ヒルベルトの零点定理]
代数閉体$\mathbb{K}$と正整数$n$について,$X=\mathbb{K}[x_{1},\dots,x_{n}]$と$Y=\mathbb{K}^{n}$の間の二項関係$R:X\times Y\to \2$を$R(f(x_{1},\dots,x_{n}),(a_{1},\dots,a_{n}))=\true \equi f(a_{1},\dots,a_{n})=0$で定める.このとき${}^{X}R$は共通零点をとる写像であり,$R^{Y}$はその上で0をとる多項式全体をとる写像である.ヒルベルトの零点定理そのものとの対応は次の節でみる.
\end{example}

二つの直交関係(\url{https://ncatlab.org/nlab/show/orthogonality})からも例を挙げよう.

\begin{example}[線形空間における直交性]
内積の定まった線形空間$V$について,直交関係$\perp$で定まる両側右随伴は直交補空間をとる写像である.
\end{example}

\begin{example}[圏における直交性]
圏$\ca{C}$の射$f:A\to B,g:C\to D$が直交関係$f\perp g$を満たすとは,以下の形の任意の可換図式
\[
\begin{tikzcd}
A \arrow[d, "f"] \arrow[r, ""] & C \arrow[d, "g"] \\
B \arrow[r, ""] & D
\end{tikzcd}
\]
について左上と右下の三角形を共に可換にするような射$h:B\to C$
\[
\begin{tikzcd}
A \arrow[d, "f"] \arrow[r, ""] & C \arrow[d, "g"] \\
B \arrow[r, ""] \arrow[dotted,ru, "{}^{\exists !} h"]& D
\end{tikzcd}
\]
が一意的に存在することをいう.
(小)圏$\ca{C}$の射の集合$X,Y=\Mor(\ca{C})$上の二項関係$\perp$に付随する両側右随伴は,それぞれ左側の直交な射,右側の直交な射を集めるものになっている.

この意味での直交性はorthogonal factorization systemなどで言及される概念である.Set(や一般のTopos)において,epi射$e$とmono射$m$は直交関係$e\perp m$をみたし,さらにepi射全体とmono射全体はorthogonal factorization system(\url{https://ncatlab.org/nlab/show/orthogonal+factorization+system}を成す.
\end{example}

最後にLogicからの例を挙げる.参考文献は\cite{gss}である.context\cite{context} Example 4.3.3.でも取り上げられている.

\begin{example}[\red{The Galois Connection between Syntax and Semantics}]
一階論理の語彙$\mathcal{L}$について,$\ca{L}$の構造全体の\red{クラス\footnote{\red{赤字}には2021/01の私が解決方法を理解していないようなサイズの問題がある.解決方法については\cite{gss}の3.6 Posets as setsで言及されている.}}$\rm{Structure}_{\ca{L}}$と$\mathcal{L}$の文全体の集合$\rm{Sentence}_{\ca{L}}$の間の二項関係$\models:\rm{Structure}_{\ca{L}}\times \rm{Sentence}_{\ca{L}}\to \2$を考える.対応する両側右随伴は,公理系に対してその\red{モデル全体}をとる\red{対応}と,構造に対してそれが満たす文全体をとる\red{対応}である.
\end{example}

両側右随伴も随伴であるから,LAPCが成立する.

\begin{proposition}[antitone Galois connectionのLAPC]\label{antitone Galois connectionのLAPC}
集合$X,Y$について,両側右随伴$f:P(X)^{\op}\to P(Y),g:P(Y)^{\op}\to P(X)$はそれぞれ和集合を共通部分に送る.
\[f\left(\bigcup_{\lambda\in \Lambda}V_{\lambda}\right)=\bigcap_{\lambda\in \Lambda}f(V_{\lambda})\]
\[g\left(\bigcup_{\lambda\in \Lambda}U_{\lambda}\right)=\bigcap_{\lambda\in \Lambda}g(U_{\lambda})\]

\end{proposition}

\begin{proposition}[両側右随伴のunit]\label{両側右随伴のunit}
集合$X,Y$と両側右随伴$f:P(X)^{\op}\to P(Y),g:P(Y)^{\op}\to P(X)$と任意の$V\subset X, U\subset Y$について
\[V\subset g(f(V))\]
\[U\subset f(g(U))\]
が成立する.
\end{proposition}
$gf$や$fg$は他の全ての随伴と同様に随伴から誘導されたモナドになるように自然にmultiplicationが定まる.この取り扱いはモナドの章で行う.

ここまで二項関係から両側右随伴を得てきた.実は上のLAPCを利用すると一般に冪集合間の両側右随伴は二項関係から得られることが分かる.(一応注意しておくと,LAPCを利用するのは元を見て証明する際の技術的な話である.普遍随伴としての視点からのより本質的な説明はKan拡張の話の後にRemark \ref{二項関係と両側右随伴の対応と圏における対応物}で行う.)
\begin{theorem}[二項関係と両側右随伴の一対一対応]\label{二項関係と両側右随伴の一対一対応}
集合$X,Y$について,二項関係$R:X\times Y\to \2$から$P(X),P(Y)$間の両側右随伴${}^{X}R,R^{Y}$を与える操作は,$X,Y$間の二項関係と$P(X),P(Y)$間の両側右随伴の間の一対一対応を与える.
\end{theorem}
\begin{proof}
逆向きの操作を構成する.
両側右随伴$f:P(X)^{\op}\to P(Y),g:P(Y)^{\op}\to P(X)$に対して,二項関係$R_{f,g}:X\times Y\to \2$を
\[R_{f,g}(x,y)=\true \equi x\in g(\{y\})(\equi y \in f(\{x\}))\] 
で定める操作を考える.ここで上のProposition \ref{antitone Galois connectionのLAPC}を利用すると,この操作が逆操作を定めることが分かる.
\end{proof}
この意味で,二項関係と冪集合間の両側右随伴は表裏一体である.既に知っている両側右随伴に対応する二項関係は何かを考えてみる.

\begin{example}[否定の随伴を誘導する関係]
集合$X$について,否定演算$\lnot$は自身との反変右随伴である.この反変右随伴に対応する二項関係は等号の否定\footnote{不等号という言葉は別の概念にとられてしまった}$\neq: X\times X\to \2$である.
\end{example}

% 等式に対応する
両側右随伴から得られるいくつかの構造をこれから見ていく.

\subsection{随伴から誘導される圏同値とガロア対応}\label{随伴から誘導される圏同値とガロア対応}
前節では,ガロア群の部分集合と体の部分集合の間の対応を一般化するものとして二項関係から作られる両側右随伴を見た.では,ガロア群の部分群と中間体の対応であるガロア対応に対応するものは何かを考える.実は,随伴から一般に誘導される圏同値のToy Exampleとして眺めることができる.

圏の間に随伴があると,unit,counitが同型であるような対象(fixed point!!)からなるfull subcategoryの間に圏同値を誘導することが知られている.詳しくは例えばnLabのfixed point of an adjunction \url{https://ncatlab.org/nlab/show/fixed+point+of+an+adjunction}をみるとよい.context\cite{context} でもExercise 4.2.i で紹介されている.

普段の数学の例として,層の二つの定義の同値性を紹介する.この例は後の節でも類似を見ることになる.
\begin{remark}[層の二つの定義]
位相空間$X$について,スライス圏$\Top /X$と開集合の順序集合$\ca{O}(X)$上の前層圏$\Set^{\ca{O}(X)^{\op}}$を考える.sectionで前層を定める関手$\Gamma:\Top /X \to \Set^{\ca{O}(X)^{\op}}$は前層の\'etale sapceを取る関手$L:\Set^{\ca{O}(X)^{\op}}\to \Top /X$を左随伴に持つ.counitが同型である条件を書き下すと局所同相性であることが分かる. unitが同型である条件を書き下すと層の張り合わせ条件であることが分かる. 

このように層の二つの定義は随伴のfixed pointであるという条件を書き下すことで``導出''され,さらにその二つの圏の圏同値は一般論で保証されている.この随伴が一般的な枠組み\footnote{Nerve and Realization \url{https://ncatlab.org/nlab/show/nerve+and+realization} (や普遍随伴)などと呼ばれる枠組み}の中で自然に現れるものであることはKan拡張の節で(二項関係から誘導される両側右随伴と同時に)言及する.

さらなる類似としては,この随伴がidempotent \url{https://ncatlab.org/nlab/show/idempotent+adjunction}であることも挙げられる.
\end{remark}
%順序集合間の随伴,つまりGalois connectionは一般にidempotent adjunction\url{https://ncatlab.org/nlab/show/idempotent+adjunction}である. 

冪集合間の両側右随伴のfixed pointを求めたい.実は,順序集合間の随伴,つまりGalois connectionは一般にidempotent adjunction\url{https://ncatlab.org/nlab/show/idempotent+adjunction}であるという事実からすぐに分かるのだが,今回の場合に限って書いてみる.そのために一つ概念を定義する.モナドの章で一般化される(と一見感じられる)定義を述べる.
\begin{definition}[閉集合]
集合$X,Y$間の二項関係$R:X\times Y\to \2$についての$X$の閉集合とは,$R^{Y}:P(Y)^{\op}\to P(X)$の像の元のことをいう.同様に,$R$についての$Y$の閉集合とは,${}^{X}R:P(X)^{\op}\to P(Y)$の像の元のことをいう\footnote{なぜ閉集合というかはモナドの章で分かる.}.また,$R$についての$X$の閉集合全体の集合を$\Closed_{X,R}$と書き,$R$についての$Y$の閉集合全体の集合を$\Closed_{R,Y}$と書く.
\end{definition}

\begin{example}[ガロア理論における閉集合]
体の有限次ガロア拡大$K\subset L$とそのガロア群$\mathrm{Gal}(L/K)$に関する両側右随伴の閉集合はそれぞれ$K\subset L$の中間体と$\mathrm{Gal}(L/K)$の部分群である.
\end{example}

この文章では二項関係$R$が何であっても成立する事実に言及する.従って当然ながら,この例のように具体的な二項関係に関する閉集合が具体的に何であるかを書き下す際の完全な手法を提供するわけではない.(もちろん,のちのいくつかの定理はいくつかの一般的なテクニックや制約を与える.) 


\begin{lemma}[閉集合$\iff$fixed point]
集合$X,Y$間の二項関係$R:X\times Y\to \2$について,$V\subset X$が閉集合であることとfixed pointであること
\[R^{Y}({}^{X}R(V))=V\]
は同値である.
\end{lemma}
\begin{proof}
fixed pointであれば${}^{X}R(V)$の像なので閉集合であることは直ちに分かる.逆に,$V$が閉集合なら$V=R^{Y}(U)$なる$U\subset Y$が取れる.
Proposition \ref{両側右随伴のunit}より,
$U\subset \XR\RY(U)$かつ$V\subset \RY\XR(V)$となる.前者の不等式を反変順序準同型$\RY$で送ると$\RY(U)\supset \RY\XR\RY(U)$つまり$V\supset \RY\XR(V)$を得る.
\end{proof}
この証明はunit,counitのtriangle identityを使っていることになる.
この証明はidempotent adjunctionに容易に一般化される.例えば層化と切断の随伴でもこのことが成立する.
\begin{remark}[層におけるfixed pointと像]
前層が層であるための必要十分条件は切断による関手$\Gamma$のessential imageに入っていることである.
bundleが\'etale bundleであるための必要十分条件は前層の\'etale spaceを取る関手$L$のessential imageに入っていることである.
%ある$Top/X$の対象の切断で定まる前層と同型であることである.
\end{remark}
%ここで,一般に順序集合間の随伴(Galois connection)はidempotentであるという事実から簡単に分かる.そのことを

また,この現象をHeyting algebraで解釈すれば直観主義論理における二重否定が除去できる必要十分条件を与える.
\begin{remark}[Heyting algebra]
Heyting algebra $H$について,remark \ref{否定の随伴のunit,counit}でも見たように射$\phi \to \lnot\lnot\phi$がある.fixed pointが像であることから,この射が同型になるのは$\phi =\lnot \psi$なる$\psi$が存在するときである. このときは三重否定は一つの否定に減らせる事実$\lnot \psi \leftrightarrow\lnot\lnot\lnot \psi$に対応している.
\end{remark}

では,この節の本題に移る.随伴のfixed pointの圏同値は今回は次の形をとる.ガロア対応と呼んでしまうのは\url{https://ncatlab.org/nlab/show/Galois+connection#Definition}に従っている.
\begin{theorem}[ガロア対応]
集合$X,Y$間の二項関係$R:X\times Y\to \2$について,$\XR$と$\RY$は$\Closed_{X,R}$と$\Closed_{R,Y}$の間の反変順序同型を与える.
\end{theorem}

典型的な例としてガロア理論におけるガロア対応を,普段の数学での同じ形の現象の例として層の定義の同値性をこの節の最初に述べている.

\begin{example}[ヒルベルトの零点定理]
代数閉体$\mathbb{K}$と正整数$n$について,$X=\mathbb{K}[x_{1},\dots,x_{n}]$と$Y=\mathbb{K}^{n}$の間の二項関係$R:X\times Y\to \2$を,前節と同様に$R(f(x_{1},\dots,x_{n}),(a_{1},\dots,a_{n}))=\true \equi f(a_{1},\dots,a_{n})=0$で定める.このとき閉集合であるための条件を書き下すとそれぞれ被約イデアルと代数的集合になる.
\end{example}

補集合との対応,直交補空間との対応など先にあげた両側右随伴を含め,他にも二項演算の数だけ例がある.

\subsection{関手圏の反映的部分圏,随伴関手定理と生成の一般論I}\label{関手圏の反映的部分圏,随伴関手定理と生成の一般論I}
この節では,以前書いた\cite{genref}『生成の一般論と反映的部分圏』(\url{https://hora-algebra.github.io/gen_ref.pdf})の内容と多くの部分を共有している.圏論のToy Exampleとしての側面はこの節の方が詳しい.生成の一般論に関して具体例や自然言語による解説は\cite{genref}の方が詳しい.
% また,\cite{genref}では生成可能な集合族であることを定義の形から直ちに導くことができるという点を強調している.
%生成の一般論の文章においては定義から直ちに分かるようになることを書いていて偉いぞ!

この節では$P(X)$の反映的部分圏を決定する.
普段の数学における類似は$\Set$への関手圏の反映的部分圏である.2章でも見たように,bicomplete categoryへの関手圏はbicompleteである.そして,bicomplete categoryの反映的部分圏はbicompleteである.このことは例えばcontext \cite{context} のProposition 4.5.15などを見るとよい.さらに反映的部分圏の埋め込みは極限をcreateする.関手圏の極限が対象ごとに計算できることを合わせれば関手圏の反映的部分圏の極限は対象ごとに計算できることが分かる.さらに余極限も対象ごとの余極限にreflectorを作用させたものになることが分かる.これらもcontext \cite{context} のProposition 4.5.15などを見るとよい.

\begin{example}[層]
位相空間$X$上の層の圏\footnote{一般にGrothendieck Toposでもよい}は$\Set^{\ca{O}(X)^{\op}}$の反映的部分圏であり,従ってbicompleteである.そしてその極限は開集合ごとの極限であり,余極限は開集合ごとの余極限の層化である.
\end{example}
関手圏の反映的部分圏の例としては次もある.
\begin{example}[圏]
圏の圏はsimplicial setの圏の反映的部分圏であり,従ってbicompleteである.
\end{example}

他にも代数理論のモデルの圏など多くの良い圏がこの形をするらしい.2021/02の私はまだ未修だがnLabのリンク\url{https://ncatlab.org/nlab/show/locally+presentable+category#AsLocalizationsOfPresheafCategories}を貼っておく.

この話の集合演算における話をする.$P(X)$のfull subcategoryは$P(X)$の部分集合,つまり$X$の部分集合族と対応する.$X$の部分集合族$\Sigma$であって埋め込み$\iota: \Sigma \to P(X)$が左随伴を持つものを考えたい.左随伴はただの部分集合から部分集合族の元を作る操作になるから,生成のような働きをすると予想される.
\[
\begin{tikzcd}
 \Sigma \ar[rr , "\iota"{name=I, below}] && P(X) \ar[ll, bend right=40, ""{name=C, above}] \ar[from=Q, to=C, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]

関手$U:\ca{C}\to \ca{D}$が左随伴を持つことは,$\ca{D}$の任意の対象$d$についてコンマ圏$d\downarrow U$がinitial objectを持つことと同値である(随伴は対象ごとの普遍射である!).$P(X)$の部分集合の埋め込み$\iota : \Sigma\to P(X)$と$A\in P(X)$に関するコンマ圏$A\downarrow \iota$は$A$を含む$\Sigma$の元のなす(包含に関する)順序集合である.
$A\downarrow \iota$のinitial objectは$A$を含む$\Sigma$の元のうち最小なものである.
そこで,部分集合族が生成可能であることを次のように定義する.
\begin{definition}[生成可能]
集合$X$の部分集合族$\Sigma\subset P(X)$が生成可能である(もしくはMoore collection \url{https://ncatlab.org/nlab/show/Moore+closure#InTermsOfClosureCondition} である)とは,任意の$A\subset X$について$\{S\in \Sigma\mid A\subset S\}$が最小元を持つことをいう.
\end{definition}

この定義は普段使っている素朴な生成の概念とちょうど一致していることに気づく.つまり部分集合族の生成可能性は,「部分集合$A$で生成されるhogehogeとは$A$を含む最小のhogehogeである」といった定義が意味をなすための必要十分な条件になっている.

典型的な例は代数の部分構造である.
\begin{example}[部分群]
群$X$について、部分群全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
\begin{example}[正規部分群]
群$X$について、正規部分群全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
\begin{example}[部分環]
環$X$について、部分環全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
\begin{example}[イデアル]
可換環$X$について、イデアル全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
などなど代数だけでも例はいくらでもある.位相空間論における閉包を思い出すと次も生成可能である.
\begin{example}[閉集合]
位相空間$X$について、閉集合全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
また,二項関係の生成も例である
\begin{example}[同値関係]
集合$Y$について、$X=Y^{2}$とすると同値関係全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
\begin{example}[前順序]
集合$Y$について、$X=Y^{2}$とすると前順序全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
また,集合族の生成もこの枠組みである.
\begin{example}[$\sigma$-加法族]
集合$Y$について、$X=2^{Y}$とすると$Y$上の$\sigma$-加法族全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
他にもロジックからは
\begin{example}[Deductively closed set]
一階論理の語彙$\mathcal{L}$の文全体の集合$X=\rm{Sentence}_{\ca{L}}$について,deductively closed set全体の集合$\Sigma$は生成可能である。
\end{example}
などが挙げられる.
他にもhogehogeを含む最小のなんとやら,と定義されるような生成概念はこの形で書かれる.他の例も\cite{genref}を見るとよい.

生成可能な部分集合族において,共通部分をとる操作で閉じていることを示してから集合$A$を含む$\Sigma$の元の共通部分をとる操作を考えることは多いだろう.このことは一般の生成可能な集合族で可能である\footnote{さらにこの構成方法はcodensity monadの例になっている.}.反映的であることと同値になるように生成可能性を定義したことも添えて次のように書いておく.
\begin{theorem}[生成可能$\iff$反映的$\iff$共通部分で閉じている]\label{生成可能反映的共通部分で閉じている}
集合$X$とその部分集合族$\Sigma$について,以下は同値.
\begin{enumerate}
\item $\Sigma$は生成可能である。
\item $\Sigma$は$P(X)$の反映的部分圏である.つまり,それぞれ包含関係で圏とみなしたときに埋め込み$\iota :\Sigma\to P(X)$は左随伴を持つ.
\item $\Sigma$は共通部分をとる操作で閉じている.つまり,任意の$\Sigma '\subset \Sigma$について$\displaystyle \bigcap_{S\in \Sigma '} S \in \Sigma$である。($\Sigma ' =\emptyset$のときに特に$X\in \Sigma$を意味する)
\end{enumerate}
\end{theorem}
\begin{proof}
$(1)\iff (2)$ 生成可能性の定義の直前に証明を述べている.生成可能性の定義はコンマ圏のinitial(普遍射)の存在を書き下したものであった.

$(2)\Rightarrow(3)$反映的部分圏の埋め込みは極限をcreateすることからOK.

$(3)\Rightarrow(2)$このとき$\iota:\Sigma\to P(X)$は完備圏からのcontinuousな関手である.domainがsmall categoryなのでsolution set conditionは自明になり,一般随伴関手定理より左随伴を持つ.
\end{proof}

この定理は随伴に関する基本的な理論の非常に簡潔かつ慣れ親しんだToy Exampleを提供してくれている.
まず,随伴の存在条件である.コンマ圏のinitialの存在による記述はもちろん,随伴関手定理のToy Exampleにもなっている.随伴関手定理の技巧的な部分の多くはsmallでない状況からやってくるsolution set conditionに関するものだと言ってしまいたい(2021/02の私の個人的な意見). ここではsmallな圏しか考えていないので,残念ながらsolution set conditionに親むための良い例を与えているわけではない. $A$を含むもの全ての共通部分をとることで生成をするという慣れ親しんだ手法は,随伴関手定理で極限を使って左随伴を構成するアイデアの単純な場合であるということを示している.

また,関手圏の反映的部分圏が非常に良い性質を引き継ぐことの例にもなっている. 層のときのように,bicomplete categoryへの関手圏の反映的部分圏である生成可能部分集合族は(小さい)極限と余極限が全て存在してその形まで分かる. $\Set$がbicompleteであることがpresheafの圏$\Set^{\ca{O}(X)^{\op}}$に移り,そしてsheafの圏に移ったことと全く同じようにして,非常に単純な圏$\2$がbicompleteであるという性質が冪集合$P(X)$に移り,そして生成可能部分集合族に移るのである.

\begin{corollary}[生成可能部分集合族は完備束]
集合$X$の生成可能な部分集合族$\Sigma$は包含関係に関して完備束である.さらに極限は共通部分で与えられ,
余極限は和集合で生成される$\Sigma$の元で与えられる.
\end{corollary}
\begin{proof}
bicomplete category $P(X)$の反映的部分圏であることから分かる.context \cite{context} のProposition 4.5.15などを見るとよい.
\end{proof}

このCorollaryの逆も紹介しておく.
\begin{remark}[完備束はある生成可能部分集合族と順序同型]
%順序集合としての性質として,完備束である以上のことは冪集合の反映的部分圏であることだけからは言えないと言ってしまうことにする.なぜなら,
完備束はある生成可能部分集合族と順序同型になる.従って順序集合に関して冪集合の反映的部分圏として実現されることと完備束であることは同値である.実際,任意の完備束$L$について,その台集合を$\abs{L}$と書くことにすると
\[L\to P(\abs{L}):l\to \{k\in L\mid k\leq l\}\]
はinfを保つ.従って随伴関手定理より左随伴を持つ.さらにこの埋め込み関手はfully faithfulであることも容易に証明される.これで示された.
この構成をより自然な方法で眺めるなら,$L$から$\2$への順序準同型全体のなす順序集合$\2^{L}$(冪集合ではない)への\red{``米田埋め込み''}\footnote{真偽値豊穣圏をやったらこのダブルクオーテーションマークが外れると期待している.}$L\to \2^{L}$の連続性に任せるべきかもしれない.米田埋め込みがfully faithfulかつ連続性であることはここでも類似として\footnote{真偽値豊穣は2021/02ではまだできていない}成立している.今回は一般の順序集合を扱わず集合に限定しているため支障が出ている.集合演算の話まで無理やり持っていくにはここから$P(X)$つまり$\2^{\abs{L}}$まで持っていけばよい.つまり,$\2^{L}\to \2^{\abs{L}}$がfully faithfulかつ連続なことを確かめればよい.$\2^{L}$は$L$の下向きに閉じた部分集合と包含のなす順序集合だと思えるから,例えば次のRemarkから$\2^{L}\to \2^{\abs{L}}$が反映的であることはすぐに分かる.
\end{remark}

\begin{remark}[生成可能性の実用的な判定方法]\label{生成可能性の実用的な判定方法}
Theorem \ref{生成可能反映的共通部分で閉じている}では,生成可能性と同値な条件を二つ挙げた.実は\ref{自由モナドと生成の一般論III}節では生成可能性の同値条件を追加でもう一つ挙げる.それはinformalに言えば「ある元(たち)が存在していれば別のある元も存在している」という形で定義可能なことである.ちゃんと書くと,集合$X$の部分集合族$\Sigma\subset P(X)$が生成可能であることと,ある写像$d:P(X)\to P(X)$であって任意の$U\subset X$について
\[U\in \Sigma \equi \forall S\subset U, d(S)\subset U\]
なることは同値である,という主張になる.この条件は使い勝手が良い.例えば正規部分群が単位元と積と逆元と共役で閉じている部分集合であると定義されれば,定義をそのまま写像$d$に言い換えて
\[
d(S)=\{e\}\cup\{xy\mid x,y\in S\}\cup\{x^{-1}\mid x\in S\}\cup\{gxg^{-1}\mid x\in S ,g\in X\}
\]
を考えればよい.\ref{自由モナドと生成の一般論III}節では$d$から生成可能部分集合(正確には対応する閉包作用素)を作る操作は自由モナドの構成としてかけることをみる.

% 他にもいくつかの性質があるが,この文章の趣旨から離れるので\cite{genref}に任せる.
\end{remark}

\subsection{idempotent adjunctionの分解}\label{idempotent adjunctionの分解}
二項関係から得られる両側右随伴の話とそれから得られるガロア対応の話と反映的部分圏の話は次の形で相互につながる.

\begin{theorem}[二項関係から得られるガロア接続と反映的部分圏]\label{二項関係から得られるガロア接続と反映的部分圏}
集合$X,Y$の間の二項関係$R:X\times Y\to \2$に誘導される両側右随伴
\[
\begin{tikzcd}
P(X)^{\op} \ar[rr,bend right,"","\XR"{name=S, below}] & & P(Y) \ar[ll,bend right,,"","\RY"{name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
は三つの随伴
\begin{itemize}
\item $P(X)$の反映的部分圏
\[
\begin{tikzcd}
P(X)^{\op} \ar[rr,bend right,"","\RY \circ \XR"{name=S, below}] & & {\Closed_{X,R} }^{\op}\ar[ll,,,"","\iota"{name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
\item ガロア対応(圏同型)
\[
\begin{tikzcd}
  {\Closed_{X,R} }^{\op} \ar[rr, start anchor={[yshift=-1ex]}, end anchor={[yshift=-1ex]}]  &\cong & \Closed_{R,Y}  \ar[ll, start anchor={[yshift=1.2ex]}, end anchor={[yshift=1.2ex]}]
\end{tikzcd}
\]
% {\Closed_{X,R}}^{\op} \cong \Closed_{R,Y}

\item $P(Y)$の反映的部分圏
\[
\begin{tikzcd}
\Closed_{R,Y}  \ar[rr,,,"","\iota"{name=B,below}] & & P(Y)\ar[ll,bend right,"","\XR \circ \RY"{name=S, above}]  \ar[from=S, to=B, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
\end{itemize}
の合成
\[
\begin{tikzcd}
P(X)^{\op} \ar[rr,bend right,"","\RY \circ \XR"{name=S, below}] & & {\Closed_{X,R} }^{\op}\ar[ll,,,"","\iota"{name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] \ar[rr, start anchor={[yshift=-1ex]}, end anchor={[yshift=-1ex]}] &\cong & \Closed_{R,Y}  \ar[rr,,,"","\iota"{name=B,below}] \ar[ll, start anchor={[yshift=1.2ex]}, end anchor={[yshift=1.2ex]}]& & P(Y)\ar[ll,bend right,"","\XR \circ \RY"{name=S, above}]  \ar[from=S, to=B, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
に等しい.
\end{theorem}
\begin{proof}
像はfixed pointだったから,$\XR\circ\RY\circ\XR=\XR$,$\RY\circ\XR\circ\RY=\RY$となるので関手としては等しい.それぞれの$\Closed$が反映的部分圏になっていることの証明はモナドの章で行う. それぞれの$\Closed$は随伴に誘導されたモナドのEilenberg-Moore圏になっていることから説明される.
\end{proof}
この現象は一般のidempotent adjunctionで見られるものである. 例えば\url{https://ncatlab.org/nlab/show/idempotent+adjunction#definition}を参照. 
%二項関係に誘導される両側右随伴は(他の全てのidempotent adjunctionと同様に)反映的部分圏

反映的部分圏は極限をcreateするのであった.$\Closed_{X,R}$のinfは共通部分で与えられることはこのことから分かっている.ではsupはというと,(一般のreflective subcategoryでの余極限の与えられ方を書き下して)和集合で生成されるものになるのであった. ここで,ガロア対応を介してもう一方の$\Closed$ではinfになっていることから計算することもできる. ガロア群の部分群の族のsupは,和集合で生成される部分群であるのと同時に,対応する中間体の共通部分に対応する部分群でもある.idempotent adjunctionの分解によって極限や余極限の情報が得られる普段の数学における例を出す.

\begin{remark}[層の極限,余極限]
位相空間$X$の層の圏$\Sh_{X}$は,$X$上の前層圏$\Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}}$の反映的部分圏であった.
従って極限は前層圏の極限,つまり開集合ごとの$\Set$での極限になるのであった.余極限は前層圏での余極限のsheafificationで与えられる.ここまでは単に反映的部分圏であることから分かる事実である.

idempotent adjunction
\[
\begin{tikzcd}
\Top / X \ar[rr,bend right,"","\Gamma"{name=S, below}] & & \Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}} \ar[ll,bend right,,"","L"{name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
の分解
\[
\begin{tikzcd}
\Top / X \ar[rr,bend right,"","L \circ\Gamma"{name=S, below}] & & \rm{Etale}_{X}\ar[ll,,,"","\iota"{name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] \ar[rr, start anchor={[yshift=-1ex]}, end anchor={[yshift=-1ex]}]&\cong & \Sh_{X}  \ar[rr,,,"","\iota"{name=B,below}] \ar[ll, start anchor={[yshift=1.2ex]}, end anchor={[yshift=1.2ex]}]& & \Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}} \ar[ll,bend right,"","\Gamma \circ L"{name=S, above}]  \ar[from=S, to=B, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
を考える.ここで$\rm{Etale}_{X}$は局所同相写像からなる$\Top /X$の余反映的部分圏である.すると,$\Sh_{X}$での余極限は$\rm{Etale}_{X}$で考えた方が楽になる. 一般の余反映的部分圏でそうであるように,$\rm{Etale}_{X}$の余極限は$\Top /X$の余極限からcreateされる.さらに一般のスライス圏でそうであるように,$\Top /X$の余極限は$\Top$の余極限からcreateされる.$\Top$の余極限は$\Set$での余極限に特定の位相(coconeが連続になるような最強の位相)を入れたものであるから,結局余極限は計算されたことになる. このようにsheafの圏は関手圏に反映的に,$\Top /X$に余反映的に埋め込まれていることからいくつもの性質が分かるのである.
\end{remark}

\begin{remark}[順序集合に誘導される完備ブール代数]
集合$X$上の対称な二項関係$\perp$があると,$\Closed_{X,\perp}=\Closed_{\perp,X}$となる.この完備束を$L$と書くことにすると,ガロア対応は反変同型$L^{\op} \cong L$を与えている.

$X$が順序集合で$\perp$がincompatible(共通の下界を持たない)なら,この反変同型$L^{\op} \cong L$を否定演算にして$L$は完備ブール代数になる.この二項関係に関する閉集合は$S\subset X$であって
\begin{itemize}
    \item $S$ : Downward Closed
    % \forall x \in X, \forall s \in S, x\leq s\Rightarrow x\in S
    \item $\forall x \in X, S \text{:dense below}\  x \Rightarrow x\in S$
\end{itemize}
なるものである.
集合論におけるforcingではこの完備ブール代数が現れる.
forcing relationはforcing poset $\mathbb{P}$に関するこの完備ブール代数への(Forcing languageの文を適切な同値関係で割ってできるブール代数からの)ブール代数準同型を与えている.

順序集合と$\perp$がブール代数を誘導することは分かったが,ブール代数が誘導されるかは順序構造には依存せずに二項関係$\perp$のみに依存する.対称な二項関係がいつブール代数を誘導するかを二項関係のみの言葉で単純に書くことは(2021/04の私は)まだできてない.
\end{remark}

\section{モナド}
\ref{モナド,Eilenberg-Moore圏と生成の一般論II}節では\ref{関手圏の反映的部分圏,随伴関手定理と生成の一般論I}節で言及された生成可能性を生成の作用素(閉包作用素と呼んでいる)の視点から眺める.そしてその概念が冪集合上のモナド(Moore closureともいう)と一致していることを確かめる.モナドとEilenberg-Moore圏の対応がここでは閉包作用素と生成可能部分集合族の対応になっていることをみる.

\ref{自由モナドと生成の一般論III}では生成可能部分集合族が「ある操作で閉じている部分集合の族」としてかけるという直感を数学的に記述して結構便利なことをみる.そしてこの事実は自己写像から作られる自由モナドの議論から得られることをみる.自由モナドを作る際に特殊な形の随伴に関するToy Exampleが得られるのでそれも紹介する.

\ref{随伴に誘導されるモナドと二項関係に誘導される閉包作用素}節では随伴からモナドが作られるという一般論のToy Exampleとして\ref{随伴}章の後半の内容との関連を見る.二項関係により誘導される両側右随伴(mutually right adjoint)により誘導される閉包作用素が得られる.

\ref{Kleisli圏と生成の推移律}節では閉包作用素のKleisli圏を見ることでKleisli射の合成可能性が生成に関するある種の推移性に対応していることをみる.また,Kleisli圏およびEilenberg-Moore圏の普遍性を冪集合間の両側右随伴のケースに限って言及している.


\ref{モナドによる余極限の保存と順序,位相,有限項演算の代数}節は与えられたモナドがどんな余極限を保つかは注目に値するという話からはじめ,前順序と位相空間と有限項演算の代数という三つの構造はあるクラスの余極限を保つ冪集合上のモナドと対応していることを示す.この節は他の節で直接参照することはない.「圏論のToy Exampleとしての集合演算」というこの文章の目的から多少逸れたこともRemarkで書いている.

\subsection{モナド,Eilenberg-Moore圏と生成の一般論II}\label{モナド,Eilenberg-Moore圏と生成の一般論II}
圏$\ca{C}$上のモナドとは,自己関手$T:\ca{C}\to \ca{C}$と自然変換(unit)$\eta:\id{\ca{C}}\to T$と自然変換(multiplication)$\mu:T^{2}\to T$の組$(T,\eta,\mu)$であって,単位性や結合性と呼ばれる可換性の条件を満たすものであった.詳しくは例えばcontext \cite{context}のDefinition 5.1.1.を見るとよい.

$\Set$などの圏上のモナドを考え,その代数の圏(Eilenberg-Moore圏)を考えることで普遍代数的な結果を得ることはモナドの普段の数学における活躍であった.これも詳しくは例えばcontext \cite{context}の5章\footnote{contextの5章は本当に面白いと2021/02の私は思っている}を見ればよい.

今回は冪集合$P(X)$上のモナドを考える.$P(X)$は順序集合なので自然変換は不等号の条件に言い換えられ,さらに可換性の条件は自明になる.
\begin{definition}[閉包作用素]
集合$X$上の閉包作用素(Moore closure)とは,$P(X)$上のモナド,つまり写像$\cl :P(X)\to P(X)$であって
\begin{description}
\item[関手性] 任意の$V,U \subset X$について,$V \subset U \Rightarrow \cl(V) \subset \cl(U)$
\item[unit] 任意の$V\subset X$について,$V\subset \cl(V)$
\item[multiplication] 任意の$V\subset X$について,$\cl(\cl(V))\subset \cl(V)$
\end{description}
なるものをいう.
\end{definition}

multiplicationとunitを合わせて「任意の$V\subset X$について,$\cl(\cl(V))= \cl(V)$」が分かる.
従って,$P(X)$上のモナドは(他の順序集合上のモナドと同様に)全てidempotentである.

閉包作用素に対して,閉集合の概念を定義しよう.
\begin{definition}[閉集合]\label{閉集合}
集合$X$上の閉包作用素$\cl$について,$\cl$の不動点,つまり$U\subset X$であって$\cl(U)=U$なるものを$\cl$の閉集合という.$\cl$の閉集合全体の集合を$\Closed(\cl)$と書く.
\end{definition}

実は閉集合はモナドの代数である.
\begin{theorem}[閉集合は閉包作用素の代数]
集合$X$とその上の閉包作用素$\cl$について,$\cl$のモナドの代数は$\cl$の閉集合のことである\footnote{正確にいうならば埋め込み$\iota:\Closed(\cl)\to P(X)$はmonadicであり,誘導するモナドは$\cl$である,と言っている}.従って$\Closed(\cl)$は$\cl$のEilenberg-Moore圏である.従って埋め込み$\iota:\Closed(\cl)\to P(X)$は左随伴を持ち,$\Closed(\cl)$は生成可能部分集合族である.
\end{theorem}
\begin{proof}
モナド$(T,\eta,\mu)$の代数とは,対象$c$と射$\alpha:Tc\to c$の組$(c,\alpha)$であって単位性と結合性を満たすものであった.冪集合では(他の順序集合と同様に)単位性と結合性は自明になり,$\alpha$も不等号である.従って$\cl$の代数は$V\subset X$であって$\cl(V)\subset V$なるものである.$\cl(V)\supset V$は閉包作用素の定義から保証されているので,$\cl$の代数とは$\cl$の閉集合のことであると分かった.代数の射は台となる対象の射であって可換性の条件(今回は自動的に成立)を満たすものであったので,代数の圏は$\Closed(\cl)$を包含関係で圏とみなしたものである.今,$\iota:\Closed(\cl)\to P(X)$はfully faithfulなので反映的部分圏であり,随伴の章で見たように生成可能部分集合族になる.
\end{proof}

逆に,随伴があればモナドを誘導するのだから,反映的部分圏から閉包作用素が作られる.
このような反映的部分圏とidempotent monadの対応は一般的な現象であるが,冪集合においては次の形をとる.

\begin{corollary}[生成可能部分集合族と閉包作用素の対応]\label{生成可能部分集合族と閉包作用素の対応}
集合$X$の冪集合$P(X)$において(も!),idempotent monadとreflective subcategoryは対応する.
従って,$X$の生成可能部分集合族と$X$上の閉包作用素は
\[\text{生成可能部分集合族} \mapsto \text{誘導されるモナド}\]
\[\text{閉包作用素} \mapsto \text{Eilenberg-Moore圏}\]
なる操作で一対一に対応する
\end{corollary}
一般には同型類を見る必要があるのだが,今回はモナドの自然同型類は自身だけだし,生成可能部分集合族は自然に完全代表系をとっていることになる.

従って,例は生成可能部分集合族と同じだけある.例えば,部分群全体という生成可能部分集合族に対応して,生成する部分群を取るという閉包作用素がある.

\begin{remark}[冪集合以外の順序集合において]
この文章では,一般に順序集合で成り立つことを冪集合に限定して述べていることがよくある.この節もそうである.

冪集合以外での生成概念として例えば測度空間の完備化を考えてみる.集合$X$上の測度空間の構造全体が成す集合$\rm{Meas}(X)$を考えてみる.$\rm{Meas}(X)$は測度空間の構造の拡張関係に関して順序構造を持つ.$X$上の完備測度空間の構造と測度空間の完備化の対応はCorollary \ref{生成可能部分集合族と閉包作用素の対応}の意味での対応である.

\end{remark}

\subsection{自由モナドと生成の一般論III}\label{自由モナドと生成の一般論III}
随伴の章でも見たように生成可能部分集合族は冪集合の反映的部分圏のことであった.
実はRemark \ref{生成可能性の実用的な判定方法}でも言及したように,生成可能部分集合は次の形でも判定できる.

\begin{proposition}[生成可能性の実用的な判定方法]\label{命題生成可能性の実用的な判定方法}
集合$X$の部分集合族$\Sigma\subset P(X)$が生成可能であることと,ある写像$d:P(X)\to P(X)$が存在して任意の$U\subset X$について
\[U\in \Sigma \equi \forall S\subset U, d(S)\subset U\]
なることは同値である,
\end{proposition}
証明は具体的に計算することでも得られるが,この節の最後で自由モナドとしての記述から系として得ることにする.この命題は実は便利で,普段見かける多くの生成可能部分集合は定義を明らかな方法で写像$d$に書き換えることで直ちに生成可能性を判定できる.

\begin{example}[部分群]
群$G$の部分群は単位元と積と逆元で閉じている部分集合であったから
\[
d(S)=\{e\}\cup\{xy\mid x,y\in S\}\cup\{x^{-1}\mid x\in S\}
\]
を考えればよい.
\end{example}
部分群のケースのように$d$はある種の操作を記述していて,Proposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}の条件はその操作で閉じていることを主張していると思える.この意味で生成可能性はある元たちが入っているときその元たちに操作をして得られる別の元たちも入っているという条件で記述できることと同値になる\footnote{閉集合でさえ,自明な方法で(つまり閉包作用素自体を$d$に取ることで)この形で記述できる.今回はつまらない例だが.}.

\begin{example}[同値関係]
集合$X$上の二項関係$R\subset X\times X$は反射律と対称律と推移律を満たすとき同値関係というのであったから
\[
d(R)=\{(x,x)\mid x\in X\}\cup\{(y,x)\mid (x,y)\in R\}\cup\{(x,z)\mid (x,y),(y,z)\in R\}
\]
を考えればよい.
\end{example}

このように,Proposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}は何かを含むなら(別の)何かを含む,といった形で定義された部分集合族が生成可能になることを主張している\footnote{順序は生成可能でなくて前順序が生成可能なことを考えると分かりやすいかも}.
これら以外の例を含め,詳しくは\cite{genref} を見るとよい.

もう一つくらい例を挙げておく.
\begin{example}[演算とcompatibleな同値関係]
代数構造が与えられたときに,演算とcompatibleな同値関係も生成可能であることもこのPropositionから分かる.つまり,同値関係であってその商集合に(代表元の取り方によらず)演算が誘導されるものは生成可能である\footnote{群や環の場合は正規部分群や両側イデアルのように(単位元およびゼロ元という)特別な元の同値類を考えることで同値関係を部分代数構造と同一視できた.しかし,一般には同値関係そのものを考える必要がある.}.関係で結ばれた元たちの演算結果も関係で結ばれることを書くだけである.

このことから例えばモノイド$M$とその二元$x,y \in M$が与えられたら$[x]=[y]$なるような$M$の剰余モノイドで普遍的なものの存在がすぐに分かる.
\end{example}

\begin{remark}[生成可能部分集合族の族の生成可能性]
今述べたようにProposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}から多くの生成可能性が直ちに導かれる.その一つとして生成可能部分集合族の族の生成可能性に明示的に言及しておく.集合$X$が与えられたときに$X$上の生成可能部分集合族の族は$P(X)$上の生成可能部分集合族になる.このことはProposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}とTheorem \ref{生成可能反映的共通部分で閉じている}の3番目の条件から直ちに従う.

この事実も実は便利である.Theorem \ref{生成可能反映的共通部分で閉じている}より,生成可能部分集合族らの共通部分は再び生成可能部分集合族になることが分かる.例えば,位相群において閉部分群は生成可能かと聞かれれば,(部分群の生成可能性と閉集合の生成可能性から)直ちにYesと返すことができる.
% もう少し親しみやすい例であれば,部分群の生成可能性と共役で閉じた部分集合の生成可能性か
\end{remark}

ここからはこれが自由モナドとしてかけることを見る.
nLabの自由モナドのページ\url{https://ncatlab.org/nlab/show/free+monad}にもあるように,自由モナドという概念にはいくつかの流儀がある.
これらに関する定義から始める.

圏$\ca{C}$上のmonadの圏はmonadを対象にして,unitとmultiplicationと可換な自然変換を射とする圏である.ここでは順序集合を考えるので可換性は自動的に従う.よって次のように閉包作用素の圏$\Mnd(P(X))$としては閉包作用素と各点の包含関係からなる順序集合を考えればよい.すなわち,モナドの圏は今回は$P(X)^{\ob{P(X)}}$(これも順序集合)のfull subcategoryである.同様に,endofunctor(自己関手), pointed endofunctor($\id{P(X)}$からの自然変換付き自己関手)の圏(これも順序集合)を$P(X)^{\ob{P(X)}}$のfull subcategoryとして定義する\footnote{これも今回は順序集合ばかり考える都合で各種の可換性が自動で従い,普段の定義と一致する.}.


\begin{definition}[モナドの圏,閉包作用素の順序集合]
集合$X$に関して,
\begin{description}
\item[モナド] $X$上の閉包作用素全体からなる$P(X)^{\ob{P(X)}}$のfull subcategoryを$\Mnd(P(X))$と書き,
% 全体の集合に
% \[\cl \leq \cl ' \equi \forall V \subset X, \cl (V)\subset\cl ' (V)\]
% なる順序を入れた順序集合を$\Mnd(P(X))$と書く.

\item[Pointed endofunctor] $P(X)$上のPointed endofunctor(自己関手$F:P(X)\to P(X)$で$\forall V\subset X, V\subset F(V)$なるもの)全体からなる$P(X)^{\ob{P(X)}}$のfull subcategoryを$\PtEnd(P(X))$と書き,

\item[Endofunctor] $P(X)$上の自己関手全体からなる$P(X)^{\ob{P(X)}}$のfull subcategory($=P(X)^{P(X)}$)を$\End(P(X))$と書く.
\end{description}

\end{definition}

これから考える自由モナドは$\Mnd(P(X))$からの忘却
\[\Mnd(P(X))\to P(X)^{\ob{P(X)}}\]
の左随伴である.今回はこの忘却関手を三つの忘却関手の合成
% \[\Mnd(P(X))\to \PtEnd(P(X)) \to \End(P(X))\to P(X)^{\ob{P(X)}}\]
\[
\begin{tikzcd}
\Mnd(P(X)) \arrow[hookrightarrow]{r}& \PtEnd(P(X)) \arrow[hookrightarrow]{r}& \End(P(X)) \arrow[hookrightarrow]{r}& P(X)^{\ob{P(X)}}\\
\end{tikzcd}
\]
に分解してそれぞれの左随伴を見る.先に言及した別の流儀は,残り二つの中間にある圏$\PtEnd(P(X)), \End(P(X))$ からの左随伴である.今回のケースでは右随伴が全てfully faithfulなので三つの流儀による自由モナドは一致する\footnote{例えばpointed endofunctor $F$から作った自由モナドと$F$を単に写像$F:\ob{P(X)}\to P(X)$としてみて作った自由モナドは一致している.}.

\begin{remark}[射の分解について]
一般に射は分解して持って置くと良い傾向にある.第一のメリットとしては情報が失われないことが挙げられる.合成はいつでもできる.第二に,より単純でよく見知った射の合成でできていることが分かると扱いやすいし直感的な理解にも繋がる.今回もある程度複雑な左随伴を構成したいので,忘却を段階的に行い段階的に左随伴を構成することにする.具体的には,単なる写像$\ob{P(X)}\to P(X)$をモナド(1.順序を保ち(Endofunctor)  2.idより大きく(unit, Pointed endofunctor) 3.冪等である(multiplication))にするために1,2,3それぞれを別の随伴で実現してから合成する.左随伴の合成が左随伴になることは随伴に関する一般的な事実である.

同様のケースとして,例えば代数構造の忘却を段階的に行い自由な代数構造の構成を分解してみるとよい.
\end{remark}

まずは$\End(P(X))\to P(X)^{\ob{P(X)}}$から.
\begin{lemma}[関手化]\label{関手化}
集合$X$と写像$d:\ob{P(X)}\to P(X)$に対して,
$\widetilde{d}:P(X)\to P(X)$を
\[\widetilde{d}(V)=\bigcup_{S\subset V}d(S)\]
と定義する.このとき$\widetilde{(-)}$は忘却$P(X)^{P(X)}\to P(X)^{\ob{P(X)}}$の左随伴を与える.
\end{lemma}
\begin{proof}
これは具体的に計算することでも簡単に確認できるが,左Kan拡張の一般論から直ちに分かる事実である.詳しくはKan拡張の節で説明することにする.
\end{proof}
% \begin{remark}[各点左Kan拡張として]

% \end{remark}
次に$\Mnd(P(X))\to P(X)^{P(X)}$の随伴を見る.次で使う$\widetilde{(-)}$はすぐ上の$\widetilde{(-)}$とは別物である\footnote{記号を準備するのが面倒で使いまわしてしまった.}.
\begin{lemma}[Pointed endofunctor化]\label{Pointed endofunctor化}
集合$X$と自己関手$F:P(X)\to P(X)$に対して,
$\widetilde{F}:P(X)\to P(X)$を
\[\widetilde{F}(V)=V\cup F(V)\]
と定義する.このとき$\widetilde{(-)}$は忘却$\PtEnd(P(X))\to \End(P(X))$の左随伴を与える.
\end{lemma}
\begin{proof}
これも具体的に計算することでも簡単に確認できるが,スライス圏の一般論から直ちに分かる事実である.詳しくは続くremarkで説明することにする.
\end{proof}

\begin{remark}[スライス圏からの忘却とその左随伴]
一般に,binary coproductを持つ圏$\ca{C}$とその対象$X\in \ca{C}$についてスライス圏$X/\ca{C}$からの射影\[X/\ca{C}\to \ca{C}\]は左随伴を持つ.そしてその左随伴は対象ごとに$c\mapsto (X\to X\coprod c)$の形をしている.例えば\cite{CWM}のIV章の演習問題11を見ればよい.

今回は$\PtEnd(P(X))\cong \id{P(X)}/\End(P(X))$に注目すれば,$\widetilde{F}=\sup(\id{P(X)},F)$とすればよいことが分かる.$\End(P(X))$は関手圏なので余極限は対象ごとにとれて上のPropositionの形になる.

普段の数学の例を挙げるなら,例えば点つきな対象の圏から点を忘却する関手
$\mathrm{Set}_{\ast}\to \mathrm{Set}$, $\mathrm{Top}_{\ast}\to \mathrm{Top}$, $\mathrm{Group}_{\ast}\to \mathrm{Group}$の左随伴がこの形である.もう少し非自明な例としては,可換環のスカラー拡大が挙げられる.可換環$A,B$と環準同型$f:A\to B$が与えられているとき\footnote{例えば$\mathbb{R}\to \mathbb{C}$を考えるとよい.また,$A=\mathbb{Z}$にすると可換環の圏を考えることになる.},$f$に誘導される関手$f^{\ast}:B\text{-}\rm{alg}\to A\text{-}\rm{alg}$の左随伴は$B \otimes_{A} -$で与えられる.ここで$A\text{-}\rm{alg}$は可換$A$代数の圏であり,$B\text{-}\rm{alg}$は可換$B$代数の圏である.

また,当然ながら双対の主張も成立する.双対の主張は例えば位相空間$X$を位相空間$Y$のbundle\footnote{ここでは単に$Y$への連続写像の意味}にする普遍的な方法は$X\times Y\to Y$だと言っている.
\end{remark}

最後に,pointed endomorphismからmonadを作る.部分集合に対してそれより大きな最小の不動点を返せばよいのだが,2021/04現在,私はこれを圏論の一般的な随伴の一例としてとらえる視点を知らない\footnote{教えてください}.

\begin{lemma}[monad化]\label{monad化}
集合$X$とpointed endofunctor $T:P(X)\to P(X)$に対して,
$\widetilde{T}:P(X)\to P(X)$を
\[\widetilde{T}(V)=\min\{U\subset X \mid V\subset U ,  T(U)=U\}\]
と定義する.このとき$\widetilde{(-)}$は忘却$\Mnd(P(X))\to \PtEnd(P(X))$の左随伴を与える.
\end{lemma}
\begin{proof}
($\widetilde{T}$が存在し,モナドなこと)
fixed pointの共通部分が再びfixed pointになることを示す.$\{V_\lambda\}_{\lambda\in \Lambda}$がfixed pointの族ならば,
\[T\left(\bigcap_{\lambda \in \Lambda}V_{\lambda}\right)\leq\bigcap_{\lambda \in \Lambda}T(V_{\lambda}) = \bigcap_{\lambda \in \Lambda}V_{\lambda}\leq T\left(\bigcap_{\lambda \in \Lambda}V_{\lambda}\right)\]
となり$\bigcap_{\lambda \in \Lambda}V_{\lambda}$もfixed pointになる.ここで,最初の不等号には共通部分の性質\footnote{これはlimit coneを関手で送ったときに常に生える射である}を,次の等式には$V_\lambda$が$T$のfixed pointであることを,最後の不等号には$T$がpointedなことを使った.

従って,Theorem\ref{生成可能反映的共通部分で閉じている}より,$T$のfixed pointは生成可能部分集合を成し,$\widetilde{T}$は(前節に書いたように)対応するモナドである.

($T\leq \widetilde{T}$なこと)
$V\subset X$を任意に取ると,
\[T(V) \leq T(\widetilde{T}(V)) = \widetilde{T}(V)\]
となりOK.ここで最初の不等号では$V\leq \widetilde{T}(V)$($\widetilde{T}$がpointedなこと)と$T$が順序を保つこと(関手性)を使っていて,最後の等号では$\widetilde{T}(V)$が$T$のfixed pointであることを使っている.

($\widetilde{T}$が$T\leq T'$なるモナド$T'$の中で最小なこと)
$T\leq T'$なるモナド$T'$を任意に取る.このとき任意の$V\subset X$について$T'(V)$が$V$を含む$T$のfixed pointであることを示せばよい.$T'$はモナド(であり特にpointed)なので$V$を含むことはOK.$T$のfixed pointであることは
\[T'(V)\leq T(T'(V)) \leq T'(T'(V))= T'(V)\]
からOK.最初の不等号では$T$がpointedなことを使い,次の不等号では$T\leq T'$を使い,最後の等号では$T'$がモナドなこと(特に冪等なこと)を使った.
\end{proof}

ここまでをまとめて一つの命題として書いておく.
\begin{proposition}[自由モナドと写像から生成される閉包作用素]\label{自由モナドと写像から生成される閉包作用素}
集合$X$について,
\[
\begin{tikzcd}
\Mnd(P(X)) \arrow[hookrightarrow]{r}& \PtEnd(P(X)) \arrow[hookrightarrow]{r}& \End(P(X)) \arrow[hookrightarrow]{r}& P(X)^{\ob{P(X)}}\\
\end{tikzcd}
\]
のそれぞれは左随伴を持つ.
\[
\begin{tikzcd}
\Mnd(P(X)) \arrow[hookrightarrow, ""{name=A}]{r}&
\PtEnd(P(X)) \arrow[hookrightarrow, ""{name=B}]{r} \ar[""{name=AA}, start anchor= north west, end anchor=north east, bend right=40]{l}&
\End(P(X)) \arrow[hookrightarrow, ""{name=C}]{r}\ar[""{name=BB}, start anchor= north west, end anchor=north east, bend right=40]{l}& P(X)^{\ob{P(X)}}\ar[""{name=CC}, start anchor= north west, end anchor=north east, bend right=40]{l}
\ar[from=A, to=AA, symbol= , "\adj" description] 
\ar[from=B, to=BB, symbol= , "\adj" description] 
\ar[from=C, to=CC, symbol= , "\adj" description] 
\\
% {name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] 
% \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description]
\end{tikzcd}
\]
従って特に$\Mnd(P(X))$は$P(X)^{\ob{P(X)}}$の反映的部分圏である.
\end{proposition}

% では,この節の最初で約束したようにProposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}の証明をする.
% \begin{proof}
% (Proposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法})

% $\Sigma$が生成可能であるなら$d$として閉包作用素をとればよい.示すべきは逆である.$d:\ob{P(X)}\to P(X)$が与えられたときに,
% \[U\in \Sigma \equi \forall S\subset U, d(S)\subset U\]
% で定まる$\Sigma$は$d$から作られた自由モナドに対応する生成可能部分集合族である
% \end{proof}

ここまでで,写像から自由モナドを作ることができるようになった.自由モナドに対応する生成可能部分集合を書きくだすと,この節の最初で約束したようにProposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}の証明ができる.

\begin{corollary}[写像から作られた自由な閉包作用素の閉集合]\label{写像から作られた自由な閉包作用素の閉集合}
写像$d:P(X)\to P(X)$について,$d$から作られた自由モナドを$\cl_d$と書くことにすると
\[\Closed(\cl_d) = \{U\subset X\mid \forall S\subset U, d(S)\subset U\}\]
となる.特にProposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}は正しい.
\end{corollary}
\begin{proof}
pointed endofunctor, endofunctor, functionの順に(一つ前を参照しながら)自由モナドの閉集合である条件を書き下していく.

$T$がpointed endofunctorのとき$U\subset X$が$T$の自由モナドの閉集合であるための必要十分条件は$T$の不動点であること
\[T(U)=U\]
であり,$T$はpointedなので
\[T(U)\subset U\]
だけでよい.

従って,$F$がendofunctorのとき$U\subset X$が$F$の自由モナドの閉集合であるための必要十分条件は
\[U\cup F(U)\subset U\]
であり,
\[F(U)\subset U\]
だけでよい.

従って,$d$が写像$d:\ob{P(X)}\to P(X)$のとき$U\subset X$が$d$の自由モナドの閉集合であるための必要十分条件は
\[\bigcup_{S\subset U}d(S) \subset U\]
であり,
\[\forall S\subset U, d(S)\subset U\]
である.

後半の主張について.
Proposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}は同値性を主張していた.比較的難しい方はちょうど今示した.比較的簡単な方は$\Mnd(P(X))$は$P(X)^{\ob{P(X)}}$のrefrective subcategoryなので特に全てのモナド(閉包作用素)はある写像$\ob{P(X)}\to P(X)$(例えば自分自身)の自由モナドになっていることから分かる.
\end{proof}

% \begin{remark}[生成可能部分集合族の族の生成可能性]
% Proposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}は
% \end{remark}
% $\Mnd(P(X))$は$P(X)^{\ob{P(X)}}$の反映的部分圏であることが分かったが,$P(X)^{\ob{P(X)}}\cong \2^{X\times \ob{P(X)}}$なので$\Mnd(P(X))$はそれ自体生成可能部分集合族である.
% \begin{corollary}[生成可能部分集合族全体は生成可能]
% 集合$X$について,
% \end{corollary}



\begin{remark}[monoidal categoryにおけるfree monoidと閉包作用素の再帰的構成]
閉包作用素の再帰的な構成が一般的な枠組みでどう捉えられるか興味がある.
閉包作用素の再帰的な構成とは例えば次のようなものを指す.$G$を群として,$S$を$G$の部分集合とする.$n\in \mathbb{N}$ごとに$S_n \subset G$を次のように定める.
\begin{align*}
    S_0&=S\\
    S_{n+1}&=(S_n\text{の元の逆元か演算結果か単位元})
\end{align*}
すると$\bigcup_{n\in \mathbb{N}}S_n$は$S$で生成された部分群になる.
このような構成は必ずできるわけではない.
% この構成がどんなときに可能かについて2021/04の私は気分の良い回答を持っていない.
ただ,少なくとも$d:\ob{P(X)}\to P(X)$が無限集合上で空集合に値をとるときには同様の構成ができる\footnote{例えば写像$d:P(\mathbb{R})\to P(\mathbb{R})$を整数$x\in \mathbb{Z}$による一元集合$\{x\}$に対しては$d(\{x\})=\{x-1,x+1\}$として$\mathbb{Z}\in P(\mathbb{R})$に対しては$d(\mathbb{Z})=\mathbb{R}$としてそれ以外の部分集合に関しては空集合を返すことで定める.この$d$に関して$\{0\}$の閉包を考えるとよい.順序数に沿った再帰への一般化を考えると\cite{Kunen}のLemma I.13.21と同じ理由で基数の正則性が関係する.}.このような$d$は有限的な閉包作用素に関わるので\ref{モナドによる余極限の保存と順序,位相,有限項演算の代数}節でもう一度みる.$d$から作られた自由なPointed Functorを$f$と書くことにする.部分群の生成の例で見た$S_n$から$S_{n+1}$への一ステップは$f$で送ることに対応している.
そして
$\bigcup_{n\in \mathbb{N}}f^{n}(S)$
は$d$で生成された閉包作用素に関する$S$の閉包になっている.特定の$S$を代入せずに自己写像だけの言葉で書けば
\[\sup_{n\in \mathbb{N}}f^{n}\]
が$f$の,従って$d$の自由モナドである.

この再帰的な閉包作用素の構成に類似した構成として,自由モノイドやテンソル代数などがある.
集合$A$に対する自由モノイド(有限文字列と結合のなすモノイド)は
\[\coprod_{n\in \mathbb{N}}A^{n}\]
であるし,線形空間$V$に対するテンソル代数は
\[\bigoplus_{n\in \mathbb{N}}V^{\otimes n}\]
である.

モナドは自己関手圏のモノイド対象であることを思い出すと,ここに共通の文脈が存在することが分かる.つまり,monoidal圏$(B,\otimes,\mathbb{I})$のmonoidの圏$\mathrm{Monoid}_{B}$からの忘却$\mathrm{Monoid}_{B}\to B$の左随伴を考えている事になる. $B$が可算無限直和を持っていて,さらに$B$での積の関手$b\otimes -$と$-\otimes b$が共に可算無限直和を保存するときには$b$に対する自由モナドは
\[\coprod_{n\in \mathbb{N}} b^{\otimes n}\]
とかけることが知られている.例えば\cite{CWM}のVII章3節のTheorem 2を見ればよい.特に$B$がcocompleteなmonoidal closed categoryなら十分であり,(集合の)自由モノイドやテンソル代数はこれで説明される.

$\sup$が直和になっていることと自己関手圏で考えているモノイダル構造が関手の合成であることを思い出すと,閉包作用素の再帰的な構成はちょうど$\coprod_{n\in \mathbb{N}} b^{\otimes n}$という構成に一致していることが分かる.ただし閉包作用素のケースでは\cite{CWM}のVII章3節のTheorem 2の仮定を満たすとは限らず,すべての$d$に関して再帰的な構成がうまくいくわけではない.ここには面白い数学が関わっているようだが,2021/04の私では能力不足でこれ以上書けない.nLabでは\url{https://ncatlab.org/nlab/show/transfinite+construction+of+free+algebras}なんかが関わると2021/04の私は思っている.
\end{remark}

\subsection{随伴に誘導されるモナドと二項関係に誘導される閉包作用素}\label{随伴に誘導されるモナドと二項関係に誘導される閉包作用素}
一般に随伴があれば,右随伴のcodomianに上にモナドが誘導されるのであった.\con{Lemma 5.1.3}このことを二項関係から誘導される両側右随伴(Proposition \ref{二項関係からくる両側右随伴})に適用すると次が得られる.

\begin{proposition}[二項関係に誘導される閉包作用素]
集合$X,Y$間の二項関係$X\times Y\to \2$について,$\RY\circ\XR$は$X$上の閉包作用素である.同様に,$\XR\circ\RY$は$Y$上の閉包作用素である.さらに,$\Closed_{X,R}=\Closed(\RY\circ\XR)$であり$\Closed_{R,Y}=\Closed(\XR\circ\RY)$である.
\end{proposition}

このことは約束しておいたTheorem \ref{二項関係から得られるガロア接続と反映的部分圏}の反映的になることの証明を与えている.
%Kan拡張の節で紹介するが,実はすべての閉包作用素はこの形でかける.

\begin{remark}
実はすべての閉包作用素はこの形でかける.実際,全ての完備束は冪集合の反映的部分圏なのであったから,$P(X)$上の閉包作用素$\cl$を取ってきて完備束$Q=(\Closed_{\cl})^{\op}$を反映的部分圏に持つ冪集合$P(Y)$が取れる.二つの反映的部分圏の随伴を繋いだ随伴は冪集合の間の両側右随伴になるので二項関係から誘導される.この随伴のfixed pointは相変わらず$\Closed_{\cl}$のままであり,これで全ての閉包作用素が二項関係から誘導されることが分かった.
\end{remark}

二項関係の数だけ例があるのだが,ここでは4章で紹介したものの中からいくつかの例を書いておく.

\begin{example}[Galois理論における閉包作用素]
体の有限次ガロア拡大$K\subset L$とそのガロア群$\mathrm{Gal}(L/K)$に対して,二項関係$\sigma(x)=x$が与える閉包作用素は$K$上生成される中間体をとる操作と生成される部分群を取る操作である.
\end{example}

\begin{example}[ヒルベルトの零点定理における閉包作用素]\label{ヒルベルトの零点定理における閉包作用素}
代数閉体$\mathbb{K}$と正整数$n$について,$X=\mathbb{K}[x_{1},\dots,x_{n}]$と$Y=\mathbb{K}^{n}$の間の二項関係$f(a_{1},\dots,a_{n})=0$が与える閉包作用素は,$S\subset\mathbb{K}[x_{1},\dots,x_{n}]$に対して$S$を含む最小の被約イデアルを与える操作と,Zariski位相に関する(原義)閉包作用素である.
\end{example}

\begin{example}[ヒルベルト空間における直交関係の閉包作用素]
直交性からも例を出しておく.ヒルベルト空間$\ca{H}$について,直交関係$\perp$で定まる閉集合は閉部分空間であり,閉包作用素は$S\subset \ca{H}$に対して$S$を含む最小の閉部分空間を返す写像である. 
\end{example}

\begin{example}[\red{The Galois Connection between Syntax and Semantics}における閉包作用素]
一階論理の語彙$\mathcal{L}$について,$\ca{L}$の構造全体の\red{クラス\footnote{\red{赤字}には2021/01の私が解決方法を理解していないようなサイズの問題がある.解決方法については\cite{gss}の3.6 Posets as setsで言及されている.}}$\rm{Structure}_{\ca{L}}$と$\mathcal{L}$の文全体の集合$\rm{Sentence}_{\ca{L}}$の間の二項関係$\models:\rm{Structure}_{\ca{L}}\times \rm{Sentence}_{\ca{L}}\to \2$を考える.対応する$\rm{Sentence}_{\ca{L}}$上の閉包作用素はdeductive closureである\footnote{ここで,deductive closureを得るという目的のためだけならばsize matterを解消できることをYasuda(\url{@yasuda_614_set})さんが教えてくれた.
%語彙$\ca{L}$の濃度
$\kappa =\max(\aleph_{0},\abs{\ca{L}})$に対して,$\kappa$の部分集合を台集合にもつ$\ca{L}$の構造全体は集合をなす.この集合を$\rm{Structure}_{\ca{L},\kappa}$と書く.二項関係$\models:\rm{Structure}_{\ca{L},\kappa}\times \rm{Sentence}_{\ca{L}}\to \2$から誘導される$\rm{Sentence}_{\ca{L}}$上の閉包作用素は元のdeductive closureと一致する.なぜならL\"{o}wenheim--Skolem Theoremより,任意の濃度$\kappa$以上のモデルは濃度$\kappa$の初等同値なモデルを持つからである.}.
\end{example}

このように,重要な二項関係からabstractな手順に従って重要な閉包作用素が得られる.abstractに得られた閉包作用素を手で扱えるような具体的な形で書き下すことはしばしば重要である.例えば単に代入するという二項関係から得られる閉集合のクラスを被約イデアルという元の性質(和,スカラー倍,冪根で閉じている0を含む集合)に書き下すのはこの例である.他にもThe Galois Connection between Syntax and Semanticsからくる閉包作用素(deductive closure)はsemanticsを使って定義された閉包作用素であり,ゲーデルの完全性定理は(論理の公理を適切に選ぶことで)syntacticにこの閉包作用素を書き下したと主張している(とも思える).

\begin{remark}[層においての類似]
idempotent adjunction
\[
\begin{tikzcd}
\Top / X \ar[rr,bend right,"","\Gamma"{name=S, below}] & & \Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}} \ar[ll,bend right,,"","L"{name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
から得られる$\Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}}$上のmonadはsheafification$:\Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}}\to\Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}}$である.shaefificationを書き下すにはいくつかの方法があるが,各点Kan拡張のformulaを使う方法についてKan拡張の節で言及する.
\end{remark}

\subsection{Kleisli圏と生成の推移律}\label{Kleisli圏と生成の推移律}
生成に関するある種の包含関係には推移的な性質がある.
例えば,可換環$R$の部分集合$A$について$A$で生成されるイデアルを$\langle A\rangle$と書くことにする.すると,$R$の部分集合$A,B,C$について$A\subset \langle B \rangle$かつ$B\subset \langle C \rangle$なら$A\subset \langle C \rangle$となる.従って$P(R)$の二項関係$A\rightsquigarrow B$を$A\subset \langle B \rangle$と定めると$\rightsquigarrow$は前順序を定めるのである\footnote{順序より前順序の方が真偽値豊穣圏などいくつかの視点からみて自然である.前順序と順序は圏とskelton圏の関係にある.}.$P(R),\langle - \rangle$のペアから前順序集合$(P(R),\rightsquigarrow)$を作れた.単に集合の包含関係の推移律を使っているだけではなく,閉包作用素の性質を使っている.実はこの構成は$R,\langle - \rangle$だけでなく一般に集合と閉包作用素,さらに一般に圏とモナドについて可能なKleisli圏の構成である.

順序集合においては射は不等号なのでKleisli圏の射の合成の定義を思い出せば次の性質が得られる.
\begin{proposition}[閉包作用素のKleisli圏]
集合$X$上の閉包作用素$\cl$について,$P(X)$上の二項関係$ \sq $を$A\sq B\equi A\subset \cl(B)$で定める.このとき$\sq$は反射率と推移律を満たし,前順序となる(従って圏になる).
\end{proposition}
\begin{proof}
反射性は閉包作用素の条件unitよりOK.推移律を示す.$X$の部分集合$A,B,C$について$A\subset \cl(B)$かつ$B\subset \cl(C)$とする.一般のKleisli圏を意識して包含関係を矢印で書くと
\[
\begin{tikzcd}
&\cl(B) &\cl(C) \\
A\ar[ru,"f"]& B\ar[u,"\eta"] \ar[ru,"g"]& C\ar[u,"\eta"]
\end{tikzcd}
\]
となる.
$\eta$や$\mu$と書かれた包含関係は閉包作用素の条件のうちそれぞれunitとmultiplicationに対応するものを表している.
このとき,
\[
\begin{tikzcd}
&& \cl(\cl(C)) \ar[d,bend left,"\mu",thick]\\
&\cl(B) \ar[ru,"\cl(g)",thick]&\cl(C) \ar[u]\\
A\ar[ru,"f",thick]& B\ar[u,"\eta"] \ar[ru,"g"]& C\ar[u,"\eta"]
\end{tikzcd}
\]
となりOK.
\end{proof}
上の証明は多少冗長だがKleisli圏としての一般的な議論を強調している.

この前順序集合に名前をつけておく.
\begin{definition}[$\Kleisli$]
集合$X$上の閉包作用素$\cl$について,$P(X)$上の二項関係$\sq$による前順序集合$(P(X),\sq)$を$\Kleisli(\cl)$とかく.
\end{definition}
このような推移律は便利なのでよく使う.$\Kleisli(\cl)$での前順序は単に閉包の包含関係である.この節の最初に挙げた部分代数の生成以外の例を挙げる.

\begin{example}[石の問題]
まずは多くの人は興味を持たないが個人的に(非常に個人的に)親しみ深い例を挙げる.かつて書いた『石の問題』\cite{isi} のclaim 5.2.の議論は閉包作用素のKleisli圏の例である.ここでは標準単体に自由モノイドが作用している状況を考え,そこから標準単体上の閉包作用素を作っている.
\end{example}
\begin{example}[証明可能性の推移律]
一階論理の語彙$\mathcal{L}$について,$\mathcal{L}$の文全体の集合$\rm{Sentence}_{\ca{L}}$上の閉包作用素deductive closure $\cl$を考える.ここから得られるKleisli圏を考えると,$\Sigma,\Sigma',\Sigma'',\subset \rm{Sentence}_{\ca{L}}$について$\Sigma\subset \cl(\Sigma')$かつ$\Sigma'\subset \cl(\Sigma'')$なら$\Sigma\subset \cl(\Sigma'')$となる.deductive closureの中身を見て証明可能性で書き下せば,任意の$\phi\in \Sigma$について$\Sigma' \vdash_{\ca{L}} \phi$かつ,任意の$\psi\in \Sigma'$について$\Sigma'' \vdash_{\ca{L}} \psi$ならば,任意の$\psi\in \Sigma$について$\Sigma'' \vdash_{\ca{L}} \psi$となる.

ここで$\rm{Sentence}_{\ca{L}}$の二つの部分集合
$\Sigma,\Sigma'$が$\Kleisli(\cl)$で同型であるのは$\Sigma,\Sigma'$のdeductive closureが一致しているとき,つまり同じ理論を定めるような公理系である
\footnote{ここでは,$\Sigma,\Sigma'$のdeductive closureが一致しているという意味である!}ときである.
\end{example}

このような普通の意味では合成できない射のKleisli圏の意味での合成は,普段の数学では部分写像の合成や可測空間上の確率的な写像の合成など至る所に現れている.詳しくはcontext \cite{context} のExmple 5.2.10などを見ればよい.
%\begin{remark}[Maybe monadのKleisli圏]
%$\Set$上のmonad $(T,\eta,\mu)$
%\end{remark}

ここで,model全体の\red{クラス}を取る対応の関手性は公理系の包含関係でなくてより強く$\Kleisli(\cl)$の射についても成立すると気づくだろう.つまり公理系の包含関係だけではなくそのdeductive closureの包含関係も反転させる.また,ガロア群の部分集合$S$に対する不変体は$S$で生成された部分群の不変体に等しい.Example \ref{ヒルベルトの零点定理における閉包作用素}の文脈では多項式の集合$S$の共通零点は$S$で生成されるイデアルや$S$で生成される被約イデアルの共通零点と等しい.これらの現象は一般的なKleisli圏の普遍性からくる.Eilenberg-Moore圏の普遍性も合わせて,特に二項関係からくる両側右随伴のときに限って言及しておく.

\begin{proposition}[Kleisli圏とEilenberg-Moore圏の普遍性]
集合$X,Y$間の二項関係$R:X\times Y \to \2$について,次を可換にする順序準同型がそれぞれただ一つ存在する.
\[
\begin{tikzcd}
\Kleisli(\RY\circ \XR)\ar[ddr,transform canvas={xshift=-5pt}]\ar[r,dotted,"\exists !"]&P(Y)^{\op}\ar[dd,transform canvas={xshift=-3pt},"\RY"{name=A,left}]\ar[r,dotted,"\exists !"]&\Closed_{X,R} \ar[ddl,transform canvas={xshift=-5pt}]\\
&&\\
&P(X)\ar[uul,transform canvas={xshift=5pt}]\ar[uu,transform canvas={xshift=3pt},"\XR"{name=C,right}]\ar[uur,transform canvas={xshift=5pt}]&
\end{tikzcd}
\]
さらにそれぞれ元の対応は$\RY$,$\XR$と一致している.
\end{proposition}
$\RY$が順序準同型となるための定義域として$\Kleisli$が自然に与えられて,$\XR$の値域として$\Closed$が自然に与えられる.

\subsection{モナドによる余極限の保存と順序,位相,有限項演算の代数}\label{モナドによる余極限の保存と順序,位相,有限項演算の代数}
モナドがどんな余極限を保存するかは重要な情報である.
なぜなら,monad(とその二乗)が余極限を保つときに対応するmonadic functorがその余極限をcreateすることが知られているからである\footnote{存在する全ての極限をcreateする事実がすごいことは前提で.}.\con{Theorem 5.6.5.}
普段の数学からの例を挙げておく.

まずは加群の余極限がアーベル群として計算される理由と言える事実を書いておく.
\begin{remark}[加群の余極限]
環$R$の左加群の圏$\Mod{R}$は$\Ab$上のモナド$R\otimes_{\mathbb{Z}}-$のEilenberg-Moore圏である.$R\otimes_{\mathbb{Z}}-$は(右随伴を持つので)余連続であり,従って忘却$\Mod{R}\to \Ab$はすべての余極限をcreateする.
\end{remark}

次に,$\Set$上のモナドの代数では代数らしい代数と$\rm{cHaus}$のような一見代数に見えないようなものがいた.代数らしい代数を区別する一つの基準がfiltered colimitの保存である\footnote{nLabの \url{https://ncatlab.org/nlab/show/finitary+monad} を見るとよい.}.
\begin{remark}[群および代数のfiltered colimit]
$\rm{Group},\rm{Monoid},\rm{Ab},\rm{Ring},\rm{Rng},\rm{CRing},\rm{Vect}_{\mathbb{K}},\rm{Lattice},R\text{-}\rm{Mod}$などの代数理論のモデルの圏\footnote{context \cite{context} Definition 5.5.5.の意味.見れば分かるがこれだけだとほとんどトートロジー.} から$\Set$への忘却関手はfiltered colimitを保存する.

例えば無限集合上の自由代数が有限集合上の自由代数の和集合で考えられることをみよう.例として$\mathbb{C}$上の無限変数多項式環を考える.可換$\mathbb{C}$代数の圏$\mathbb{C}\text{-}\rm{alg}$から$\Set$への忘却$U:\mathbb{C}\text{-}\rm{alg}\to \Set$は同様の理由でfiltered colimitをcreateする.集合$X$上の自由代数($X$を変数にもつ多項式環)を作りたければ,まず$\Set$において$X$の有限部分集合と埋め込みからなる図式(これはfiltered)を書く.この余極限は$\Set$において$X$である.これを自由代数の関手(忘却の左随伴)$F:\Set\to \mathbb{C}\text{-}\rm{alg}$で送ると,(左随伴は余極限を保つので)$X$上の自由代数は$X$の有限部分集合上の自由代数のfiltered colimitとしてかけることが分かる. $\mathbb{C}\text{-}\rm{alg}$でのfiltered colimitは$\Set$のそれをcreateしたものだったので$\mathbb{C}$上の$X$を変数にもつ自由代数は有限変数の自由代数(普通の多項式環)を(埋め込みに沿って)和集合を取ったもの(に埋め込みとcompatibleな一意的な可換$\mathbb{C}$代数構造を入れたもの)になっていることが分かる.

$\rm{cHaus}\to \Set$がfiltered colimitをcreateしないことを見るには,対応するモナドであるultrafilter monadを見ればよい.もしfiltered colimitを保つのなら,有限集合上ではunitはisoで無限集合でもそうなってしまう\footnote{ここではある無限集合においてのnon-principle ultrafilterの存在を使っている.私は詳しくないが$\rm{ZF}$におけるnon-principle ultrafilterの存在についてmathoverflowでの言及をのせておく.\url{https://mathoverflow.net/questions/59157/reference-request-independence-of-the-ultrafilter-lemma-from-zf}}.
\end{remark}

では,冪集合$P(X)$についてはどんなことが言えるだろうか?ここでは保存する余極限の種類によって三つのクラスに分ける.
全ての余極限を保つ関手をcocontinuous,有限の余極限を保つ関手をright exact,filtered colimitを保つ関手をfinitaryと呼ぶ習慣に沿って閉包作用素もそのように分類する.ここでは順序集合での余極限なので単にsup,特に冪集合なので和集合のことである.従ってdiagramの射は余極限が保存されるかに影響を与えない.例えば以下で右完全(有限の余極限を保つ)などというが,ここでは有限の直和を保つことと同値である.


\begin{definition}[閉包作用素による余極限の保存]
集合$X$上の閉包作用素$\cl$が
\begin{itemize}
    \item 有限の余極限を保つときに右完全(right exact)であるといい,
    \item 任意の余極限を保つときに余連続(cocontinuous)であるといい,
    \item filtered colimitを保つときに有限的(finitary)であるという.
\end{itemize}
\end{definition}

明示的に書けば,右完全なのは空集合と二項演算$\cup$を保つときとかけて
\[\cl(\emptyset)=\emptyset\]
\[\cl(U\cup V)=\cl(U)\cup \cl(V)\]
なるときである\footnote{これは有限性をいくつかの有限に帰着させるよくある手法である.モノイドで一般の結合則を$0$(単位元の存在)と$3$(結合則)に分けたようなもの.}.

余連続なのは$X$の任意の部分集合族$\{U_\lambda \}_{\lambda \in \Lambda}$について
\[\cl(\bigcup_{\lambda \in \Lambda} U_\lambda ) =\bigcup_{\lambda \in \Lambda} \cl(U_\lambda) \]なるときである.

有限的なのは$X$の部分集合族$\{U_\lambda \}_{\lambda \in \Lambda}$が「任意の有限部分集合$\Lambda_0
\subset \Lambda$について$\mu \in \Lambda$が存在して$\bigcup_{\lambda \in \Lambda_0} U_\lambda \subset U_\mu$」(filtered)\footnote{有限を0と2に分ける立場からすれば,$\Lambda_0$が空集合のときと二元集合のときを考えれば十分なことが分かる.}を満たすならば
\[\cl(\bigcup_{\lambda \in \Lambda} U_\lambda ) =\bigcup_{\lambda \in \Lambda} \cl(U_\lambda) \]となるときである.

有限的であることは実は増大和だけで判定できる.
今後使わないし,圏論のToy Exampleを挙げるという目的から外れるのでremarkとする.
\begin{remark}[有限的なことの簡潔な同値条件]
閉包作用素$\cl$が有限的なことは,$\cl$の閉集合の増大和が再び$\cl$の閉集合になることと同値である.より丁寧に述べるならば,$\Closed(\cl)$の任意の空でない全順序部分集合$\Sigma\subset \Closed(\cl)$について,その和集合が再び閉集合になること
\[\bigcup_{S\in \Sigma}S \in \Closed(\cl)\]
と同値である.
\end{remark}
\begin{proof}
有限的ならこの条件を満たすことは容易に分かるのだが,逆の証明は多少面倒である.
Proposition \ref{有限的なモナドと有限項演算}を見れば,任意の$U\subset X$について,
\[\cl(U) = \bigcup_{V\subset U\text{:有限}}\cl(V)\]
なることを示せばよいことが分かる.
$U$の濃度に関して超限帰納法で証明する.$U$が有限集合なら簡単である.$U$が無限集合のとき,$\kappa = \abs{U}$として$U$の元を
\[U=\{u_\xi \mid \xi \in \kappa\}\]
と$\kappa$で数え上げる(形式的には全単射$\kappa\to U$をとる).
任意の$\alpha \in \kappa$に関して(最初の$\alpha$個からなる始辺)$U_\alpha \defeq \{u_\xi\mid \xi \in \alpha\}$の濃度は$\kappa$より真に小さい.従って帰納法の仮定より
\[\cl(U_{\alpha}) = \bigcup_{V\subset U_{\alpha}\text{:有限}}\cl(V)\]
となる.
閉集合の増大和が閉集合であるという仮定のもと,
\begin{align*}
    \cl(U)&= \bigcup_{\alpha \in \kappa}\cl(U_{\alpha})\\
    &=\bigcup_{\alpha \in \kappa} \left(\bigcup_{V\subset U_{\alpha}\text{:有限}}\cl(V)\right)\\
    &=\bigcup_{V\subset U\text{:有限}}\cl(V)
\end{align*}
となりOK.
\end{proof}

今定義した閉包作用素の三つのクラスはそれぞれ位相空間,前順序,有限項演算の閉包に対応していることを見ていく.

まずは右完全な閉包作用素と位相構造の対応である. nLabでの\url{https://ncatlab.org/nlab/show/topological+space#AlternateDefinitions}でも言及されている.
\begin{proposition}[右完全なモナドと位相空間]
集合$X$上の位相構造と$X$上の右完全な閉包作用素は,
\[\text{位相構造}\to \text{部分集合に対してそれを含む最小の閉集合を返す(原義)閉包作用素}\]
\[\text{右完全な閉包作用素}\to \text{閉包作用素の(Definition \ref{閉集合}の意味での)閉集合全体を閉集合系にもつ位相構造}\]
なる対応で一対一に対応する.
\end{proposition}
\begin{proof}
直接確かめることも容易だが,モナドとその二乗が余極限を保つことと対応するmonadic functorがその余極限をcreateすることからも直ちに分かる.
\end{proof}

\begin{remark}[閉包作用素による位相空間の定義]
閉包作用素による位相の定義はしばしば技巧的に便利で,例えばcontext \cite{context} Corollary 5.5.6.($\mathrm{cHaus}\to \Set$ :monadic)の証明では閉包作用素による定義を利用している\footnote{連続性が閉包作用素の言葉でかける.特に$\rm{cHaus}$のような閉写像のみを考えればよいときには閉包作用素との可換性で連続性が記述できて議論が楽になる.}.またPontrjaginも著書Topological Groups \cite{topgro}で閉包作用素によって位相空間を定義している\footnote{ただし,一点の閉包が一点である($T_1$)という追加の条件を課している}.

また,\cite{ionad}でcategorified topological spaceとして導入されたionad \url{https://ncatlab.org/nlab/show/ionad} はこの視点(の双対)を使って定義されている\footnote{2021/04の自分はionadがどのくらい本質的な概念なのか全く知らない.
}.
\end{remark}

二項関係から誘導される閉包作用素は二項関係だけから決定されているので,右完全な閉包作用素を誘導するような二項関係のクラスを二項関係の言葉で記述できるはずである.2021/04段階ではまだ簡潔な記述をするに至っていないので例だけ書いておく.すべての閉包作用素は二項関係に誘導されるのですべての位相構造も(それが自然かは置いておいて)二項関係から誘導される形で記述される.ここでは有名な例を二つ書く.

\begin{example}[Zariski位相]
可換環$R$について,$R$の素イデアル全体の集合を$\Spec{R}$と書く.このとき二項関係$\in : R\times \Spec{R}\to \2$が誘導する$\Spec{R}$上の閉包作用素は右完全である.これはZariski位相である.
\end{example}

\begin{example}[Stone空間]
ブール代数$B$について,$\2$へのブール代数準同型全体の集合を$\mathrm{Bool}(B,\2)$とかく.このとき,代入して$0$になるという二項関係が誘導する$\mathrm{Bool}(B,\2)$上の閉包作用素は右完全である.これはブール代数に付随するStone空間である.
\end{example}

次に余連続な閉包作用素と前順序が対応することを見る.次のPropositionはProposition \ref{free cocompletionとしての冪集合}から直ちに得られるCorollaryである.

\begin{proposition}[余連続なモナドと前順序]
集合$X$上の前順序構造と$X$上の余連続な閉包作用素は,
\[\text{前順序構造}\to \text{部分集合に対してそのDownward Closureを返す閉包作用素}\]
\[\text{余連続な閉包作用素$\cl$}\to \text{$x,y\in X$について$x\leq y \equi x\in \cl(\{y\})$で定まる前順序構造}\]
なる対応で一対一に対応する.
\end{proposition}
\begin{proof}
余連続な関手$F:P(X)\to P(X)$が与えられたとき,余連続性より$F$は一元集合の行先だけで決定する.
詳しくはProposition \ref{free cocompletionとしての冪集合}を見るとよい.従って$x\in F(\{y\})$なる二項関係だけで決定している\footnote{Theorem \ref{二項関係と両側右随伴の一対一対応}と同じ理由である}.余連続関手$F:P(X)\to P(X)$がモナドである条件を二項関係$x\in F(\{y\})$の性質で記述すると,unitに対応して反射律が, multiplicationに対応して推移律が要求される.
\end{proof}

余連続なら当然右完全でもあるので,前順序は位相空間とみなされるべきである.
実際,Downward closed setを閉集合とすることで前順序集合は位相空間とみなせる.いわゆるAlexandrov topology
% とspecialization preorderによる対応
である.

\begin{remark}[$\kappa \text{-cocontinuous}$な閉包作用素]
より一般に基数$\kappa$に対して,$\kappa \text{-cocontinuous}$な閉包作用素を考えることができる.
つまりサイズ$\kappa$未満のdiagramの余極限を保存する閉包作用素のことである.
$\aleph_0 \text{-cocontinuous}$な閉包作用素が位相空間で台集合に対して十分大きな$\kappa$(例えば$\kappa>2^{\abs{X}}$)について$\kappa \text{-cocontinuous}$は前順序になる.この意味で位相構造と前順序構造は(基数の増加に沿って)一列にならんだ閉包作用素のクラスの中にいると捉えることもできる\footnote{少なくとも2021/04段階ではこれに関連したいい話を思いついてはいない.
% 強いて言えば$\aleph_1\text{-cocontinuous}$に関する性質をいくつか知っている程度.
}.
\end{remark}

最後に有限的であることの特徴づけをする.生成可能部分集合はProposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}よりある操作$d$で閉じていることと記述できていた.次の命題で主張するように,閉包作用素が有限的であることは(一般には無限個かもしれない)有限項演算で閉じていることと記述できることと同値である.

% それを生成する$d$であって有限項演算としてかけるものが存在することと同値である.

\begin{proposition}[有限的なモナドと有限項演算]\label{有限的なモナドと有限項演算}
集合$X$上の閉包作用素$\cl:P(X)\to P(X)$が有限的であることと,ある写像$d:\ob{P(X)}\to P(X)$が存在して
\begin{itemize}
    \item 任意の$U\subset X$について$U\text{:無限集合} \Rightarrow d(U)= \emptyset$
    \item $\cl$は$d$から作られた自由モナド\footnote{Proposition \ref{自由モナドと写像から生成される閉包作用素}の意味}
\end{itemize}
なることは同値である.
\end{proposition}
\begin{proof}
まず,$\cl$が有限的閉包作用素であるときには$\cl$の無限集合上での値を$\emptyset$に書き換えたものとして$d$を取ればよい.実際,任意の$U\subset X$について
\begin{align*}
\cl(U) &= \bigcup_{V\subset U\text{:有限}}\cl(V)\\
    &= \bigcup_{V\subset U}d(V)
\end{align*}
となる.一つ目の等式では$\cl$が有限的であるから$U$の有限部分集合全体というfilteredな族の余極限(ここでは和)を保つことを使った.すると$\cl$は$d$の関手化(Lemma \ref{関手化})であることが分かる.$d$の関手化($=\cl$)はモナドであることが分かっているので$d$の関手化($=\cl$)は$d$で作られた自由モナドに等しい\footnote{ここで自由モナドを作る随伴がreflectiveなことを使っている}.

逆に条件を満たす$d:\ob{P(X)}\to P(X)$が存在したとする.
閉集合のfilteredな族$\{S_\lambda\}_{\lambda \in \Lambda}$を任意にとり,$S=\bigcup_{\lambda \in \Lambda}S_{\lambda}$が閉集合なことを示せばよい.$S$の任意の有限部分集合はある$\lambda \in \Lambda$について$S_\lambda$に含まれる.あとはCorollary \ref{写像から作られた自由な閉包作用素の閉集合}よりOK.
\end{proof}

\begin{example}[部分代数]
部分群,イデアル,部分環,部分加群,部分モノイドなどの部分代数は全て有限的な閉包作用素をもつ.演算を$d$に書き換えればよい.他にも同値関係や前順序など「有限個のhogeが入っていればhugaが入っている」とかけるものの有限性が直ちに分かる.

filtered colimitとしては特に増加列の和が挙げられる.従ってこれらの閉集合(例えばイデアル)の増加列の和集合は再び閉集合になる\footnote{他の主張と同様に,これを直接示すことは簡単}\footnote{これはZornの補題を使う典型的な場面でもある.例えばある一元集合が全体を生成しているなら(例えばイデアルやdeductive closureなど)全体ではない極大な閉集合(それぞれ極大イデアルと極大無矛盾集合)の存在が分かったりする.}.
\end{example}

\begin{remark}[部分代数が唯一の例であること]
次の意味で,部分代数は有限的閉包作用素の唯一の例である.
いくつか(無限個かもしれない)の有限項演算を備えた集合を有限項代数と呼ぶことにしてみる.形式的には,有限項代数とは(台となる)集合$X$と(演算記号の)集合$O$と(arityを定める)写像$\alpha:O\to \mathbb{N}$と$o \in O$ごとに与えられた($\alpha(o)$項演算)写像$\ast_o:X^{\alpha(o)}\to X$の組$(X,O,\alpha, \{\ast_o\}_{o\in O})$をいう.

有限項代数$(X,O,\alpha, \{\ast_o\}_{o\in O})$の部分代数とは$X$の部分集合であって全ての演算で閉じているものをいう\footnote{群の演算として二項演算だけをとると部分代数は部分半群のことになってしまう.演算としては単位元という$0$項演算と逆元という$1$項演算も考える必要がある.これは二項演算による群の定義に関して「定義による拡大」を施して等式理論で群を記述することに対応している.詳しくは\cite{キューネン}のII.15を見るとよい.}.

有限項代数の部分代数はProposition \ref{命題生成可能性の実用的な判定方法}より生成可能部分集合族を定める.
さらに,上のPropositionから有限項代数の部分代数は有限的なことも分かる.
逆に有限的閉包作用素はこの形に限られることも簡単に分かる.つまり集合$X$とその上の有限的閉包作用素$\cl$が与えられれば(必ずしも自然とは限らない方法で\footnote{例えば必ずしも全体で定義されない演算に関しては入力値の一つを適当に返すことで対処したりする.})$X$上に有限項代数の構造$(X,O,\alpha, \{\ast_o\}_{o\in O})$が入り,$\cl$は$(X,O,\alpha, \{\ast_o\}_{o\in O})$の部分代数の閉包作用素と一致する.

例えば,$\mathbb{R}^n$の凸な部分集合は生成可能であるし,filteredな凸集合族の和集合も凸であるから,凸な部分集合は$\mathbb{R}^n$上のある有限項代数構造の部分代数と記述されるべきである.例えば$[0,1]$の元$t$ごとに$t:1-t$での内分点をとるという二項演算を考えるとよい.
\end{remark}

\begin{remark}[閉包作用素のクラスの包含関係]
余連続,右完全,有限的という閉包作用素の三つのクラスを考えた.実は今回考えている意味での閉包作用素に関しては
\[\text{余連続}\equi \text{右完全かつ有限的}\]
となることが簡単に分かる.
\begin{description}
\item[余連続] 適当な順序集合のDownward Closed set
\item [右完全だが有限的でない] Downward Closed setとしてかけない全ての位相構造,例えば$\mathbb{R}$の普通の位相に関する閉包作用素
\item[有限的だが右完全でない] 部分代数が位相をなさない全ての有限項代数.
例えば加法群$\mathbb{Z}$の部分群に関する閉包作用素.
\item[有限的でも右完全でもない]上記以外.例えば位相空間$\mathbb{R}$と加法群$\mathbb{Z}$の集合としての直和$\mathbb{R}\coprod\mathbb{Z}$に入る閉包作用素\footnote{それぞれの部分集合ごとに閉包をとる}.

\end{description}

% この節では明記していないが,閉集合の増加列の和集合が再び閉集合になるような閉包作用素のクラスも考えたい.有限的ならこのクラスに入るのだが,その逆の反例を2021/04時点でまだ思いついていない
% % \footnote{$\mathbb{R}$においてルベーグ零集合(と$\mathbb{R}$自身)は生成可能部分集合を為すが,\cite{ルベーグ}によるとこれが反例になっているかは$ZFC$独立らしい.}
% .

\end{remark}

\section{Cartesian Closed Category}\label{Cartesian Closed Category}
この章では冪集合のCartesian Closed Categoryとしての性質に言及する.

\ref{CCCと冪集合,含意,集合差,モーダスポネンス}節では冪集合がCCCなこと,つまり直積を取る関手が右随伴を持つことをみる.右随伴は命題の視点で見ると含意になっていることをみる.また,随伴があればLAPC, RAPL, unit, counitに対応して四つの演算規則が得られるのであった.それぞれが共通部分の分配性やモーダスポネンスに対応することをみる.

\ref{前節の双対と集合差}節では冪集合のopposite categoryも冪集合であることから前節の双対的な結果を記述する.そこで得られる随伴は集合差に対応していることをみる.

\ref{両側右随伴}節ではCCC構造から得られる両側右随伴(mutually right adjoint)に言及する.その随伴は(\ref{CCCと冪集合,含意,集合差,モーダスポネンス}節のときと逆向きの)含意になっていることをみる.

\ref{Cartesian closed functorと含意の保存,射影公式}節ではCCCの間の右随伴関手がCartesian Closed Functorであるための同値条件を逆像写像に適用し,集合演算の射影公式を得る.
2021/04の私はこの内容に慣れておらず,その他多くの射影公式との関連についてはnLabのリンクを貼る事しかできなかった.

\subsection{CCCと冪集合,含意,モーダスポネンス}\label{CCCと冪集合,含意,集合差,モーダスポネンス}

Cartesian Closed Category(以下CCC)とは,有限直積を持つ圏であって任意の対象$A$に対して$A\times (-)$が右随伴を持つものをいうのであった.\con{Definition 4.3.9.}
$P(X)$はCCCになっている.
\begin{proposition}[冪集合はCCC]\label{冪集合はCCC}
集合$X$とその部分集合$A\subset X$について,
\[A\cap (-):P(X)\to P(X)\]は
\[(-)\cup A^{c}:P(X)\to P(X)\]を右随伴に持つ.つまり,任意の部分集合$U,V\subset X$について
\[A\cap U\subset V\equi U\subset V\cup A^{c}\]
である.
従って$P(X)$はCCCである.
\end{proposition}

この右随伴は命題の演算でみると見慣れたものになっている.ここから$\to$と$\Rightarrow$を区別する.
%Notationに多少気をつける.
$2^{X}$での順序関係を$\Rightarrow$と書く.従って混乱の心配があるときは同値性をiffと文字列で書くなどする.さらに,命題写像$\phi,\psi$について新たな命題写像$\phi \to \psi$を$(\phi \to \psi)(x)=\true \ \text{iff} \ \text{「}\phi(x)=\false \text{または} \psi(x)=\true \text{」}$なるように定める.

\begin{proposition}[冪集合はCCCの命題写像としての言い換え]
集合$X$と$X$上の命題写像$\phi:X\to \2$について,
\[\phi \land (-):\2^{X}\to \2^{X}\]は
\[\phi \to (-):\2^{X}\to \2^{X}\]を右随伴に持つ.つまり,任意の命題写像$\psi, \tau$について
\[\phi\land \psi\Rightarrow \tau\ \text{iff}\  \psi\Rightarrow \phi\to \tau\]
である.
\end{proposition}

\begin{remark}[多変数随伴]
このような``パラメータ付き随伴''は大抵の場合\footnote{すべての場合と言ってしまいたいほどである.
なぜなら,パラメータも含めて多変数の関手にパラメータごとの随伴があれば多変数随伴に一意的に拡張されるからである.\con{Proposition 4.3.6.}}多変数随伴として記述される.今回は$\land,\to,\to$の二変数随伴である.今回の論理積と含意の随伴を含め,$\Set$のcurry化や$\Ab$や加群のテンソル$\dashv$\ Hom随伴などの積とHomの随伴はより広くSymmetric Closed Monoidal Categoryの文脈で記述されるものである.\url{https://ncatlab.org/nlab/show/closed+monoidal+category#symmetric_closed_monoidal_category} を見るとよい.
\end{remark}

随伴であることから直ちに得られる系を書いておく.

\begin{corollary}[LAPCと分配法則]
集合$X$の部分集合$A,B,C$について
\[A\cap (B\cup C)=(A\cap B) \cup (A\cap C)\]
が成立する.同様に集合$X$上の命題写像$\phi,\psi,\tau$について
\[\phi\land (\psi\lor \tau)=(\phi\land \psi) \lor (\phi\land \tau)\]
が成立する.
\end{corollary}

CCCの双対圏は一般にはCCCでないから,
\[A\cup (B\cap C)=(A\cup B) \cap (A\cup C)\]
とは一旦書かないでおく.もちろんこれは任意の部分集合は他の部分集合の補集合としてかけるからRAPLとして導かれる事実ではある.

普段の数学(算数!?)の例をみる.
\begin{remark}[算数の復習1:分配法則]
CCCの典型的な例の一つとして有限集合の圏$\Fin$がある.$\Fin$における$A\times (-)$の右随伴は指数をとる関手$(-)^{A}$である.有限集合$A,B$の直和(disjoint union)を$A+B$と書くことにすると
\[A\times(B+C) \cong A\times B + A\times C\]
が対応する事実である.同型類(集合の大きさ)に注目するとこれは自然数における分配法則$l(m+n)=lm+ln$である\footnote{算数をやっていた頃は$\mathbb{N}$における加法乗法などと言わず,有限個のものの集まりに関する規則だと思えていたはずなんだよなあ!}.
\end{remark}

\begin{remark}[基数演算の分配性]
上のRemarkで有限性は必要ない.$\Set$もCCCである.このとき同型類は基数になる.この場合,任意の基数$\kappa, \lambda, \theta$について
\[\kappa \cdot (\lambda+\theta) \cong \kappa\cdot \lambda + \kappa\cdot \theta\]
となることが分かる.
\end{remark}

RAPLについては命題写像に関してのみ書いておく.
\begin{corollary}[RAPLと$\to$の分配性1]
集合$X$上の命題写像$\phi,\psi,\tau$について
\[\phi\to (\psi\land \tau)=(\phi\to \psi) \land (\phi\to \tau)\]
が成立する.
\end{corollary}
\begin{remark}[算数の復習2:指数法則1]
$\Fin$:CCCによる対応する同型は有限集合$A,B,C$についての
\[(B\times C)^{A}\cong B^{A}\times C^{A}\]
である.同型類を見れば自然数の演算規則$(mn)^{l}=m^{l}n^{l}$に対応する.
\end{remark}

\begin{remark}[基数演算の指数法則1]
$\Set$:CCCによる対応する同型は集合$A,B,C$についての
\[(B\times C)^{A}\cong B^{A}\times C^{A}\]
である.同型類を見ると基数の演算規則$(\kappa\cdot \lambda)^{\theta}=\kappa^{\theta}\cdot\lambda^{\theta}$に対応する.
\end{remark}

随伴であることから直ちに得られる系としてunit,counitがある.
ここではcounitの命題写像としての解釈のみを特に書いておく.

\begin{corollary}[counitとしてのモーダスポネンス]
集合$X$上の任意の命題写像$\phi,\psi$について
\[\phi\land(\phi\to \psi) \Rightarrow \psi\]
が成立する.
\end{corollary}

モーダスポネンスはevaluationに対応している.
\begin{remark}[$\Set$における同様のcounit]
$\Set$:CCCによる対応する写像は集合$A,B$についてのevaluation map
\[\mathrm{ev_{A,B}}:A\times B^{A}\to B\]
である.
\end{remark}

$P(X)$は自己反変同型を持っているので$\cap$を$\cup$に置き換えた双対版もあるはずである.節を改めることにする.

\subsection{前節の双対と集合差}\label{前節の双対と集合差}

$\land$の随伴として$\to$が得られることを前節で見た.その双対の随伴は集合差を特徴付ける.

集合差を定義する.

\begin{definition}[集合差]
集合$X$の部分集合$U,V$について,
\[U\setminus V =\{x\in U\mid x\notin V\}\]
と定義する.
\end{definition}

集合差は次の関係式で特徴付けられている.
\begin{proposition}[左随伴としての集合差]
集合$X$とその部分集合$V$について,
\[A\cup (-):P(X)\to P(X)\]
は
\[(-)\setminus A: P(X)\to P(X)\]
を左随伴にもつ.つまり,任意の部分集合$U,V\subset X$について
\[U\setminus A\subset V\equi U\subset A\cup V\]
である.
\end{proposition}
随伴であることの系もまとめて書いておく.

\begin{corollary}[和集合と集合差の随伴の系]
集合$X$の部分集合$A,U,V$について
\begin{description}
\item[unit] $U\subset A\cup(U\setminus A)$
\item[counit] $(A\cup U)\setminus A \subset U$
\item[LAPC] $(U\cap V)\setminus A =(U\setminus A )\cap (V\setminus A )$
\item[RAPL] $A\cup (U\cap V)=(A\cup U)\cap (A\cup V)$
\end{description}
が成立する.
\end{corollary}

\subsection{両側右随伴}\label{両側右随伴}
二変数随伴$\land,\to,\to$が含む一変数随伴は$\phi\land (-)\dashv \phi\to(-)$の他に$(-)\to \phi$の自身との両側右随伴がある.このことはProposition \ref{冪集合はCCC}の系である\footnote{パラメータ付き随伴の多変数随伴への一意的な拡張を見る}.

\begin{proposition}[含意の両側右随伴]
集合$X$上の命題写像$\phi$について,
\[(-)\to \phi:\2^{X}\to \2^{X}\]
は自身との両側右随伴である.
\end{proposition}

\begin{remark}[対応する二項演算]
冪集合の間の両側右随伴は二項演算と一対一に対応するのであった.今回の両側右随伴$(-)\to \phi$に対応する二項関係$\sim$は$\phi$が成立する元を例外とした$\neq$,つまり$x\sim y \equi \phi(x)\ \text{or}\  \phi(y)\  \text{or} \ x\neq y$である.$\phi$が恒等的に$\false$であるとき,否定演算に一致する.
\end{remark}

左右の随伴は同一なのでRAPLを系として書いておく.
\begin{corollary}[RAPLと$\to$の分配性2]
集合$X$上の命題写像$\phi,\psi,\tau$について
\[(\psi\lor \tau)\to \phi = (\psi\to \phi)\land (\tau\to \phi) \]
が成立する.
\end{corollary}

$\to$はベキに対応するのだったから,算数で対応するものは今回も指数法則である.
\begin{remark}[算数の復習3:指数法則2]
$\Fin$:CCCによる対応する同型は有限集合$A,B,C$についての
\[(A)^{B+C}\cong A^{B}\times A^{C}\]
である.同型類を見れば自然数の演算規則$m^{n+l}=m^{n}m^{l}$に対応する.
\end{remark}

\begin{remark}[基数演算の指数法則2]
$\Set$:CCCによる対応する同型は集合$A,B,C$についての
\[(A)^{B+C}\cong A^{B}\times A^{C}\]
である.同型類を見ると基数の演算規則$\kappa^{\lambda+\theta}=\kappa^{\lambda}\cdot\kappa^{\theta}$に対応する.
\end{remark}

%\subsection{exponentialと指数法則}
%CCCにおける随伴はさらに指数法則に対応するような

\begin{remark}[unit]
unitは
\[\phi \Rightarrow (\phi\to\psi)\to\psi\]
である.特に$\psi$が恒等的に$\false$であるときは\[\phi \Rightarrow \lnot\lnot\psi\]である.

同様の現象は一般にCCC,さらに一般に対称モノイダル閉圏で見られる.
例えばテンソル積に関する対称モノイダル閉圏$\Vect_{\mathbb{K}}$での$\Vect_{\mathbb{K}}(-,\mathbb{K})$,つまり双対空間をとる関手$(-)^{\ast}$だと再双対空間(bidual space)への標準的な線形写像$V\to V^{\ast \ast}$になる.また,一回の双対と三回の双対には相互に射が伸びる\footnote{unitの前後で双対を取る}.Heyting algebraのように順序集合のケースでは相互に伸びた射は同型射にならざるをえない.

\end{remark}

\subsection{Cartesian closed functorと含意の保存,射影公式}\label{Cartesian closed functorと含意の保存,射影公式}
この節の内容について2021/02の私はまだ慣れていない.
Cartesian Closed Category $\ca{C},\ca{D}$の間の関手$F:\ca{C}\to \ca{D}$がCartesian Closedであるとは,$F$が直積を保ちさらに$\ca{C}$の任意の対象$A,B$についてcanonicalな射$F(A^B)\to F(A)^{F(B)}$が同型射になることをいう.詳しくはnLab \url{https://ncatlab.org/nlab/show/cartesian+closed+functor} を見ればよい.

\begin{proposition}[逆象写像はCartesian functor]
任意の集合$X,Y$とその間の写像$f:X\to Y$について逆像写像$f^{-1}:P(X)\to P(Y)$はCartesian closed functorである.
\end{proposition}
\begin{proof}
直積を保つことは随伴の章で見た通り.$A^B = A\cup B^{c}$と逆像写像は$\cup,(-)^{c}$を保存することからOK.
\end{proof}

Cartesian Closed Category $\ca{C},\ca{D}$の間の関手$R:\ca{C}\to \ca{D}$が左随伴$L$を持つとき,$R$がCartesian Closedであることの必要十分条件として任意の$A\in \ob{\ca{C}}$と$B\in \ob{\ca{D}}$についてcanonicalな射$L(R(A)\times B)\to A\times L(B)$が同型になることが知られている.詳しくは
\url{https://ncatlab.org/nlab/show/Frobenius+reciprocity#InCategoryTheory} やここで参照されている\cite{elephant}を見るとよい.

ここから得られる事実は次である.逆像写像の左随伴は順像写像であったので次が成立する.

\begin{corollary}[集合演算の射影公式]
集合$X,Y$間の写像$f:X\to Y$について,任意の$V\subset X, U\subset Y$について
\[f(f^{-1}(U)\cap V)=U\cap f(V)\]
が成立する.
\end{corollary}

この等式は特別な例として$V=X$のときの
\[f(f^{-1}(U))=U\cap f(X)\]
を含んでいる.
%反変圏同値

\begin{remark}[その他の射影公式]
群の表現の射影公式
\[\rm{Ind}(\rm{Res}(W)\otimes V)\cong W\otimes \rm{Ind}(V)\]
などとの関係は2021/02の私はまだ勉強不足で明確に記述できない.詳しくはnLabの\url{https://ncatlab.org/nlab/show/Frobenius+reciprocity}や\url{https://ncatlab.org/nlab/show/Wirthm%C3%BCller+context}を見て欲しい.
\end{remark}

\section{Kan拡張} 
この章ではKan拡張を用いて,この文章で紹介した現象のいくつかについて直感的な説明をすることを目的としている.

\ref{各点Kan拡張のformulaと冪集合値Kan拡張}節では各点Kan拡張のformulaが冪集合を値に取るときのKan拡張ではどんな形をとるかを紹介する.\ref{自由モナドと生成の一般論III}節での「関手化」の構成がこの方法で計算されることをみる.

\ref{真偽値値Kan拡張と逆像随伴,量化子}節では真偽値を値に取るときのKan拡張について記述する.真偽値を値に取るKan拡張は非常に簡単だが,\ref{逆像の随伴と部分集合}節と\ref{逆像の随伴と量化子}節の随伴はこのKan拡張に対応していることが分かる.
結果として,例えば量化子は命題の変数を減らすための普遍的な二つの手法であることが分かる.

\ref{free cocompletionとしての米田とfree cocompletionとしての冪集合}節では冪集合と普段の圏論における前層圏が対応していることをみる.そして,普段の圏論における米田埋め込みがfree cocompletionであったように,冪集合が集合の順序集合としてのfree cocompletionであることを示す.

\ref{普遍随伴と二項関係から誘導されるガロア接続II}節では\ref{両側右随伴と二項関係から誘導されるガロア接続I}節で議論した二項関係と両側右随伴(mutually right adjoint)の一対一対応を普遍随伴(Nerve and Realization)として捉えることで理解する.層に関する随伴を好んで例に出していた理由もここで分かる.
\subsection{各点Kan拡張のformulaと冪集合値Kan拡張}\label{各点Kan拡張のformulaと冪集合値Kan拡張}
一般にsmall category $\ca{C}$とlocally small category $\ca{D}$とcomplete category $\ca{E}$と関手$K:\ca{C}\to \ca{D}$と関手$F:\ca{C}\to \ca{E}$について,
$F$の$K$に沿った右Kan拡張
\[
\begin{tikzcd}
\ca{C} \ar[rr,"F",""{name=U, below}] \ar[rd,"K"']&&\ca{E}\\
&\ca{D} \ar[ur,"\rm{Ran}_{K}F"'] \ar[Rightarrow, to=U]&
\end{tikzcd}
\]
が存在して各点である,つまり次のformula
\[(\rm{Ran}_{K}F)(d)=\rm{lim}(d\downarrow K \to \ca{C} \to \ca{E})\]
で与えられる\footnote{limの選択ごとに一つの右Kan拡張を与えるのであって,canonicalな同型分の差はありうる.}.双対的な結果も同様に成立する.
\con{Theorem 6.2.1.およびCorollary 6.2.6.およびTheorem 6.3.7.}

真偽値$\2$や冪集合$P(X)$はbicomplete categoryであった(Proposition \ref{bicomplete1}, Proposition \ref{bicomplete2})ので,各種各点Kan拡張の存在は一般論から直ちに分かり,さらにその構成方法も分かる.このことは繰り返し使うのでLemmaにまとめておく.以下で使われる記法$\bigcap \mathcal{F}$, $\bigcup \mathcal{F}$はそれぞれ$\bigcap_{A\in \mathcal{F}} A$, $\bigcup_{A\in \mathcal{F}} A$を意味している.

\begin{lemma}[冪集合のKan拡張]\label{冪集合のKan拡張}
集合$X$とsmall category $\ca{C}$とloccaly small category $\ca{D}$と関手$F:\ca{C}\to P(X)$と関手$K:\ca{C}\to \ca{D}$について,
各点右Kan拡張$\Ran_{K}F$
\[
\begin{tikzcd}
\ca{C} \ar[rr,"F",""{name=U, below}] \ar[rd,"K"']&&P(X)\\
&\ca{D} \ar[ur,"\rm{Ran}_{K}F"'] \ar[Rightarrow, to=U]&
\end{tikzcd}
\]
と各点左Kan拡張$\Lan_{K}F$
\[
\begin{tikzcd}
\ca{C} \ar[rr,"F",""{name=U, below}] \ar[rd,"K"']&&P(X)\\
&\ca{D} \ar[ur,"\rm{Lan}_{K}F"'] \ar[Rightarrow, from=U]&
\end{tikzcd}
\]
が存在する.さらに,対象$d\in \ob{\ca{D}}$ごとに
\[\Ran_{K}F (d) = \bigcap\{Fc \mid c\in \ob{\ca{C}}, \ \exists f:d\to Kc\}\]
\[\Lan_{K}F (d) = \bigcup\{Fc \mid c\in \ob{\ca{C}}, \ \exists f:Kc \to d\}\]
で与えられる.
\end{lemma}
\begin{proof}
各点Kan拡張の存在はLemmaの前に述べた通りである.formulaの適用に関しては,冪集合における極限,余極限が共通部分,和集合であること(Proposition \ref{極限は共通部分})から分かる.
\end{proof}

\begin{remark}[$\Ran$の射の移り方,自然変換の取り方]
上のLemmaでは射の移り方には言及していない.しかし,順序集合では二つの対象の間の射は高々一つであるからここに自由度はない.また,Kan拡張は関手と自然変換の組であった.しかし,順序集合をcodに持つ二つの関手の自然変換は単に各対象ごとの大小関係であってここに自由度はない.従って上のLemmaはKan拡張としての情報を必要な分だけ言及している.

ここで関手性や自然変換は情報量がないから無視しよう,と言いたいわけではない.
関手性($\ca{D}$が順序集合なら順序保存性)や自然変換の存在を上のLemmaは保証していて,これはもちろん後にも使う事実である.
\end{remark}

\begin{remark}[$\ca{C}$の射の影響]
$\ca{C}$の射の影響は限られている.上のLemmaで見て分かるように,冪集合値Kan拡張の計算において$\ca{C}$の射は使われていない.実際,$K,F$が関手的であることへの制約として現れてるに過ぎない.

順序集合では任意の(dom,codが一致する)図式が可換になる都合上,極限や余極限にdiagramの射の情報が使われない.対象らのsup,infを見ればよい.このことがKan拡張の計算でも(極限,余極限を使って計算できるので当たり前だが)現れている.
\end{remark}

\begin{example}[Lemma \ref{関手化}の証明]
Lemma \ref{関手化}を示すには,関手圏のpre-compositeの左随伴は左Kan拡張で与えられるので
\[
\begin{tikzcd}
\ob{P(X)} \ar[rr,"d",""{name=U, below}] \ar[rd,"\iota"']&&P(X)\\
&P(X) \ar[ur,"\rm{Lan}_{\iota}d"'] \ar[Rightarrow, from=U]&
\end{tikzcd}
\]
なる左Kan拡張を計算すればよい.Lemma \ref{冪集合のKan拡張}に代入すると直ちに分かる.
\end{example}

\begin{remark}[各点Kan拡張formulaそのもののToy Exampleとして]
各点Kan拡張のformula自体への直感的な理解は人それぞれ流儀があると思うが,上のLemmaも良い理解をくれる.上のLemmaというよりは正確には単に順序集合における例,つまり$\ca{C},\ca{D},\ca{E}$:順序集合, $\ca{E}$:完備なときの直感である\footnote{formulaを書き下したものはLemmaと同様である}.つまり,$\ca{D}$の対象から$\ca{E}$の対象を作るために,一旦($K$を介して)$\ca{C}$の対象で上から近似しておいて,その後$\ca{E}$の中で下限を取るという手法である.

多少話は逸れるが,このような一方向からの近似と極限という視点はKan拡張による$2^x :\mathbb{Q}\to \mathbb{R}$から$2^x :\mathbb{R}\to \mathbb{R}$への拡張がかなりあからさまだと思っている.\con{Example 6.2.7.}
\end{remark}

\subsection{真偽値-値Kan拡張と逆像随伴,量化子}\label{真偽値値Kan拡張と逆像随伴,量化子}
随伴の章で考えた順像逆像随伴はpre-composite functorの左右の随伴であった.pre-compositeで定まる関手の随伴は(globalな)Kan拡張の定義である. \con{Proposition 6.1.5.と直後の一文}従って順像写像や余順像写像Kan拡張でかける.

真偽値値Kan拡張についても(真偽値は一点集合の冪集合であるから)Lemma \ref{冪集合のKan拡張}が同様に適用できる.ただし,共通部分は論理積,和集合は論理和に置き換える(Proposition \ref{bicomplete2}).

Lemma \ref{冪集合のKan拡張}において$K$を単に集合の間の写像としたときが順像逆像随伴である.

\begin{proposition}[Kan拡張としての順像,余順像]
集合$X,Y$間の写像$f:X\to Y$と$V\subset X$について,
余順像$f_{!}(V)$(の特性関数)は$V$(の特性関数)の$f$に沿った右Kan拡張
\[
\begin{tikzcd}
X \ar[rr,"V",""{name=U, below}] \ar[rd,"f"']&&\2\\
&Y \ar[ur,"\rm{Ran}_{f}V=f_{!}(V)"'] \ar[Rightarrow, to=U]&
\end{tikzcd}
\]
であり順像$f_{!}(V)$(の特性関数)は$V$(の特性関数)の$f$に沿った左Kan拡張
\[
\begin{tikzcd}
X \ar[rr,"V",""{name=U, below}] \ar[rd,"f"']&&\2\\
&Y \ar[ur,"\rm{Lan}_{f}V=f(V)"'] \ar[Rightarrow, from=U]&
\end{tikzcd}
\]
である.
\end{proposition}

このPropositionは当然ながら具体的な計算方法を与えている.例えば$f_{!}$をあなたが知らなかったとして,順像の双対概念は何か(もしくは$f^{-1}$の右随伴は何か)を考えるならKan拡張としてみた方が手っ取り早い.存在が分かるだけでなく,その構成まで教えてくれる.

上のPropositionの特別な場合として量化子に言及しておく.左右のKan拡張は関手の定義域を(関手に沿って)変化させるための双対的な二つの普遍的な手法を与える.この観点から見ると,次の定理は量化子とは命題写像の変数の個数を減らす双対的な二つの普遍的手法であると主張している.

\begin{corollary}[Kan拡張としての量化子]
集合$X,Y$と命題写像$\phi:X\times Y\to \2$について,
$\forall_{X}\phi $は$\phi$の射影$p:X\times Y \to Y$に沿った右Kan拡張
\[
\begin{tikzcd}
X\times Y \ar[rr,"\phi",""{name=U, below}] \ar[rd,"p"']&&\2\\
&Y \ar[ur,"\rm{Ran}_{p}\phi=\forall_{X}\phi"'] \ar[Rightarrow, to=U]&
\end{tikzcd}
\]
であり$\exists_{X}\phi $は$\phi$の射影$p:X\times Y \to Y$に沿った左Kan拡張
\[
\begin{tikzcd}
X\times Y \ar[rr,"\phi",""{name=U, below}] \ar[rd,"p"']&&\2\\
&Y \ar[ur,"\rm{Lan}_{p}\phi=\exists_{X}\phi"'] \ar[Rightarrow, from=U]&
\end{tikzcd}
\]
である.
\end{corollary}

\begin{remark}[普段の数学との類似]
pre-compositeで定まる関手として例えば圏,関手,自然変換の章で述べたものがある.例えば群の表現の部分群への制限$\mathrm{res}_{H}^{G}:\Vect_{\mathbb{K}}^{G}\to\Vect_{\mathbb{K}}^{H}$を考えると,各点Kan拡張の公式は部分群の表現から全体の群の表現を作る双対的な二つの普遍的な方法が存在することと具体的にどのように作るのかを教えてくれる\footnote{線形空間の圏の極限,余極限がどんなものかを知っている必要はある.ここで基本的な圏論の各種定理が活用されるより分かりやすい圏の極限,余極限に置き換えられていく.}.これには誘導表現などの名前がついている.

また可逆な力学系の埋め込み$\mathrm{Dyn}_{\ca{C}}^{\mathrm{inv}}\to \mathrm{Dyn}_{\ca{C}}$に関しては,圏$\ca{C}$がbicompleteならば可逆でない力学系から可逆な力学系を作る双対的な二つの普遍的な方法が存在することと具体的にどのように作るのかを教えてくれる.

他にも,極限,余極限のGlobal definition\footnote{ここでは具体的に教えてもらうメリットは(少なくとも安直には)ない(断言は怖い).というのも極限を全く同一の極限で書き換えられるだけだからである.初等的な圏論の定理たちによって興味がある圏の極限や余極限がよく分かるようになったとき,普遍的な構成が極限や余極限で書けることが嬉しくなる.
}もterminal categoryへのunique functorのpre-compositeの随伴であるから同じ形をしている.
\end{remark}

\subsection{free cocompletionとしての米田とfree cocompletionとしての冪集合}\label{free cocompletionとしての米田とfree cocompletionとしての冪集合}
この節では順序集合における米田の類似を\footnote{真偽値豊穣圏で本当に同一の枠組みで記述されることを2021/03段階では期待して. ただその場合は本当なら前順序集合について書くべきだと思われるが.}書く.ただ,本文で実際に言及するのは集合演算に限り,順序集合に関しての言及はRemarkで行うことにする.

米田埋め込みの対応物は,単に元を一元集合に送ることで集合を自身の冪集合に埋め込む次の写像である.
\begin{definition}[米田]
集合$X$について,写像
\[X\to P(X):x\mapsto \{x\}\]
を$\yo{X}$と書く.
\end{definition}

\begin{remark}[順序集合における定義とその正当性]
圏$\ca{C}$の米田埋め込みは$\rm{Hom}:\ca{C}^{\op}\times \ca{C}\to \Set$のcurry化$\ca{C}\to \Set^{\ca{C}^{\op}}$であった.$\Set$を$\2$に置き換える.
前順序集合$Q$に対して,$\leq:Q^{\op}\times Q\to \2$のcurry化$Q\to \2^{Q^{\op}}$を米田埋め込みと呼び$\yo{Q}$と書くことにする.前層圏に対応する$\2^{Q^{\op}}$は$Q$のdownward closed subsetと包含がなす順序集合(と自然に同型)である.そして米田埋め込みは元$q\in Q$に対して downward closed subset $\{p\in Q\mid p\leq q\}$を返す写像である.集合を今自明な順序で順序集合とみなしているので,集合の場合は上と一致する.
\end{remark}

\begin{remark}[順序集合における米田の補題の対応物]
順序集合$Q$について米田の補題の対応物は任意の$q\in Q$と$Q$のdownward closed subset $D$について(射は単に大小関係であることに注意して)
\[\{q\}\subset D \equi q\in D\]
である\footnote{$D$を$\2$への関手と思うと,$q$の“値"は$q\in D$なる条件である.}.
\end{remark}

圏論において,米田埋め込みは圏をcocompleteにするための普遍的な方法として(も)特徴付けられるのであった.つまり小圏$\ca{C}$からcocomplete category $\ca{D}$への関手$F:\ca{C}\to \ca{D}$は,本質的に(自然同型を除いて)一意な方法で米田埋め込み $\yo{\ca{C}}$とcocontinuous functor $G:\Set^{\ca{C}^{\op}}\to \ca{D}$に分解される.そして$G$は$F$の米田埋め込みに沿った左Kan拡張で得られる.

\[
\begin{tikzcd}
\ca{C} \ar[rr,"F",""{name=U, below}] \ar[rd,"\yo{\ca{C}}"']&&\ca{D}\\
&\Set^{\ca{C}^{\op}} \ar[ur,"G=\rm{Lan}_{\yo{\ca{C}}}F"'] \ar[Rightarrow, from=U]&
\end{tikzcd}
\]

nLabでは\url{https://ncatlab.org/nlab/show/free+cocompletion}を見ればよい.

類似の事実が集合$X$の$\yo{X}$でも成立し,冪集合の順序集合としての特徴づけがなされる.


\begin{proposition}[free cocompletionとしての冪集合]\label{free cocompletionとしての冪集合}
任意の集合$X$と完備束\footnote{任意のsup(余極限)の存在さえ仮定すればよいのだが,このとき自動的に任意のinf(極限)の存在も従い完備束になる.}$Q$と写像$f:X\to Q$について,cocontinuous functor(supを保つ順序準同型)$g:P(X)\to Q$であって
\[
\begin{tikzcd}
X \ar[rr,"f"] \ar[rd,"\yo{X}"']&&Q\\
&P(X) \ar[ur,"g"'] &
\end{tikzcd}
\]
を可換にするものが一意的に\footnote{ここでは(おそらく理想的ではないが)完備束に限定していて(余)完備な前順序集合を考えていないので本当に一意.}存在する.さらにその$g$は$\rm{Lan}_{\yo{X}}f$と一致し,従って任意の$V \subset X$について
\[g(V)=\sup_{x\in V}f(x)\]
が成立する.
\end{proposition}
\begin{proof}
$P(X)$の元は$X$の元の余極限でかけるので一意性はOK.
% 存在は$g$として$\rm{Lan}_{\yo{X}}f$を取ればいい.これがcocontinuousなことはeasyだが次の節で見るように右随伴が存在することから分かる.
$\rm{Lan}_{\yo{X}}f$が条件を満たすことは直接的に(も)簡単に確かめられる\footnote{これは一般的な状況と同様にabstractに,米田埋め込みがfully faithfulなこと(と各点性)から可換性が,次の節で見るように普遍随伴から右随伴が存在しcocontinuousが分かる}.最後の式は各点左Kan拡張のformulaである.
\end{proof}

関連事項として普遍随伴は次の節で扱う.

\begin{remark}[順序集合のfree cocompletion]
このことも(自明な順序が入った順序集合である)集合$X$に限らず順序集合$R$について成立する.順序集合$R$から完備束$Q$への順序準同型$f$は$\yo{R}:R\to \2^{R}$とcocontinuousな順序準同型に一意的な方法で分解される.
\end{remark}

\begin{remark}[density theorem]
圏論において,density theoremと呼ばれる定理があった.
$\Set$への関手は表現可能関手の余極限としてcanonicalな方法で記述されるのであった.\con{Theorem 6.5.7.とTheorem 6.5.8.}

この対応物は集合演算としては当たり前の結果である.集合$X$の任意の部分集合$V\subset X$について
\[V= \bigcup_{x\in V}\{x\}\]
が成立する,という事実が対応物である.ここでcategory of elementsが$V$に対応していることに注意.

もちろんこの等式は当たり前なのだが,だからこそToy Exampleとしては役に立つ.
density theoremにおいて関手をその“構成要素"である表現可能関手を集めて再現する様子は,集合演算では文字通り部分集合の要素を集めて部分集合を再生産することに対応している.
\end{remark}

普段の数学における類似は次の節で言及する.

\subsection{普遍随伴と二項関係から誘導されるガロア接続II}\label{普遍随伴と二項関係から誘導されるガロア接続II}
この節では,二項関係から誘導される両側右随伴(mutually right adjoint)を普遍随伴(Nerve and Realization)として実現することを考える.随伴の章では両側右随伴を元を見て具体的に作った.その構成では二項関係を冪集合に“自然に拡張"したのだが,そのアイデアは一般的な現象から来ていることをみる.

\begin{proposition}[冪集合の普遍随伴]\label{冪集合の普遍随伴}
任意の集合$X$と完備束$Q$と写像$f:X\to Q$について,Proposition \ref{free cocompletionとしての冪集合}で保証される写像$g(=\Lan_{\yo{X}}f)$は
\[Q(f(-),-):Q\to P(X):q\mapsto \{x\in X\mid f(x)\leq q\} \]
を右随伴にもつ.
\end{proposition}
\begin{proof}
任意の$q\in Q$と$V\in P(X)$について,
% \begin{align*}
%     Q(f(-),q)\subset V &\equi \forall x\in X, f(x)\leq q \Rightarrow x\in V\\
% \end{align*} 逆逆ゥ~~~!
\begin{align*}
    g(V)\leq q &\equi \sup_{x\in V} f(x) \leq q\\
    &\equi \forall x\in V, f(x)\leq q\\
    &\equi V\subset Q(f(-),q)
\end{align*}
となりOK.
\end{proof}

上の証明は圏に関する普遍随伴の証明と完全にパラレルになっていることに注意.例えばcontext \cite{context}のRemark 6.5.9.における同型な変形と上の証明の対応を見るとよい\footnote{集合演算だと自明に思われるステップを上では省略しているので一行だけ対応物を書いていない事になる.}

\begin{remark}[順序集合において]
上の定理は(自明な順序が入った順序集合である)集合だけでなく一般の順序集合で成立する事実である.証明は同様.
\end{remark}

普遍随伴の典型的な例として層に関する(今までも見た)随伴とsimplicial setの幾何学的実現を挙げておく.nLabでは\url{https://ncatlab.org/nlab/show/nerve+and+realization}などを見るとよい.

\begin{remark}[層の随伴]
位相空間$X$に対して,開集合の順序集合$\mathcal{O}(X)$を考える.
$\iota_{X}:\mathcal{O}(X)\to \Top/X$を開集合$U$に対して包含写像$U\to X$に送る標準的な関手とする.この関手に関する普遍随伴が
\[
\begin{tikzcd}
\Top / X \ar[rr,bend right,"","\Gamma"{name=S, below}] & & \Set^{{\ca{O}(X)}^{\op}} \ar[ll,bend right,,"","L"{name=B,above}]  \ar[from=B, to=S, symbol= , "\adj" description] 
\end{tikzcd}
\]
である.

前層圏は開集合の圏$\ca{O}(X)$のfree cocompletionである.
開集合を$X$上のbundleとみなす関手$\iota$をfree cocompletion上にcanonicalに拡張したものがsheafification functorである.free cocompletionはいわば自由な余極限からなっていて,どの開集合をどう並べてどう張り合わせるかを記述した“設計図"のようなものである\footnote{これはNerve and Realizationに共通する一つの視点である.}.そして,その右随伴は開集合による切断関手になる.これも一般的な現象で,この関手(Nerve関手)は米田埋め込みの情報を落としたものになっている.sizeを気にしなければ関手$F:\ca{C}\to \ca{D}$があれば$\ca{D} \xrightarrow{\yo{\ca{D}}} \Set^{\ca{D}^{op}} \xrightarrow{F^{\ast}} \Set^{\ca{C}^{op}}$なる関手が考えられ,これがNerve and Realizationの右随伴である.
つまり,米田埋め込みでは圏$\ca{D}$の対象との関係を全て見るのに対して,今回は関手$F$を介して$\ca{C}$の対象との関連を見ている.
\end{remark}

\begin{remark}[幾何学的実現]
同様の例としてTopとsimplicial setの圏の間の随伴を見る.空でない有限順序集合と順序準同型の圏$\Delta$に対して,$n$を標準$n$単体に送る関手$\iota:\Delta\to \Top$を考える.この関手に関する普遍随伴を考える.右随伴$\Top(\iota(-),-):\Top \to \Set^{\Delta^{\op}}$は位相空間に対してその特異$n$単体全体のなすsimplicial setを取る関手である\footnote{Topから特異ホモロジーを取る関手はこの関手を(自然同型を除いて)経由する.つまり,特異ホモロジーを取る関手は$\Set^{\Delta^{\op}}$から伸びていて,位相空間は$\Top(\iota(-),-):\Top \to \Set^{\Delta^{\op}}$を介してsimplicial setとみなすことで特異ホモロジー群を得ているとも見れる}.そして,左随伴は(いつもそうであるように)設計図に沿った実現である.
つまり,simplicial setを形式的な\footnote{本当に表現可能関手の余極限だが,設計図
らしく言っただけ.}余極限と見て,標準単体をその通りに張り合わせる関手(Geometric Realization)である.
\end{remark}

このように普遍随伴は関手$\ca{C}\to \ca{D}$を$\ca{C}$に“全ての(小さい)余極限を自然に追加した圏"であるfree cocomplition $\Set^{\ca{C}^{\op}}$上に拡張する手法と見れるのである.そしてこの文章で繰り返し登場した二項演算からくる両側右随伴は二項関係という関手をこの手法で拡張したものになっている.

二項演算は集合$X,Y$から真偽値$\2$への写像としていたが,ここからは$X,Y$から真偽値$\2^{\op}$への写像と考えることにする\footnote{ここは結果的に得られる随伴が$X,Y$に関して対象に見えて欲しいという願望の都合もある}.二項関係$X\times Y\to \2^{\op}$はcurry化することで写像$X\to (\2^{\op})^{Y}$つまり$X\to P(Y)^{\op}$と対応する.これの(Proposition \ref{冪集合の普遍随伴}の意味の)普遍随伴を見ると,二項関係から誘導される両側右随伴に一致する.

\begin{theorem}[二項関係と対応する両側右随伴は普遍随伴]\label{二項関係と対応する両側右随伴は普遍随伴}
集合$X,Y$間の二項関係$X\times Y\to \2^{\op}$について,curry化した$X\to P(Y)^{\op}$に関する(Proposition \ref{冪集合の普遍随伴}の意味の)普遍随伴は二項関係から誘導される両側右随伴(Proposition \ref{二項関係からくる両側右随伴})と一致する.
\end{theorem}
\begin{proof}
随伴の一方が一致することを確認すれば十分.
左随伴(各点左Kan拡張のformula)を見ても右随伴を見てもProposition \ref{二項関係からくる両側右随伴}における定義のほとんど直接的な言い換えである.$P(Y)^{\op}$として順序を反転させて考えていることに注意.
\end{proof}

\begin{remark}[二項関係と両側右随伴の対応と圏における対応物]\label{二項関係と両側右随伴の対応と圏における対応物}
\ref{free cocompletionとしての米田とfree cocompletionとしての冪集合}節とこの節で見たように集合$X$と完備束$Q$について,$X$から$Q$への写像と$P(X)$から$Q$への余連続関手と$P(X)$から$Q$への左随伴関手は一対一に対応している\footnote{制限を見るとか随伴関手定理を使うとかすると逆向きの対応が分かる}.このこととパラレルに小圏$\ca{C}$と余完備な圏$\ca{E}$について,$\ca{C}$から$\ca{E}$への関手と$\Set^{\ca{C}^{\op}}$から$\ca{E}$への余連続な関手と$\Set^{\ca{C}^{\op}}$から$\ca{E}$への左随伴関手は自然同型を除いて一対一に対応している\footnote{下の図では随伴関手定理と書いたが,正直に言えば私はerve and Realizationを見ることで示した.随伴関手定理にしたければnLabの \url{https://ncatlab.org/nlab/show/adjoint+functor+theorem#statement} によるとtotal categoryの随伴関手定理というものを考えるとよいらしい}

次の図でこの対応をまとめる.
\[
\begin{tikzcd}
 & &\text{集合側}&&&&\text{圏側}&\\
&X \arrow[rr,"\text{関手}"]&&Q&&\ca{C}\ar[rr,"\text{関手}"]&&\ca{E}\\
\text{free cocompletion}&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}& &&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}&\\
&P(X) \arrow[rr,"\text{余連続関手}"]&&Q &&\Set^{\ca{C}^{\op}} \arrow[rr,"\text{余連続関手}"]&&\ca{E}\\
\text{随伴関手定理}&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}& &&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}&\\
&P(X) \ar[rr,bend left,"",""{name=S, below}] & & Q \ar[ll,bend left,,"",""{name=B,above}]  \ar[from=S, to=B, symbol= , "\adj" description] &&\Set^{\ca{C}^{\op}} \ar[rr,bend left,"",""{name=S, below}] & & \ca{E} \ar[ll,bend left,,"",""{name=B,above}]  \ar[from=S, to=B, symbol= , "\adj" description] \\
\end{tikzcd}
\]

層の随伴やsimplicial setの幾何学的実現が小圏からの関手という比較的少ないデータで決定されているというこの節のremarkは上の図の右側に対応している.

二項関係と両側右随伴の対応はこの図における$Q$を特に冪集合にしたケースに対応する.このときはcurry化による一対一対応を含めて次の図のような対応が得られる.

\[
\begin{tikzcd}
 & &\text{集合側}&&&&\text{圏側}&\\
&X\times Y \arrow[rr,"\text{関手}"]&&\2^{\op}&&\ca{C}\times \ca{D}\arrow[rr,"\text{関手}"]&&\Set^{\op}\\
\text{curry化}&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}& &&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}&\\
&X \arrow[rr,"\text{関手}"]&&P(Y)^{\op}&&\ca{C}\ar[rr,"\text{関手}"]&&({\Set^{\ca{D}^{\op}}})^{\op}\\
\text{free cocompletion}&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}& &&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}&\\
&P(X) \arrow[rr,"\text{余連続関手}"]&&P(Y)^{\op} &&\Set^{\ca{C}^{\op}} \arrow[rr,"\text{余連続関手}"]&&({\Set^{\ca{D}^{\op}}})^{\op}\\
\text{随伴関手定理}&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}& &&&\rotatebox{90}{$\leftrightsquigarrow$}&\\
&P(X) \ar[rr,bend left,"",""{name=S, below}] & & P(Y)^{\op} \ar[ll,bend left,,"",""{name=B,above}]  \ar[from=S, to=B, symbol= , "\adj" description] &&\Set^{\ca{C}^{\op}} \ar[rr,bend left,"",""{name=S, below}] & & ({\Set^{\ca{D}^{\op}}})^{\op} \ar[ll,bend left,,"",""{name=B,above}]  \ar[from=S, to=B, symbol= , "\adj" description] \\
\end{tikzcd}
\]
二項演算と冪集合間の両側右随伴の対応は,圏論における基本的な一対一対応の組み合わせからなっていたことがこれで分かった.

余談だが,圏側に書かれた対応でいい話はないかと思うかもしれない.初等的なところで言えば前層圏(例えば有向グラフの圏や集合上の離散力学系の圏や集合の圏そのものまで)の自己双対性,つまり自身との両側右随伴の決定ができる.また,Hom集合をとる関手(two-sided represented functor)$\ca{C}(-,-):\ca{C}^{\op}\times\ca{C} \to \Set$の双対$\ca{C}\times\ca{C}^{\op} \to \Set^{\op}$に対応する随伴はいわゆるIsbell duality(nLab \url{https://ncatlab.org/nlab/show/Isbell+duality})である.
\end{remark}

% \subsection{codensity monadと生成の一般論II}

% 適当な写像$f:\ob{P(X)}\to P(X)$の埋め込み$\ob P(X)\to P(X)$に添ったKan拡張.または$f$によるCodensity monad

% \subsection{Cartesian functorのLeft Kan extensionとfilter}

% \section{書かれる予定のもの}
% \subsection{真偽値豊穣圏}
% %普遍随伴としてantitone Galois connectionをかく.
% %非自明な最小の圏論として
% \subsection{Topos-internal}

\section{書きたいけど書けていないもの}
\begin{itemize}
    \item Cartesian Functorとfilter, ideal, ultrafilter
    \item Toposで成り立つこと
    \item $\2$-enriched categoryとしての視点
    \item Toy Example一覧表
\end{itemize}


\begin{thebibliography}{9}
\bibitem{context} Emily Riehl, CATEGORY THEORY IN CONTEXT, DOVER, 2016.
\bibitem{CWM} S.マックレーン, 圏論の基礎, 丸善出版, 1998,1971.
\bibitem{nlab} nLab \url{https://ncatlab.org/nlab/show/HomePage}
\bibitem{SGL} Saunders Mac Lane, leke Moerdijk, Sheaves in Geometry and Logic A first Introduction to Topos Theory, Springer, 1994.

\bibitem{gss}Peter Smith, The Galois Connection between Syntax and Semantics, \url{https://www.logicmatters.net/resources/pdfs/Galois.pdf}.

\bibitem{genref} 生成の一般論と反映的部分圏, \url{https://hora-algebra.github.io/gen_ref.pdf}.
%\bibitem{Awodey} Steve Awodey, Category Theory Second Edition, Oxford, 2010.
\bibitem{isi} 石の問題, \url{https://hora-algebra.github.io/%E7%9F%B3%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C.pdf}.
\bibitem{topgro} Lev Pontryagin, Topological Groups, Princeton University Press,1939.
\bibitem{AtiMac} M.F. Atiyah and I.G. MacDonald, Introduction to Commutative Algebra, 1969.
\bibitem{STONE} MATTHEW DIRKS, THE STONE REPRESENTATION THEOREM FOR BOOLEAN ALGEBRAS, 2011. 
\bibitem{elephant} Peter T. Johnstone, Sketches of an Elephant A Topos Theory Compendium, Oxford University Press, 2002.
\bibitem{キューネン} ケネス・キューネン, キューネン数学基礎論講義, 日本評論社 2016.
\bibitem{Kunen} Kenneth Kunen, Set Theory, College Publications, 2011.
% \bibitem{ルベーグ} Juan Gonzalez-Hernandez, Fernando
% Hernandez-Hernandez, Cesar E. Villarreal, When is $\mathbb{R}$ the union of an increasing family of null sets?, Contents of CMUC 2007 \url{https://cmuc.karlin.mff.cuni.cz/cmuc0704/cmuc0704.htm}, 2007.
\bibitem{ionad} Richard Garner, Ionads, https://arxiv.org/abs/0912.1415, 2009.
\end{thebibliography}


\end{document}
\section{その他(まだ書いていない)}
\subsection{Cartesian functorとfilter,ideal,ultrafilter}
\subsection{なぜ話がうまく回るのか,豊穣圏の視点から}



\section{アイデア}
\begin{itemize}
% \item 完備測度空間を測度空間とその拡張のmonadの代数で書いて.
% \item 自由モナドのところのKan拡張もKan拡張のところで書いて
\item https://ncatlab.org/nlab/show/topos+of+coalgebras+over+a+comonad 
%\item unit,counitから分かる不等号を書き込んでいって
%\item monadと位相空間.有限直和を保つmonad
% \item functionから作るmonad,自由モナド from endofunctorなのでは?せやで
%\item 補集合なる自己反変圏同値→量化子と¬の交換則
%\item Kleisli category とEMcategoryの普遍性をantitone Galois connectionに適用せよ!(axiomからmodelを撮っていたが,theory closureから取れる!)Kleisli categoryでは
%\item antigalois connection orthogonal
\item cartesian functor としてのfilter(右随伴を色々合成してくれ).Cartesian functorの左随伴とlawvere theoryにおける自由生成の類似
さらにup to filterでの性質が有限的な操作を保つこと(Horn文?)
Rudin-Keisler \url{https://people.math.ethz.ch/~halorenz/4students/LogikML/Lsg11.pdf}
\item 関係から全称量化ではなく存在量化で得られるgalois connectionもある??(なければCodensityの話へ)
\item 部分的な量化子($\forall_{x} \in A $を随伴で書いて$\to$と$\and$を見つける.
%\item 二項関係からくるGalois connection,Hilbert spaceで書いて

%\item 連続関手の決定をして.できたら射影公式の系を当然のものと言って.::
% \item forcing relation
\item adjoint quandre Kan extension abの
% \item monadの余極限の保存.finitely coconti:topology coconti:preorder filtered:?
% \item スライス圏への左随伴のとこ,可換K代数へのスカラー拡大を書くべき じゃん.
\item 凸包をアフィン写像で定めるの,二項関係で定めてる.関数のゼロ以下は関数の零点のvariant.
% \item 演算とcompatibleな代数上の同値関係
% \item 閉包作用素が増加列の和を保つこととfiltered は同値か? Lebesgue null setが判例になるかはZFC独立っぽい. \url{http://emis.impa.br/EMIS/journals/CMUC/pdf/cmuc0704/gonzaher.pdf}
% \item Isbell duality
% \item ionad
\item 両側右随伴の構成,絵を描いておきたいよね...
\item monadの三つの作り方として随伴とcodensity monadとfree monadを並列してみるのは面白いかも
% \item あまりにもSite 上のgrothendieck toposのsubobject classifier じゃん...dense closed and downward closed!
\item coモーダスポネンスとヒルベルトの公理
\item toposとの関わり.逆像順像随伴,Beck-Chevalley, projection formulaとmate
\item lex closureとしてのLawvere Tierney topologyとdouble negation operator on a Heyting Algebra
\item P(X)のlex closure,$Set^X$のLTT,$X$のGT,$X$のsubsetで形式的にわかる.$A\cup -$しかないことは,当然ながら直接頑張ってもわかる.
\item 2-category Preorder ($\2$-enriched category) からの(representable)2-functorによる随伴の保存

\item 二項関係からくるGalois connection,逆像順像随伴をくっつけて自然同型です.(これ,adjoint preserves kan extensionsでは?)線形代数で自己準同型と最小多項式を見ているときに考えた.(行列環の左イデアルと部分空間の対応から持ってくる)

\item 上の自然同型,実は2-category Relから適切な2category への2-functorと見ることで写像という二項関係から一般化できるのでは?
\item 順序集合から作られる完備ブール代数,一般に圏上のdense topologyのGrothendieck toposの真偽値から.

\item modal operator. $X$上のpreorderと$P(X)$上のcoconti monad と$P(X)$上のadjoint monadと$P(X)$のbireflective subcategoryと$P(X)$の完備束としての部分代数は対応する.adjoint monadはmodal operatorであり,ボックスがcomonadになることが定めるクリプキフレームの クラスが前順序なことに対応している.

\item 一階述語論理で,公理化可能なモデルのクラスとはつまりelementary classのこと.
\end{itemize}